皆さんの中には
- 精読はちゃんとできる
- 文法も単語もそこそこ自信がある
- でも一回読んだだけじゃ、結局何の話だったのか頭に入ってこない
という方がいらっしゃると思います。
そのような方に共通して足りない最後のピースは、IELTSに必須の「教養」、つまりIELTSでよく出る分野に対する最低限の背景知識かもしれません。
特に IELTSのリーディングで高スコア(6.5~7.0以上)を取るためには、文章を正しく×速く×深く読める力が必要です。
IELTSの頻出分野に関する背景知識があれば、これら3つすべての力を高めることができます。
リーディングに必要な5つの力
そもそもリーディングを読みこなすには、次の5つの力が必要です。
- 語彙(単語、熟語、慣用表現など)
- 文法(英文の構造を正確に取る力)
- スピード(一文を読むスピード、パラグラフの内容をつかむスピード)
- 読解力(筆者の言いたいことを理解する力、全体の流れを論理的に読む力)
- 背景知識(文章を理解するために必要な経験や前提知識)
リーディングは総合芸術のようなものなので、単純な英語力だけでは解けません。特にIELTSのような難易度の高い文章で高スコアを狙うのであれば、これら5つの力をバランスよく磨いていく必要があります。
背景知識がないとどうなる?
IELTS のリーディングでは、次のような話題が多く扱われます
- 環境問題
- 生物学
- 歴史や考古学
- 心理学や教育
- テクノロジー
いずれもアカデミックな内容です。
たとえば “natural selection” という単語があります。この単語を単純に「自然の選択」と訳してしまうと、おそらくその文章の内容は理解できないでしょう。
一方で “natural selection” は「自然淘汰」という意味であることを知っており、
「あ〜そうか、ここはダーウィンの進化論の話なのかな?」
と思える人は、理解のスピードと深さが全然変わってきます。
こうした自然科学や人文科学、社会科学の背景知識がないと、
- 文構造は追えるけど、何の話かイメージができない
- 文章の意図や筆者の主張がふわっとしか掴めない
- 結果として、設問に正確に答えられない
ということが起きてしまいます。これでは「読解」ではなく、表面的な「情報処理」に終わってしまいます。
実は情報処理の力だけでも、リーディング単独で6.0くらいまではスコアが取れます。しかし安定的に 6.5 以上取りたい、もしくは 7.0 以上を狙っているということであれば、どんなテーマが出てきても話についていけるよう、最低限の背景知識を入れておく必要があります。
IELTSでよく出る教養知識3分野
ここからは IELTSリーディングで出題されるトピックの具体例について解説していきます。
IELTS のリーディングでは、人文科学、社会科学、自然科学の3つの分野からよく出題されます。
①人文科学(Humanities)〜最頻出〜
歴史、哲学、心理学、考古学、芸術など、IELTS で圧倒的に多いのがこのジャンル。文章構成は「ある歴史的人物や出来事の紹介+筆者の考察」というスタイルになっていることが多いです。
よく出るテーマ例:
- 歴史的人物(ノーベル賞受賞者、有名スポーツ選手、天才チェスプレーヤーなど)
- 古代文明や考古学(例:ストーンヘンジ、ピラミッド、マヤ文明)
- 哲学・倫理(例:人工知能と人間の倫理観)
IELTS には大きく「説明型」と「論述型」の2種類のパッセージあるのですが、背景知識があるとそうした文章のタイプが見えやすくなりますし、文章の流れをつかむスピードが速くなります。
②社会科学(Social Sciences)
教育、建築、都市開発など。社会科学では「研究紹介」型の構成が多く、実験や調査結果が出てきます。因果関係や主張の根拠を読み取る力が求められます。
よく出るテーマ例:
- 子どもの発達心理学(例:言語習得など)
- 教育や学習の仕組み(例:レベル分け vs Mixクラスの効果)
- 教育と経済(例:教育と収入の関連)
背景知識があると筆者の意見やそれを支える根拠、研究の位置づけなど、文章全体の流れがスムーズに追えるようになります。
③自然科学(Natural Sciences)
工学(テクノロジー)、環境、生物など理系分野。専門用語は難しいですが、構成は比較的シンプルで「説明型」が多いです。
よく出るテーマ例:
- 環境問題(例:海洋汚染、絶滅危惧種)
- テクノロジーの進化(例:印刷技術、通信技術)
専門用語にとらわれず、「何をどう説明しているか」が見えてきます。
このように、人文科学、社会科学、自然科学の分野から多くの問題が出題されますが、必ずしも一つのパッセージがどれか一つの分野に限定できるわけではありません。
例えば「都市開発(社会科学)×環境問題(自然科学)」や、「野生動物(自然科学)×歴史(人文科学)」のように、複数の分野にまたがることも多々あります。
教養知識の磨き方
では、一体どうやってこれらの教養知識を身につけていけば良いのでしょうか。
結論からいうと、全部の分野をガチで勉強する必要はありません。ポイントはよく出るテーマを、ざっくり日本語で知っておくこと。
おすすめの方法は3つあります。
- 問題を解いたあと、背景知識を調べる癖をつける
- 文字だけでなく「画像」検索する
- 高校レベルの教科書・参考書を読む
一つ目の背景知識を調べる癖についてですが、IELTSのリーディング問題を解いて答え合わせや意味調べをする際に、Wikipedia などで軽く調べるところまでを「復習」としてセットします。
一度その知識を頭にいれておくと、次に似たテーマが出たときに理解しやすくなります。
二つ目の画像検索ですが、文章だけで読んでもイメージできないことがよくあります。例えば「イギリスの繊維業」「家内工業」の説明を文字で読むよりも、画像検索したほうが方が一発でイメージがわきます。
最後の高校レベルの教科書・参考書ですが、おすすめは世界史です。どの分野であっても、やはり歴史が絡んでくる文章が多いです。
また、大学受験用の小論文の教材もおすすめです。こちらはリーディングだけでなくライティングにもおすすめ。
単語学習ではこのような分野別の単語帳もあります。
いずれにせよ、“読んで→調べて→自分の知識にする”サイクルができると、確実に引き出しが増えます。
IELTS の問題を一題ずつ丁寧に読み背景知識を調べる時間をちゃんと取れば、公式問題集を一冊やるだけで相当な教養がつきます。
まとめ
IELTSのリーディングで 6.5以上を取るには、次の3つを意識していきましょう。
- 特に人文科学ジャンルは頻出!
- 理解の深さとスピードは、背景知識があるかどうかで決まる
- 学び方は「調べる習慣をつける」ことから
リーディングは「英語力」だけじゃなく「国語力」も問われる試験です。
頻出分野の最低限の知識をしっかり入れておけば、似たようなテーマの問題が出たときに対処できるはずです。新しい問題を解くことも大事ですが、ぜひ丁寧に復習をしておきましょう!