目標達成する人、しない人の違いは「技術」?
IELTS、TOEFL、TOEIC、英検。
これまで様々な英語試験の授業をさせて頂きましたが、同じように指導していても目標達成して留学を実現する人と、目標を達成できず途中で断念してしまう人がいます。
「この両者の違いは何なんだろう?」
これは私の中でしばらく大きな疑問でした。
すぐ頭に思い浮かんだのは、「目標達成するための技術が不足しているから」という仮説。
それなら私が経営コンサルとして培った「目標から逆算してPDCAサイクルを回す」技術を伝授すれば、みんな目標を達成できるのではないか。
そう考えて、生徒さんと一緒に目標を確認し、計画を立て、振り返りを行い、次の計画を修正していくというサイクルを一所懸命に回していました。
結果は、半分正解で半分不正解。
このやり方がハマって目標達成した方は沢山います。
ただ、やっぱり達成できない方もいる。
そして何となく、直感でしかないけれど、達成できない人には何か共通の姿勢を感じる。でもそれが何なのかはわからない。
モヤモヤが渦巻いて、自分が力になれない現状に落ち込む時期がありました。
そんな時、ふと立ち寄った京都の書店で懐かしい本を見つけました。
3センチほどの厚みはあるかな、その聖書のような佇まい。『京セラフィロソフィ』です。
経営コンサルタント時代の上司が「稲盛さんはすごいよねぇ。もう経営者というより、哲学者だよね。最後は宇宙にまで行っちゃうんだもん」と言いながら大切に読んでいたのを思い出しました。
懐かしさから手に取ってパラパラ読み始めると、冒頭数ページで全身に衝撃が走りました。そこに、私がずっと探していた疑問の答えがズバリ書かれていたのです。
「何冊も英語学習法の本を読んでも見当たらなかったのに…まさか稲盛さんに気づかされるとは!」
思いもよらないところでの必然の出会い。まさに宇宙の意志が働いてくれたのかもしれません(※「宇宙の意志」について知りたい方は是非本書を読んでみてください)。
人生・仕事の結果=考え方 × 熱意 × 能力
『京セラフィロソフィ』とは、京セラ創業者の稲盛さんが、人生や仕事全般に通じる原理原則、彼の哲学について著した本です。
この本で冒頭紹介されているのが、
という方程式です。
この方程式のポイントは足し算ではなく掛け算なところ。
例えば、「能力」八十の人の「熱意」を十とすると、その積は八百です。一方、「能力」四十の人が九十の「熱意」を持っているとするなら、その積は三千六百となるのです。足し算で考えると、その差はわずかですが、掛け算で計算するとその差は大きく開いてしまいます。
引用:稲森和夫『京セラフィロソフィ』(サンマーク出版)
どんなに「能力」が低くても、「熱意」さえ強ければ大きな結果が出る。新人の頃、この言葉によく救われました。
そしてこの3つの中で何より重要な要素が「考え方」。
「考え方」とは、経営哲学や人生観を指します。これについてはマイナス100からプラス100まである。つまり、考え方がマイナスであれば、その結果は必ずマイナスになるということです。
熱意や能力が高ければ仕事や人生の結果は単に大きな値となりますが、考え方がマイナスだとそれは大きな負の結果を仕事や人生に生み出してしまう、ということになります。
だからこそ稲盛さんは考え方がマイナスに傾かないように、心を高める努力と反省を繰り返さなければいけないと説いてます。
(余談ですが、これは最近でいうと戦略コンサルご出身の山口周さんの書籍『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』(光文社)にも書かれている美意識(考え方)にも通ずるのではないでしょうか。)
英語の勉強に必要な「考え方」は目標によって異なる
新人コンサル時代、「プラス思考」「すなお」「学び好き」といった、人として基本的に大切な価値観を徹底的に教えてもらっていました。
なので、「考え方」が大事という点は何となくわかっているつもりでした。
そしてこれらは普遍的で、誰もが一律に持つべき心構えなんだと思っていました。
しかし改めて稲盛さんの言葉を読んでみると、目標をどこに置くかによって、「考え方」は違ってくると書かれているではありませんか!
自分の会社をどこへもっていこうと思うのか、あるいは人生の目標をどのようにしようと考えているかで、その目的達成のために必要な「考え方」は異なります。より高い山に登ろう、より高いレベルの会社にしよう、自分の人生をより充実したものにしていこうと思うなら、「考え方」はその目標にふさわしい、より立派なものを持たなければなりません。つまり、目標をどこに置くかによって、「考え方」は違ってくるのです。
引用:前掲書
「会社」のところを「英語学習」に置き換えてみてください。
自分の英語学習をどこへもっていこうと思うのか。より高いレベルの英語学習にしよう、自分の人生をより充実したものにしていこうと思うなら、より立派な考え方を持たなければならない。
ただ単に良い考え方を持ちましょうというわけではなく、目標の高さが高ければ、自分の「考え方」を、その目標にふさわしいレベルにまで磨いていかなければいけないという風に仰っているです。
少しストイックで、少しきまじめで厳しい生き方をしよう
この一文を読んで、目標がなかなか達成できない方と目標達成者との間には、目標の位置の捉え方にズレがあることに気づきました。
「年に一度の海外旅行で、英語で注文したい」とか、「しゃべれなくていいから、英語の記事を何となく読めるようになりたい」という目標であれば、その目標にふさわしい勉強の心構えで足ると思います。
でも「IELTS 6.5取得」や「大学院の授業についていく英語力を身に着ける」という目標は、一般的な英語教育を受けてきた日本人にとってはとても高い山。
同じく稲盛さんが目指した山も、とんでもなく高い山でした。
私は京セラ創立以来、従業員に対して「少しストイックで、少しきまじめで厳しい、そういう生き方をしよう」と言い続けてきました。
引用:前掲書
稲盛さんは従業員が28人の時、京セラの目標を「世界一」に据えました。
世界一という高い山に登るには、それなりの装備、つまりそのような「少しストイックで、少しきまじめで厳しい」考え方が必要です。
私はこの言葉を、そっくりそのまま IELTS 6.5 や大学院留学を目指す人(そして自分自身)に送りたいと思っています。
単語を覚える、文法を理解するといった知識や能力を高めることも大事です。でも、
- 「今日やると決めた範囲は今日中に終わらせる」という自制心
- 「先生に言われたことをまずは忠実にやってみる」といった素直さ
- 「スコアには表れていないけれど、英語力自体は確実に伸びている」と信じられる前向きさ
そうした心を磨く努力も同時にしていかなければ、IELTS 6.5、その先の大学院留学という高い目標はなかなか達成できないのだと、改めて気づかせてもらいました。
英語の勉強は人の心を磨いてくれる
「英語の勉強を通して、人間として成長できる」
これは意外と知られていない真実だったりします。実際、ハードな受験勉強を終えて IELTSの目標を達成した人は、全員口をそろえてこう言います。
高い目標に向かう時、自然と自分の心が試される。
それは仕事でも英語の勉強でも同じですね。
このブログには今後も稲盛さんの言葉がちょいちょい出てくると思います。
▼ IELTSの目標達成者が持っている具体的な「考え方」についてはこちら
みなさんこんにちは、Ringoです。 IELTSの勉強、順調に進んでいますか? このブログを読んでいらっしゃるということは、まさに猛勉強の最中と思います。一方で、 「頑張って勉強しているけど、スコアが伸びない……。」 「勉強しなきゃいけない[…]