-shared-img-thumb-KAZUP1080821_TP_V

(※このブログはBooks&Appsに寄稿した記事を編集したものです)

先日、10年ぶりに大学時代の留学仲間に再会した。見た目や性格は10年前とほとんど変わっていないが、活躍する場は様々だった。

一人は若干30歳にして、10名の部下を指導する部長になっていた。

もう一人はベンチャー企業の右腕としてビジネスを取り仕切った後、転職して一から再出発していた。

別の一人は、平日は営業、土日はセミプロのバスケットボール選手として活躍していた。

最後の一人は、東南アジアでエネルギー関連の会社を自ら立ち上げていた。

 

学生時代から個性が強いメンバーだと感じていたが、その個性にさらに磨きがかかっていた。まだみんな30代前半ということもあって、迷いや悩みも当然抱えている。しかし、自問自答しながらも何とか答えを見つけ、前に進もうとしている姿はとても魅力的だった。

 

なぜ彼らはこんなにも「自分」と「自信」を持って生きているのだろうか。

 

私たちは生まれも育ちもバラバラだ。ただ唯一共通するものといえば、18歳という時期に、アメリカの小さな田舎町の大学に留学しているという事実だけであった。

であれば、やはり留学経験が「自分」と「自信」を持つ人格形成に大きな影響を与えているのだろうかー。

 

誰もが経験する、途方もない「寂しさ」

留学生が最初の3ヶ月に経験するもの。それは「孤独」との戦いである。異国の地でたった一人、言葉が不自由な中暮らしていくのはなかなか辛い。

私も高校生で初めて留学した時、孤独に押しつぶされそうになった。

その頃はFacebookもLINEもないので、親や友達とのやりとりは手紙だ。国際電話なんて高くてかけられないから、そう簡単に日本と繋がることはできなかった。

授業以外、誰とも話さないで1日が過ぎることはしょっちゅうだった。家に帰ってテレビを見ても理解ができない。ホストファミリーと他愛ない会話をしても、10分続けるのがやっと。

それ以外はほとんど自分一人の静かな時間が流れていく。油断するとすぐに襲ってくる寂しさに、ひたすら耐える毎日だった。

 

二種類の孤独

『それでもあきらめない ハーバードが私に教えてくれたこと』(あさ出版)の著者である林英恵さんは、そのタイトル通り、ハーバードに留学経験がある。彼女も留学当初は孤独との戦いだったと話している。

「孤独」には、2つの種類があると思う。

ひとつは物理的な孤独。もうひとつは、精神的な孤独。「家族や友達と会いたい」「日本が恋しい」というように、距離が離れているゆえに感じる物理的な孤独は、時間が解決してくれる。その瞬間はつらくても、時間が経てば、寂しさは薄れていくからだ。

しかし、精神的な孤独は、そうはいかない。「夢中になれるものが見つからない」「自分の居場所がない」といった寂しさは本質的なものだから、いくら友達と会ったり、恋愛をしたり、買い物をして気を紛らわせたししても、うまくいかないのだ

確かにその通りだと思う。

留学生の中には、物理的な孤独に耐えられず、同じ日本人とだけつるんでしまう「遊学生」と揶揄される人たちがいる。「せっかく留学しているのにもったいない」と批判されることも多いが、一人でいる寂しさに耐えられず日本人とつるみたくなってしまう気持ちは大いに分かる。

それでも自分を奮いたたせ、物理的な孤独とうまく付き合えるようになると、結果的に精神的な孤独が徐々に和らいでいくのではないかと思う。

精神的な孤独は、周りの人ではなく自分でしか埋めることはできない。であれば、せっかくの一人の静かな時間を、自分と向き合う時間として活用するのだ。

 

なぜ人と違う道を選んだのか。

自分は一体何者なのか。

将来は何をしたいのかー。

 

ちなみに私の場合、一人の時間は日記を書いて過ごすようになった。葛藤や複雑な感情をノートに吐き出すと、自分が今何に悩んでいるのか、客観的に見ることができた。

そして、今後どうすればいいのか解決策も考えられるようになった。最後にポジティブな言葉で締めくくれば、日記を書く行為自体がストレス発散にもなり、とても良い効果をもたらした。

 

自分と対話する習慣

そうして身についた「自分と対話する習慣」は今でも続いている。

冒頭の留学仲間が、私と同じように日記をつけていたかわからない。ただ、みんなそれぞれ物理的な孤独を受け入れる術を身につけていたと思う。

私たちは仲は良かったが、決してお互いの寂しさを癒すためだけにダラダラとつるむ関係ではなかった。ちょうど良い距離を保ちながら、それぞれが精神的孤独と戦いながら、自分を見つめるのに必死だった。

そして10年経った今も、戦い続けている。

いや、戦うというより精神的な孤独とうまく付き合っているという感じかもしれない。孤独から逃げず、ごまかさず、ちゃんと向き合う訓練をしてきた人間だからこそ、魅力に溢れているのだと思う。

 

まとめ

私は留学を通して「人は一人では生きていけないけど、自分の人生は自分でしか生きられない」ということを学んだ。たくさんの人に支えられ、感謝しながらも、自分で決断し自分で責任を取る。

しかしそのような学びが得られるのは、留学だけではない。人生、誰にも孤独と向き合わなければいけない時があるはずだ。

もしあなたが孤独と感じる時があったなら、そこで寂しい感情に振り回され、他の何かで埋めようとするのは勿体無い。むしろ自分と対話する良いチャンスなのだから、ぜひ積極的に受け入れてみてはどうだろうか。

それでもどうしても寂しい時は、誰かを頼ればいい。そうやって孤独とうまく付き合っていけるようになれば、私たちは強く優しい人になれのではないだろうか。

 

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。