インタビュー企画第3弾は、イギリスに8年間留学されていた Kotone さんによるイギリス留学の体験談です!
会った瞬間に引き込まれるミステリアスな印象とは裏腹に、人懐こい笑顔であっけらかんと喋ってくれる Kotone さん。幼いころから好奇心旺盛で、自立心が強かったという彼女がイギリス留学を決めたのは、なんと13歳。
なぜ13歳で留学を決断したのか。そしてその決断は果たして正しったのか―。
Kotoneさんのプロフィール
これまでの歩み
- 奈良県で生まれ育つ
- 11歳(小学5年生):ニュージーランドに短期留学
- 13歳(中学2年生):イギリス留学に興味を持つ
- 14歳(中学3年生):イギリスの中学校(全寮制)に転入する
- 16歳:セカンダリー・スクール(義務教育)を修了(GCSE)
- 19歳:GCE-Aレベル(全国統一試験)を受験し、大学に進学
- 22歳:University of the Arts London BA (Hons) Graphic Designを卒業後、日本に帰国。日本の大手エンタメ企業へ就職予定
2歳で親から自立した幼少期
―Kotoneさんは小さい頃、どんな子どもだったんですか?
幼い頃からこだわりが強く、周りに流されない生き方を選んできたように思います。
幼稚園の図工の時間、みんながお花の貯金箱を作っている中一人だけ「真実の口」をモチーフにした貯金箱を作ったり、8歳でフラワーアレンジメントの教室に通いたいと言い出し、マダムたちに混ざって花を生けたりする変わった子でした。
今でもよく親に言われるのですが、私が2歳の頃、「今日から一人で寝るから入ってこないで」と突然の自立宣言をしたらしいんです。昔から自立心は強かったみたいですね(笑)。
また好奇心が旺盛で「気になったらとりあえず挑戦してみる」ことを心掛けていたので、小学生の頃は色んな習い事をやらせてもらっていました。
両親にはやりたい事は全てやらせてもらっていたので、本当に恵まれていたと思います。ただ一度始めたことを簡単にやめさせてくれることはなく、「なぜやめたいのか」をちゃんと説得できるまでやめさせてくれないような、厳しい一面もありました。
海外旅行が好きな家庭だったので、小さい頃から海外は身近な存在だった気がします。
―小学5年生の夏休みにニュージーランドに短期留学したとのことですが、それはご両親から提案されたのですか?
いえ、小学校にたまたまパンフレットがあって、それを見て行きたいと思い自ら両親に交渉しに行きました(笑)。
「短期留学」という言葉は小学生の私にとってあまり馴染みのない言葉でした。だからこそ探究心・好奇心旺盛な私にとても魅力的に感じました。
言語の壁、馴染みのない文化や食事、見た事もない景色など、当時11歳だった私にとってすべてが衝撃的でした。
家族旅行では味わうことができなかった苦労や、様々な問題を乗り越えたときの感動、そして達成感を10年以上経った今でも覚えています。
大きな変化を求めて13歳で留学を決意
―その後中学に進んですぐに留学を決断されていますが、それはどのような経緯だったのですか?
父の知り合いの方のお子さんが小学生の頃からイギリスに留学されていて、私も興味を持ちました。
イギリスの個性を尊重した教育制度などの話に魅力を感じ 「行ってみない?」「行く!」の一言で決まりました(笑)。
ちょうど中学生活を送る中で何か大きな変化がほしいと思っていた頃だったので、ニュージーランドで味わった経験を再び味わいたいと思い、即決しました。
―中学1年生で大きな変化って…早すぎませんか?(笑)
私立の一貫校に入学したので、このまま部活して、受験勉強して…となんだかもう先が見えてしまったような気がしたんです。
イギリス行きを決めてから実際に留学するまではすごく早かったです。紹介してもらった留学エージェントに相談し、そこで学力にあった学校をいくつか選んで頂き、エントリーテストなどを受けました。
エージェントのオフィスが東京だったため、学校に通いつつ、奈良から東京オフィスにも通わなければならず、そこは大変でした。でも出願や学校選びなど、全て対応していただいたので留学準備自体はスムーズに進めることが できました。
小学生の頃から英会話には通っていたものの英語力はほぼゼロの状態だったので、留学前は週3回マンツーマンで、つきっきりで教えてもらっていました。
不安がこみあげ留学初日に大泣き
―そして中学3年生の4月に渡英し、合計8年間留学されたわけですが、特に大変だったことや苦労した思い出などはありますか?
8年の留学の中で大変だった事は正直数えきれないほどありますが、特に記憶に残っているのが留学初日です。
英語力ほぼ0の状態で行ったので言葉の壁にぶつかってしまった。加えて知り合いがいない、文化も違う国でこれから一人で生活していかなければいけないなど、いろんな不安がこみ上げてきて大泣きしてしまいました。周りの人が優しく慰めてくれた事はいまだに忘れられません(笑)。
日本を発つまでは寂しいと感じることは一切なかったのですが、飛び立った瞬間に寂しさや不安がこみあげてきた感じです。
―寮生活などはいかがでしたか?友達はすぐにできました?
とにかく友達を作らないと始まらないと思い、積極的に友達の輪に入っていきました。話題作りのために、日本から持ってきた変な筆箱を使ったり、食品サンプルを見せてみたり(笑)。日本にいる時から盛り上げ役なことが多かったので、話しかける時に「恥ずかしい」といった気持ちはあまりなかったです。
周りのイギリス人の友人はめちゃくちゃ喋る人が多かったので、私もしゃべらないと負けてしまうと思って、必死にみんなの後を追ってリスニング力を鍛えていました。
個人的な意見ですが、イギリス人の気質は日本人と似てると思います。同じ島国文化だからか、人間関係の距離を詰める感覚が似てるんですよね。いきなりハグとかではなく、様子を見ながら徐々に距離をつめていく、みたいな(笑)。
寮生活では、一部屋に多い時は8人で暮らしていた事もあったので、孤独を感じることは全くありませんでした。夜中にみんなで寮を抜け出して先生に見つかり罰を受けたなど、今思 い返せば良い思い出ばかりです。
英語を通して様々なバックグラウンドの人たちとコミュニケーションが取れるように
―イギリスに留学して良かったことは何ですか?
留学して良かったことの一つ目は英語力の向上です。英語力が向上したことで、世界中の人々とコミュニケーションを取ることができます。今では世界中に友達がいるので、将来は世界中にいる友達に会いにきたいです。
コミュニケーションツールとしてはもちろん、何か調べ物をする時も役立っています。日本語のみならず世界中の情報を入手することができ、大学の論文や趣味の範囲でも英語力が大活躍しています。
二つ目はコミュニケーション能力の向上です。イギリスの教育方針で、授業はブレインストーミングやグループディスカッションが多く、気候変動や人種問題など様々なテーマで議論する機会がありました。
私自身はそうした討論会に行きたくない時もあって、そんなときは椅子やクローゼットの中に隠れたりしていました。で、みんなが私を探すみたいな(笑)。
それでも議論に参加することで、チームメイトの意見を汲み取りながら自分の意思も発信する事の重要性を学ぶことができました。
大学ではさらに世界各国の多様なバックグラウンドを持つ人々と触れ合い、観察眼が鋭くなったと思います。彼らと意見交換をすることは、非常に刺激的な経験になりました。
―イギリスと日本を比べて何か気づいたことはありますか?
そうですね…例えば集団行動については違いを感じます。
日本は「個性を押し殺して集団になじむことを優先する」と言われ、少し悪いこととして捉えられがちですが、それはそれで良い面もあると思います。
あと日本は治安も良いし、みんなまじめで、サービスの質も高い。
逆にイギリスは個人の意見を主張する人が多いので、ケンカも多いし、サービスの質も…(苦笑)。イギリスは古い建物を修理しながらずっと使ったりするのですが、修理の人がなかなか来ないとかはしょっちゅうです。
あとデモとかストライキも日本に比べて多いです。みんな自分が正しいと主張するので、意見がまとまらない時もよくあります。
私はイギリスで教育を受けましたが、根は日本人のところもあるので「ここは空気読んだ方が良いのにな…」とか思う時はありました。
でも逆にみんな自分の意見を言うので、色んな考え方を知ることができて良かったですね。私が突拍子のないことを言っても「それいいね!」と認めてくれる。だからクリエイティブな部分は伸びやすいのかなと思います。
会話のきっかけをくれた日本のエンタメを、世界に発信したい
―合計8年間イギリスに留学して、帰国後はエンタメ企業に勤務予定とのことですが、どのように就職活動されたのですか?
海外で生活する中で、日本人として日本の魅力をもっと海外に発信し、日本と海外を繋ぐパイプ役を担える仕事に就きたいと考える様になりました。
留学中、世界中のいろんなバックグラウンドを持つ人たちと出会いましたが、大体アニメやゲームの話題で仲良くなることが多かったんです。
自分は日本から来たと言うと、大体「ポケモン」とか「ドラクエ」とかいう日本の作品名が返ってくるんです。
私自身、アニメや漫画、ゲームが好きなので、結局仲良くなる人はそういう共通の趣味が合う人でしたね。友達の家に行って一緒にゲームやったり(笑)。
イギリスでも人気な日本のアニメ主題歌を歌っている歌手が、ロンドンで公演をした時はめちゃくちゃ盛り上がりました。
「あなた日本人なの?超クール!」とか言われて、改めて日本のポップカルチャーの強さを実感しました。
なので、日本が世界に誇ることができる作品をもっと発信し、私のように知らない土地へ行っても誰とでも話せる会話のきっかけをつくりたいと思い、日本のエンタメ企業に就職しようと思いました。
―なるほど、すごい一本芯が通ってますね。就活は苦労しなかったですか?
日本のエンタメ企業に絞って、(海外大学の卒業生を対象にした合同企業説明会へは参加せず)一般枠で日本の学生さんと同じタイミングで就活したのですが、正直、めちゃくちゃ有利でした(笑)。
ずっとイギリスに居たという時点でインパクトが大きかったみたいで、集団面接ではかなり目立ってましたね。「学生時代に頑張ったことは何ですか」というネタにも困らなかったです。
まだ確定していないですが、入社後は海外事業部に配属を希望しています。留学で得た語学力とコミュニケーション力を活かしていけるように頑張りたいです。
これから留学を考えている皆さんへメッセージ
―この記事を読んでいる方の中で、まさに留学準備中の方が大勢います。英語に関してのアドバイスなどはありますか?
やはり出来るだけ早めに準備することをお勧めします。
私はアート系の学部でしたが、ただ作品を作れば良いというわけではなく、事前のリサーチ段階でも大量の英語資料を読みましたし、先生が作品の評価をするので、先生との英語でのコミュニケーションもめちゃくちゃ重要になってきます。
どの大学でもグループプロジェクトが多いので、予め友達がいるとチームもスムーズに組みやすいですよね。なので友達を作るという意味でも英語が話せた方が有利だと思います。
大学に入るとみんな独立しているので、高校のように良い意味でお世話を焼いてくれる人も少ないですし。英語が喋れないから日本人同士でかたまりたくなる気持ちもわかりますし、寂しいから誰かと話したい気持ちもすごくわかる。
でも努力次第で英語は伸びると思います。
―最後にこれから留学を考えている方へメッセージをお願いします。
留学を通して様々な自分の変化に気づきました。多くの苦労を乗り越えることで自分自身の成長に繋がり、視野が広がりました。
私は比較的早い段階で留学しましたが、現地に行ってみると子育てが終わってから留学された方や、50代になって留学された方など、様々なバックグ ラウンドの方が留学されていました。
留学することに早い、遅いなんて関係ない。思い立ったら実際に行動する事が大事だと思います。
一歩踏み出すことで得られるものはたくさんあると思うので、みなさんも是非自分を信じて挑戦してみてください!