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(※この記事はBooks & Appsに寄稿したブログを編集したものです)

毎日の仕事に疲れ、ふと「ちょっと休みたい。もう少し自由な時間が欲しい。そうだ、海外でも行こうかな」と思うことはありませんか。

海外に行くと全てがリセットされて、自分を知る人は誰もいない、自分を縛りつける常識や規則から解放される、そんな錯覚を覚えることがあります。

私がシンガポールにいた時、会社を辞めた友人がそんなノリで会いに来てくれたことがありました。

彼女は優秀な私立大学を卒業し、新卒で大企業に就職しました。一見誰もがうらやむ大手企業なのですが、内情はゴリゴリの営業会社。目標はキツく、個性を活かすよりも会社のマニュアル通りに営業することが求められたそうです。

戦後の高度成長期を支えてきた、ザ・日本企業という昭和な感じの会社だそうです(一応外資系のグループなんですけどね)。

裕福な家庭でのびのびと育ってきた彼女は、入社後早々、これまでの生き方や価値観そのものを否定されているように感じました。

3年は頑張ろうと思ったそうですが、心身ともに疲れ果て2年9ヶ月で会社を辞めました。

 

会社員を辞めて待っていたのは自由気ままな生活

しばらくの間、彼女は海外にいる友人を訪ねて周り、元気になっていきました。本来の自分に戻ったと言うほうが正しいかもしれません。

もともとコミュニケーション力が高く、自然体で人を惹きつける魅力を持っています。英語が喋れなくても、初対面の人とすぐ友達になれます。

会社員生活から解き放たれ、彼女の生活は変わりました。

好きな人とお酒を飲む。好きな時間に起きる。好きな洋服を着る。好きな時にバイトをする。会社からノルマを言い渡されるわけでもなく、誰かと常に評価されるわけでもありません。

さて、一見自由な生活を送っているように見えますが、果たして彼女は本当に自由を手に入れたのでしょうか。

 

自由になるために必要な二つの要素

久しぶりに会った彼女を見て自然体で魅力的だと感じましたが、正直、自由だとは思えませんでした。むしろどこか不自由な印象を受けました。

どうしてそう感じるのか、森博嗣『自由をつくる 自在に生きる』(集英社新書)の一節を読んで納得がいきました。

 

自由というのは、「自分の思いどおりになること」である。自由であるためには、まず「思う」ことがなければならない。次に、その思いのとおりに「行動」あるいは「思考」すること、この結果として「思ったとおりにできた」という満足を感じる。その感覚が「自由」なのだ

 

つまり、自由を手に入れるためには「思い」と「行動」の両方が揃っている必要があるのです。

森氏は、動物や赤ちゃんを引き合いに出し、彼らは不自由だといいます。動物の生活は食べることと、食べられないことに支配されいています。それは自分の意思で決めたことではなく、本能としてセットされていること。自らの思いどおりに行動しているわけではないので不自由なのだそうです。

彼女の場合、自らの意思で好きなことを好きな時にしているのだから、自由なのでは?と一瞬思いました。

しかし考えるべきは、それは彼女が本当にしたいことなのか、です。出会った時に覚えた不自由な印象は、彼女の人生に「思い」が決定的に欠けていることから生まれていました。

 

世間の流れに身をまかせるのもある意味自由

ちなみに、思いが欠けていることが悪いと言っているわけではありません。人はそもそも支配されたいという傾向があります。

自分で考えずに誰かに指示をもらうのは楽だし、周囲に流されながらみんなと同じことをやっていれば安心できる。そう生きていきたければ、ある意味思いは実現されているわけで、すでに自由なのかもしれません。

でも彼女の場合は違いました。会社に入って、自分が不自由な状況にあると認識しました。

そして群れから離れ、自分が行動したい「思い」は何なのか、立ち止まって考えています。自由への最初の一歩を踏み出そうとしているのです。

 

何がやりたいのか考える。宿り木としての海外放浪は最高の手段。

「で、自分はどうしたいの?」という言葉は、時に鋭いナイフのように心臓をえぐります。それを知ってて、私はあえて彼女に聞きました。彼女は「わからないです」と答えてくれました。

会社員を辞めるだけでは自由にはなれません。海外を放浪したって同じです。行くこと自体が問題を解決してくれるわけではないのです。

ただ、海外という全くの異世界で沢山の刺激を受け、一人の時間を過ごすことは「自分の思い」を見つけるには最高の手段だと思います。

海外放浪は、あなたを自由へのスタートラインに立たせてくれるのではないでしょうか。

 

 

◆筆者Facebookアカウント http://www.facebook.com/rie.oshima.520(フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします)

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。