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(※この記事はBooks & Appsに寄稿したブログを編集したものです。)

あなたには「理想の上司像」があるだろうか。

私にはある。

 

それは過去に出会った、ある三人の上司の姿だ。

そのうち二人には直接指導をいただいた。もう一人は私の友人である。

皆、若くして事業部長や支社長など責任のあるポジションに就いている、優秀な人たちだ。

 

理想の上司像

その三人は、どこか同じような雰囲気をまとっている。

当たり前だが、プレーヤーとしての仕事は一流だ。自分がなすべき役割をしっかり認識し、目標に向かって静かに邁進する。その姿は職人のようだ。

そして、自分の上司に対して高い忠誠心を持っている。それはまるで殿様に仕えるサムライのようで、部下としても一流だ。

 

そんな彼らを上司に持つと、何というか、とても心地が良い。

 

彼らはみな強面で口数が少なく、仕事には厳しい。

手取り足取り面倒を見てくれることはない。仕事の進め方など、細かいことに関してはむしろ放置に近く「自分で考えろ」と突き放す。

けれど、隠れた深い愛情を感じとることが出来る

なぜなら普段は仕事の進捗なんて聞かないくせに、絶妙なタイミングで飲みや食事に誘ってくるからだ。

落ち込んでいる時はそっと励ましてくれ、逆に調子に乗ってしまいそうな時は、ガツンと心に強烈な一発をお見舞いしてくれる。

 

ここぞというポイントを見事に押さえている。

 

彼らには自分の評価を無駄にアピールする必要はない。どんなに遠くからでも、しっかり見てくれている。

おかげで部下は自然体のまま、最高のパフォーマンスが出せるよう集中して仕事に向かうことができる。

 

そんな彼らが私の「理想の上司像」だ。

 

仕事の基本は学校社会で自ら学ぶ

そんな尊敬する三人には、ある共通点があった。彼らは全員、高校生のうちから理不尽な上下関係を経験し、高校を卒業後すぐに働き始めている

 

例えば一人の上司は、荒れた学校の出身だった。教師からの体罰は当たり前。

先輩・後輩の上下関係も厳しく、言われたことは従うしかない。しょっちゅう使い走りにされたそうだ。

先輩から突然呼び出され「〇〇のコンビニでおでんを買って来い。大根とちくわと玉子と・・・」といきなり指示が飛んでくる。メモなんて取れないから、必死で頭で覚えるしかない

一年生が終わる頃には、各コンビニにどの商品が置いてあるか、ほとんど網羅するようになっていたという。そして、先輩の好みに合わせて「あそこのメロンパンが美味しいです」なんて逆提案する技まで覚えたらしい。

 

上から可愛がられる要諦やミッションを完璧に遂行する術を体で学んだ彼らだから、仕事ができないわけがない。

 

 

「18歳で社会に出て、仕事なんて選べなかった。」

もう一人の上司が言った。

「私、高卒なんですよ。18歳で社会に出て、仕事なんて選べなかった。

仕事なんてきつくて当たり前だと思ってた。

だから仕事が楽しいとか、やりたい仕事があるとか、社会に貢献したいとか言ってる人を見ると、スゲーなって思うんすよ。

 

私はこの話を聞いて、事業部長をしている人がよくぞここまで謙虚な発言ができるものだと思った。

同時に「やりたいことがこの会社では出来ない」などと、何も結果を出していない内からわめいていた自分が恥ずかしくなった。

 

そう告白すると、

「そんなことないですよ。それはそれで素晴らしいと思う。

やりたいことがわからない人の方が世の中多いと思うんですよね。

だから私は、やりたいことがある人はすごいと思う。

やりたいことは、諦めずに追いかけた方がいいと思います。」

 

そんな風に言ってくれた。一体どこまで人格者なんだ。

 

 

「◯◯さんは、やりたいこと、ないんですか?」

 

「私? 私にはやりたいことなんてないっすよ。

あ、でも一つだけあるかな。仲間と楽しく過ごすこと。」

 

「なんでそれがやりたいことなんですか?」

 

「だって人間って弱いじゃないですか。一人の力なんて限られてるけど、誰かいたら心強いし、楽しくないっすか?

 

全ての人を自分より偉いと思って仕事をする謙虚さ

そういえば、経営の神様と呼ばれた松下幸之助は9歳の時、小学校を四年で中退している。そして、すぐに丁稚奉公として働き始めた。

学歴の浅い彼は、読み・書き、一般常識に至るまで、あらゆることを人から学んだ。

松下幸之助は、こんな名言を残している。

 

すべての人を自分より偉いと思って仕事をすれば、必ずうまくいくし、とてつもなく大きな仕事ができるものだ。

 

この言葉を初めて聞いた時、衝撃を受けた。

日頃から自分のことを偉いと思っているわけでは決してないが、自分の中に多少なりとも自惚れや驕りがあることは自覚している

そんな小さなプライドや傲慢さは、この名言の前に一蹴せざるを得なかった。それまで後輩に対して先輩風を吹かしてきたことを、猛烈に反省した。

同時に、その日からどんなに自分の方が知識や経験がある分野であろうと、素直な心で相手の話を聞こうと心がけることにした(出来ているかどうかは別として・・・)。

 

ちなみにここで学歴の話をどうこう論ずるつもりはない。

むしろ真の学びとは、年齢や立場、肩書や権威に関係なく、すべての人から等しく学ぼうとする素直な心から生まれるのかもしれない。

 

改めて三人の理想の上司に共通するものを考えてみる。

それは人に対する「謙虚さ」だ。

年下の部下に対して敬語を使う。自分には無いものを持っている人を、素直にすごいと褒める。すべて謙虚さがなせる技なのだ。

 

日本ではもうすぐ異動の季節。新たに部下や後輩を持つ人もいるだろう。

あなたがもし大きな仕事を成功させたければ、部下や後輩を自分よりも偉い人と思って仕事をしてみてはどうだろうか。

 

 

◆筆者Facebookアカウント http://www.facebook.com/rie.oshima.520(フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします)

1985年生まれ 東京都出身

経営コンサルティング会社へ新卒で入社。その後シンガポールの現地法人へ転職し採用業務に携わる。日本人の海外就職斡旋や、アジアの若者の日本就職支援に携わったのちフリーランスとして独立。現在は開発コンサルタントとして国際開発援助やソーシャルビジネス支援に従事。