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毎年1月を過ぎると、学生からの就活相談に乗る機会が増えます。今年も早速何人かの意欲的な学生から相談をされました。わざわざアポイントを取って私に相談をしてくれるくらいなので、みなさん活発で行動力があって、魅力的な学生ばかりです。

・・・ただ。

話を聞いていて、正直驚くことがたくさんあります。会社や仕事に対して、あまりに誤解している点が多く、驚くどころか焦ってしまいます。

せっかく優秀な若者が、誤解をしたまま自分に合わない会社に就職し、そのポテンシャルを活かしきれずに辞めていく。ひどい場合は精神や体調を崩してしまう。そんな状況を見過ごすわけにはいかず焦ってしまうのです。

今回はお節介は百も承知、老婆心全開で学生が抱く誤解について私なりのアドバイスをまとめました。

 

どうしても伝えたい就職に対する4つの誤解

誤解1:優良企業に入ったら大きな仕事を任されて、優秀なビジネスパーソンになれる

まず一つ目が、外資系企業や優良企業に入ったら裁量のある仕事を任されて成長できる、という誤解です。ハッキリ言って順番が逆です。

さらに恐ろしいことに「インターンは事務作業ばかりやらされるから時間の無駄」という学生の声。実際はインターン(1日の体験とかじゃなくて、長期のやつ)ほどリアルな仕事の現場(と自分の実力のなさ)を実感できる場はありません。

しかし、先ほどの学生の発言の裏側には「インターンは事務作業だけど、正社員の本当の仕事はもっとやりがいがある。私はインターン以上の仕事ができる」という誤解と自負があるように思えてなりません。

仕事に本当もウソもありません。なんならインターンに任せる事務作業は、新人に最初に任せる本当の仕事なのです。

また、いくら優秀な大学を卒業し、活発にサークル活動をしていたとしても、会社に入ればピカピカの1年生。誰よりも早く電話に出たり、しっかり挨拶をしたり、頼まれた資料を依頼通りに準備したり、そういった小さなことの積み重ねが信頼につながり、やがて裁量のある仕事が回ってくるのです。

 

優良企業に入ったから裁量ある仕事ができるのではなく、信頼を勝ち得た人に裁量ある仕事が回ってきます。順番を間違えてはいけません。

 

誤解2:日系の名もない中小企業より、大手外資系の方が教育がしっかりしている

この言い分には二つの要素が含まれています。一つは日系vs外資系。もう一つは中小vs大企業。

まず日系と外資系の比較です。あくまで個人的感想の域を超えませんが、日系は世界的に見ても教育がしっかり行われていると思います。ただ、OffJT(座学)よりもOJT(実務)を重視する傾向があります。

以前、コンサル会社で研修を販売していた時も「研修なんて意味あるの?人は仕事という場を通じて成長するんだよ」という経営者が多くいました。そんな会社でも、新卒に関しては面白いくらいに研修を重んじます。日本企業は外資に比べ、まっさらな新卒を自社色に育てようという雰囲気がありますので、座学も充実しています。

また中小vs大企業という比較ですが、こちらも上記同様、企業の規模によって一概に判断できるものではありません。確かに大企業の方が、研修にお金を注ぐ余裕があります。しかし中小企業の中には、教育をとても大事にしている社長もたくさんいます。体系的な教育制度こそ整っていないかもしれませんが、よっぽど愛情を持って手取り足とり教えてくれるかもしれません。

間違ったイメージを持って選考に進むよりも、「御社ではどのような教育制度を整えていますか?」とズバリ聞いてしまいましょう。

 

 

誤解3:海外で働きたいので、大手商社を志望しています

このような学生、非常に多いです。何を隠そう、私自身もそんな学生でした。「仕事で英語を使いたいし、将来は海外というフィールドで働きたい。業界研究をしてみたけど、いまいち海外で働ける会社がわからない。とりあえず商社を受けておこう」という方が多いのではないでしょうか。

確かに、商社に入り海外で活躍されている方はたくさんいます。私がここで強調したいのは”商社に入ったら海外にいけるという自動エスカレーターじゃないぞ!”という点です。

誤解1でも話したように、会社に入れば自動的に自分のやりたい仕事が回ってくるわけではありません。大企業ならば尚更です。自分よりも優秀な人材がうじゃうじゃいる中で、海外赴任の座を勝ち抜かなければいけません

また適材適所という言葉があるように、会社はあなたの適正を見極めて配属するので、ずっと本社にいる可能性だってあります。海外赴任のチャンスが回ってきたとしても希望地にいけるとは限りません。会社命令の駐在となれば、いつ日本に帰るかも自分で決めることはできないのです。

どうしても早い内から海外で働きたいのであれば、むしろ小さな専門商社やメーカーの営業職をお勧めします。小さな会社であれば上司に直接かけあう機会がありますし、海外赴任を希望する人が少なければ、競争率が下がります

あとは「小さな企業で働いている」自分のプライドが許せるかどうかです。

 

誤解4:会社選びの優先軸は「人」です

これは誤解というより「もう少し業界や職種の勉強をしたほうがいいよ!」という提言です。

多くの企業の採用ページでは、かっこいいオフィスや先輩のインタビューが掲載されています。扱っている商品や業界の説明よりも、働く環境や人、文化が全面に押し出されています。

会社としてはサービスや業界の説明もしているつもりなんですが、学生は具体的なイメージがわかず、人や働き方などのソフト面だけが記憶に残ってしまうんですよね。それは仕方ないことです。

確かに文化や一緒に働く人は大切だと思います。私自身、事業や仕事内容は好きだったけど、働く仲間と価値観が合わず心身ともに体調を崩したという苦い経験があります。

逆に、最初は興味のなかった経営コンサルティングという仕事も、尊敬する上司やお客さんと働いているうちに楽しくて仕方なくなりました。もともと人の悩みを聞き一緒に解決策を考えるということが好きだったので、自分に合っていたんだと思います。

自分の興味ある仕事がベースにあって、その上で価値観を共有できる仲間と働けたから続いたんだと思います。
自分が何に興味を持てるかを知るために、色々な業界を受けるのは大賛成です。

しかし、選考が始まった段階、あるいは内定が出てしまったら、ある程度業界が絞られていた方が良いのではないでしょうか。せめてその会社が扱う商品やサービスが好きじゃないと、長続きしないと思います。月並みの言葉ですが、内定をもらうのがゴールじゃないですから。

 

まとめ

学生さんは「やりたいことがわからない」「どんな会社で働けばいいのかわからない」と悩みを打ち明けてくれます。しかし、社会人◯年目になってもやりたいことなんてわからないし、今の会社で働くことが正しいかわからず悩んでいる人はたくさんいます。そんなもんです。

ただ、人生でこれほど自分と向き合える良いチャンスはありません。まだまだ社会に対する誤解もあると思います。理想に胸が熱くなる一方、その先に待ち受ける現実の厳しさにノックダウンされることもあるかもしれませんが、思う存分悩んで欲しいな、と思います。

皆さんの一所懸命な姿を見て、勇気をもらう社会人がたくさんいます。納得のいく就活ができるよう、私たちも応援しています!

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。