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「海外旅行初めてです!」

という人と一緒に海外を旅するのは楽しい。

特に同じ国に何度も行っていると、最初に訪れた時ほどの新鮮さは感じられなくなります。もちろん全くゼロではないですが、いったん慣れてしまうと異文化への感度が鈍くなっちゃうんですよね。

でも、その国を初めて訪れる人と行動すると、まるで自分も初めてその土地を訪れたような感覚に戻ります。住み慣れた町が、また新鮮さを吹き返してくる感じです。

 

「マーライオンって一体何なの?」

シンガポールにいた時も、友人が遊びに来てくれるたび新たな発見がありました。毎回お決まりのようにマーライオンを見て、フードコートでチキンライスを食べて…すると友人は次々と質問してきます。

 

「マーライオンって一体何なの?」

「なんでトレーを下げないの?」(※フードコートやファストフード店では、自分たちで片付けないのが普通)

「なんで電車の時刻表がないの?」

 

・・・確かに。

当たり前すぎてもう疑問にすら思わなくなっていました。そういえばマーライオンって何なんだろう…ただの半魚ライオンが水出しているだけなのに、何でこんなに外国人観光客に人気のスポットなんだろう…そもそも何でシンガポールはこんなに観光ビジネスが盛んなんだ…調べてみよう!

こうして友人によって新たな疑問(というより、自分も初めて見た時は抱いただろう疑問、そしてすっかりそのまま放置してしまった疑問)が生まれ、その国の文化や歴史について深く知ることになります。

 

異文化と出会った時、どう反応する?

私にとって海外に行く醍醐味は、こうした異文化との出会いによる、新しい刺激・問いです。

でも、この異文化の接し方って結構難しいですよね。ここの捉え方一つで、海外を好きになるか、あるいは嫌いになるか、はっきり分かれると思います。

 

例えば先ほどの「なぜ電車の時刻表がないのか」という疑問。

正確には時刻表がないというより、「後○分で電車が来ます」という表示はされているんです。でも、日本のように発車時刻が表示される電子掲示板はない。

さて、みなさんだったらここで「なんで時刻表がないんだろう?」とその理由を深堀りしますか。それとも、「電車の時間がわからないなんて、なんて不便なんだ」と結論を下しますか。

多分、後者の人って海外を嫌いになる(あるいは日本を無条件に素晴らしいと評価する)可能性が高いんじゃないかと思います。

電車の来る時間がわからない。イライラする。

シンガポールは時間にルーズでいい加減な国だ。

日本の交通システムは素晴らしい。

やっぱり日本は素晴らしい。

海外は嫌だ。

 

分刻みの時刻表があり、それがいつも電子掲示板に表示され、ほぼ正確な時刻に到着するという環境が当然という日本の価値観で一方的に判断してしまうと、なかなかその国を好きになるのは難しいんじゃないかと思います。

もしこんな感じで「日本サイコー!海外Boo↓」になってしまっては、とても残念です。

 

日本人は本当にPunctual(時間に正確)か

とか偉そうなこと言いながら、私自身、異文化を楽しめるレベルになるまで、相当な時間がかかりました。最初は嫌なところばかりが目について、ついつい「やっぱり日本は素晴らしい!日本サイコー!」って思ってました。

特に東南アジアの時間感覚。電車やバスが時刻通りに来ないことはしょっちゅうある。同僚は平気で30分遅刻して出社するし、約束の時間に会議が始まらないことにいつもイライラ。時間にルーズ=仕事ができない人たちというレッテルすら勝手に貼っていました。

 

ところがある日、知人にこんなことを言われて衝撃を受けたんです。

日本人は時間に厳しいって言うけれど、それは正しくない。

「え?なんで?日本人スタッフはみんな遅刻しないでしょ(アンタ達に言われたくないよ、イライラ)?」

「確かに遅刻はしない。でも、いつも残業しているじゃないか。

「そ、それはそうだけど・・・」

なぜ終わる時間を守れないの?いつもダラダラ残業して”時間に厳しい”って、どういうこと?

「うっ・・・!!!」

お、お、お、おっしゃる通りです。

日本人は出社でもミーティングでも、開始時刻には厳しいが、終わる時刻にはかなりルーズといっても過言ではありません。残業に関してはむしろ残業して当たり前、退社時刻までに終わらせようという意識すらないのではないでしょうか。仕事ができないと思われていたのは、むしろ私たち日本人だったのか・・・。

この友人からの投げかけ以来、私は時間に対する考えを改めるようになりました。むしろ、日本人は時間に縛られすぎているのでは?とすら思うようになりました。

たとえば、シンガポール人は雨が降れば、多少の遅刻も寛容に受け入れてくれます。

一方日本のサラリーマンは、台風で傘が飛ばされようが、待ち合わせ時刻に間に合わせようとする。台風のニュースで、ずぶ濡れになって「仕事があるんで、歩いて向かいます」と答える日本人企業戦士を見た時、一種の狂気すら感じました。

(ちなみに先日の台風の時「今日は台風だから、アポは再調整していただけませんか」と試しに日本で言ってみたところ、見事に怪訝な反応をされました。うん、やっぱダメか。だってここ日本だもんね。すいません。)

 

否定する前に「なぜそうなのか?」と一歩踏み込んで考えてみる

「時間」は特に価値観の違いが如実に現れますが、その他にも食事、マナー、接客なども異文化を感じやすいところです。

日本とは異なる慣習に、最初はちょっと驚くかもしれませんが。慣れ親しんでないものに反射的に否定的な感情が浮かぶのはよくわかります。だって自分と違うものってよくわからないから、怖いですもんね。

でも、自分たちとは違う→よくわからない→怖い→排除しようっていう思考パターンが、戦争の始まりだと思うんです。急に話がでっかくなりますが。でも、でっかい話のようで、そーゆー小さいところに火種があるんだと思うんです。

だから、一瞬わいた否定的な感情のまま判断するのではなく、「なぜそうなのか?」と一歩踏み込んで考えてみると良いんじゃないかなーと思います。

この「なぜ」を考えるだけで、表層部分とは全然違う世界が見えてきて、海外旅行がぐっと楽しくなるはずです。そして、もう少し世界が平和になるんじゃないかと。そんな風に私は信じています。

 

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。