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『1年やってようやく見えてきたフリーランスとして大切な心構え』のつづき。

2.報酬はやる気の出る金額か

自分の値段はいくらか。

もしあなたがフリーランスを目指すなら、この質問に明確な自信を持って答えられなければいけない。

 

フリーランスは値決めが命と言われるが、私は最初、それが何を意味しているのかわかっていなかった。

そりゃ人材紹介の仕事をしていたくらいだから、転職マーケットにおける自分の値段がどれくらいかは知っている。

一般的に年収は年齢、業界、ポジションに規定されるが、もっと生々しい話をすれば、学歴、新卒で入社した会社、前職の給料、既存社員の給料とのバランスによって決まる。

つまり、その人が持つピュアな能力だけで決まることはない

会社員として人材紹介の仕事をしていた時は、そんなのバカバカしいと思っていた。会社のブランドとか、肩書きとか関係ないじゃん、実力で勝負しようよって。

 

ところがどっこい、独立して会社の看板が外れた途端、自分の自信が揺らぎ出す。

これまで真面目に仕事してきたじゃないか、大丈夫だいじょうぶ、自分には実力があるんだから。……いや、本当に? 本当に私はこの年収に値するだけの仕事をしてきたのだろうか。ここで高い値段を言ったら、誰も私に発注してくれないんじゃないか。「この値段でこの仕事!?」って怒られるんじゃないか。

もう、そんなことを考えれば考えるほど、自分の値段がわからなくなってくる。

 

そんな時、仕事を依頼してくれたあるお客さんが

大島さんのやる気が出る金額を提示してください。いくらでも構いません。その値段でやりましょう

と言ってくれた。

自分のやる気が出る金額。そんな風に考えたことは一度もなかった。

その人は続けた。

「私は大島さんをプロとして高く評価しています。だから、なるべく長く一緒に仕事をしていきたいと思っています。やる気が出る金額じゃないと長続きしないでしょ。」

 

頭と心のモヤモヤが一気に晴れていった。

確かにそうだ。やる気が出ない値段ということは、心のどこかでその報酬に満足していないということ。一回きりならまあいいかと言い聞かせ、我慢して仕事しているということ。

そんな気持ちじゃお客さんと良い関係なんて築けない。

 

この時から、私は自分のやる気が出る基本給を決めた。その金額を提示して、値切ってくる人とは基本的に付き合わない。

人間心理とは面白いもので(もしくは私の性格が悪いだけかもしれないが)、たとえ100円でも値切られるとやる気が激減してしまう。逆にたった100円でも高いと、1.5倍くらい仕事を頑張ろうって思えてくる。高く評価してくれたことが嬉しくて、期待以上の成果を出したくなる。

今思えば、このお客さんは私がそーゆーモチベーションで動く人間だということをよく理解していたのかもしれない。全く人を動かすのがうまい人だ。

 

ちなみにこれは私のルールであり、大阪の商人みたいに値決めが上手な人は、わざわざこんなルールを決める必要すらない。その場で損得を計算して交渉すればいいと思う。

私は値決めが苦手だから、あらかじめ決めておいているだけ。

そして、一度決めたルールは簡単に破らない。最もダメなのは、自分に負けて安請負してしまうことだ。

自信がないと値引きしたり、実績を作りたいからと言って無料で仕事を受けてしまう時がある。でも、これは逃げだと思う。実績を作りたいなら別に無料じゃなくても作れるはず。高いかなと思ったら、値下げするのではなく、それに値する自分になるよう価値を高めていく

仕事の質だけで評価してもらうって怖いけど、本来知識労働者であるフリーランスはそうあるべきなんだと思う。時間を切り売りするだけなら、それはフリーランスじゃなくてフリーター。

 

……それでもさ、やっぱり時々漠然とした不安は襲ってくるわけで。とくに通帳の貯金残高がガクーって減ってるのを見たときはもうガクガク震えちゃうわけで。

そんな時はお金のことを心配する時間を、普段の仕事の時間とは分けて考えるようにしている。このテクニックはある会計士さんに教えてもらった。

 

「通帳の残高は減ります。減るもんなんです。頭の中がお金の事だけになっているのは不健康な経営です。

お金の事を考えるのは私たちと会う時だけで大丈夫。それ以外は目の前のお客さんを見る。その結果、お金が後からついてきますよ。

全く持ってその通りである。いくらお金の心配をしたって、その時間は一銭のお金も生み出さない。

 

仕事の報酬は、自分のやる気が出る金額で。

お金を考える時間と、仕事をする時間は分ける。

これが二つ目のマイ・ルール(あれ、一個増えちゃった)。

 

つづく。

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。