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ある中小企業の課長として働く友人から、転職相談を受けた。

 

理由はないけど、とにかく休みたい

「実は会社辞めようかな、って思ってて。」

「へー、そうなんだ。確か前もそんなようなこと言ってたよね。何で辞めたいの?」

「なんかもう、疲れちゃって。」

「えっ・・・?(それって精神的にヤバイやつじゃないの?)」

「なんか最近、夜は眠れないし、昼間は手の痺れが止まらないんだよね。」

 

友人の疲れ切った表情と声のトーンから、明らかにウツの一歩手前と思われた。

ふつう転職を考えるときは、転職したい具体的な理由があるものだ。「新しいスキルを身につけたい」とか「会社の文化が合わない」とか。前向きだろうと後ろ向きだろうと、何らかの理由が存在する

「理由はないけど、とにかく休みたい」という場合は、休職が解決策であって、転職では解決できない。過去の経験上、こういう時はリアルに休むのが最優先である。

 

私は、自分の提案が絶対に受け入れられないことは百も承知で、一応「休みなよ」と言ってみた。

すると案の定「仕事が…」「休んだら迷惑が…」と言われてしまった。

 

「できる人でなければイケない」という強迫観念

友人の主張はこうだ。

・社長の期待に応えたい

・自分はマネージャーだから、部下の前で弱音は吐けない

・常に前向きでいないとダメだ

・手の痺れと睡眠障害くらい、休む理由にならない

・まさか自分がウツだなんてありえない(認めない)

もはや何かの脅迫観念に駆られているように、自分で自分を追い込み続けている。身体に症状が現れていても、客観的に自分を見ることができなくなってしまっている。

上のような思考の持ち主は、真面目で、責任感が強く、従順な、いわゆる”優等生幹部”に多い。

対象的に、彼らが仕える上司にあたる人、例えば中小・ベンチャー企業の経営者などは、メンタルが強い。

語弊を恐れず言えば、強いというより人の気持ちに鈍感で自己中な人が多い(ちなみに鈍感というのは褒め言葉だ。それ位じゃないと起業なんて出来ないと思う)。平気で遅刻はするし、仕事の振り方は適当だし、自己主張は強いし、相手の話は聴かないし、周りにどう見られてるかなんて気にしない。

 

潜在的ウツだと感じたら、まずはこれをやってみて

友人の上司も、例にもれず上の特徴を備えている。そんな人のもとで従順に働こうとすれば、そりゃウツになるだろう。建前は尊敬していても、本音では「あんな人にはなりたくない」と、反面教師にしているかもしれない。

しかし、そんな鈍感で自己中な人たちから学ぶものは多い。もしうつっぽい症状から抜け出したいのであれば、以下のことを心がけてみてはどうだろう。

 

とにかく休む

頑張ればいいのか、頑張らない方がいいのか。でも書いたが、自分を追い込みやすい人は、「頑張らないこと」自体を頑張ってやろうとする。それではいつまでも自分を追い込み続けることになる。まずはとにかく休む。もう十分休んだだろうと思えるまで休む。サボってるくらいの感覚がちょうどいい。

 

他人に休む理由を作ってもらう

とはいえ、休めないのが優等生の特徴。休むのは悪いことと思い込んでいるため、自分の力、自分の意思だけで休むことができない。であれば、周りの力を借りるしかない。個人的には専門家を受診して「1ヶ月休みましょう」という紙を発行してもらうのが一番手っ取り早いと思う。

 

自分は潜在的にウツになりやすい人間だと自覚する

厄介なのが、まさか自分がウツだなんて認めたくないという場合である。でも仕方ない。身体的症状が出ていて、とにかく休みたいなんて思う時点で、健康的な精神状態じゃないんだから。自分が人よりも頑張りすぎること、追い込みやすいこと、メンタルがそこまで強くないことを認めてあげる。それが第一歩。

 

他人と共有する

頑張り屋さんだけど実はメンタル弱めだということを、誰か一人でもいいから打ち明けてみる。「そんなこと周りに言ったら、自分はダメなやつと思われるんじゃないか」と心配かもしれない。でも、別にダメな人間と思われても良いじゃん。それくらいの気持ちでいる。実際打ち明けたところで、周囲は自分が思うほど批判してこない。親や友人に話せないなら、それこそ専門家を頼ればいい。

 

自己中な人から”したたかさ”を分けてもらう

自己中な人は結構いる。何回も平気で遅刻を繰り返すなんて、自分だったら考えられないと思う。でも実際遅刻を繰り返す人はいる。同じように適当にサボる人、周りを振り回す人、いろんな不完全な人間がいる。というより、完璧な人間なんて世の中にいないのだ。

周りの経営者なんて、ビジネスはうまいが、人間的にどーしよーもない人たちのほうが多い。でもそうした欠点があるからこそ愛嬌があるし、人間らしいと好かれたりする。大丈夫。あなたが思うほど、周りはそこまで気にしていない。

 

まとめ

結局友人は「話して少し楽になった!仕事頑張る!」と言って、もう少し頑張ることを選択した。

本当は頑張らずに休んで欲しいのだが、結局は頑張る方を選んでしまう気持ちもわかる。仕方がない。だって、私たちはずっと「頑張ることが素晴らしい」という社会の中で育ってきたのだから。

潜在的ウツ状態の人は、世の中に沢山いると思う。

できる人を目指すレースから脱落し、ウツになるのは本人の責任だろうか。それとも、できる人でなければ失格だと脅迫を続ける、私たち社会の責任なのだろうか。

 

 

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。