先日ある人に「フリーランスよりも組織に入った方が成長するのに。もったいないね」と言われた。

私はその言葉を聞いて、最初ちょっとだけ、ムカッとした。

フリーランスとして働いてまだ日は浅いが、少しは成長できたと思っている。いや、むしろ会社員として働いていた時には見えなかった世界が見えるようになり、結構成長したのにな、と思った。

当たり前だが、フリーランスに上司はいない。誰も育ててくれないから、自分で育つしかない。自分の成長は自己責任。そうした考えのほうがむしろ成長するのでは。

気づけばふと、反論していた。

「いやいや大島さん、そういう意味じゃなくてね。フリーランスに求められるのは、即戦力でしょ。つまり既に身につけた能力の切売り。今出来ることの繰り返しじゃ成長は無いよ。」

確かに彼の言うことは一理ある。しかし”フリーランス”という働き方は本当に成長が止まってしまうのであろうか。そして”会社員”であればどこまでも成長できるのだろうか。

 

成長するために必要な「仕事」をどう手に入れるか

そもそも人が成長するためには、どんな要素が必要なのだろう。

・面倒見の良い上司?

・現場に即した研修?

・刺激を受ける後輩の存在?

・やる気の上がる報酬?

どれも必要な要素ではあるが、十分ではない。

ビジネスパーソンとして成長する上で絶対に欠かせない要素。それは「仕事」という場である。

それも楽しくワイワイ取り組めるレベルの仕事じゃない。今の自分を遥かに超えた力量が求められ、絶対できません、もう無理ムリ無理ムリ〜!! と叫ぶくらいの仕事である。

そういえば会社員時代、とても仕事のできる先輩が「最近冷や汗かいてなかったら、成長が止まっている証拠よ。さあ、冷や汗かいて!」と言って、力量以上の仕事を回してくれたことがあった。

最初は、どう考えても期日までに終わらない、私じゃ絶対無理、と思った。しかしやってみれば何とかなるもので、無事乗り切ることが出来た。週末を全て返上したものの、1ヶ月で5倍くらいパワーアップした気がした。

「仕事のできる人に仕事は集まるものよ」と言って、またストレッチした仕事をくれた。そうして「仕事の報酬は仕事」と言う良い成長スパイラルに乗れると、力量はぐんぐん上がって行く

 

そう考えると、論点は「いかに成長する仕事と場を得られるか」になる。上の例で言えば、

(1)与えられた仕事をきちんとこなし、実績を出して信頼を得る

という自助努力だけでなく、

(2)部下をきちんと評価し、挑戦させてくれる上司

の両方が揃う必要があった。

ここで当初の疑問に戻るが、果たしてフリーランスは、会社員に比べて、「成長する仕事と場」が減ってしまうのだろうか。

 

フリーランスだって新しい仕事に挑戦できるよ

フリーランスの場合、(1)与えられた仕事をこなして実績を出すのは当然クリアしなければならない。問題は上司がいないので、そもそも(2)の要件は満たせないのか、ということである。

 

結論から言うと、そんなことはない。

上司はいないが、上司以上に成長を促してくれる存在がいる。そう、「顧客」である。

フリーランスが成長できるかどうかは、仕事ぶりを評価してくれ、新しいことに一緒に挑戦しようと! と成長の機会をくれる顧客を持てるかにかかっていると思う。

そしてもう一つ大事なのが、新しい仕事を任せてもらった時に迷わず「やります!」と言えるかどうかだ。

私の経験でしか語れないが、大体2割くらいの感覚で予想もしていない新しい仕事が舞い込んでくる。自分で出来るかどうか不安な仕事、今の実力以上の力が求められる仕事、だ。

声をかけてもらえること自体は嬉しいが、会社員とは違って仕事の最終責任を負う以上、気楽に承諾は出来ない。「大丈夫、失敗したらお前のケツぐらい拭いてやるよ!」と言ってくれる優しい上司もいない。

だからこそ、確実にできる仕事に逃げてしまいたくなるのだが、その選択を繰り返すと成長は止まってしまう

またこうしたお客様の中には、要求レベルがとてつもなく高く、外部の人間だからと言って妥協や甘えを一切許さない人も多い。

厳しい要求をしてくれる顧客は良いお客さま。むしろ怖いのは、何も言わずに黙って二度と発注してくれない顧客である。

会社員であれば、口うるさく上司が指導してくれるが、フリーランスだとそうはいかない。裸の王様にならないためにも、耳の痛いことをきっぱり助言してくれる人を持つことは大事である。つまり私にとっては、冒頭の知人のような存在がとても貴重ということですね(思わず反論してごめんなさい)。

 

やれることしかやらないフリーランスにならないために

やれることだけをやるフリーランスと、やりたいことをやれるようになるために頑張るフリーランスは違う。

フリーランスの良さは仕事を選べることだが、「選択の自由」の意味を履き違えないほうが良い。気づかないうちに「やれることしかやらないフリーランス」になってしまうリスクも十分潜んでいる。

しかし同時に、こうしたリスクは自分の心がけ次第で予防できるとも思う。

(1)今の力量で出来る仕事で成果を出す

(2)実績をきちんと評価し、新しい仕事を任せてくれる顧客を持つ

(3)任せてもらったのなら、実力以上の仕事でも迷わず挑戦する

(4)上記(1)〜(3)を満たした働きぶりをしているか、時々セルフチェックをする

自戒の念も込めて、結論、フリーランスも成長できると思うのですが、どうでしょう???

 

 

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。