英語力が伸びない人の残念な共通点
先日久しぶりに会った友人が「あと2か月でアメリカ人と一対一で商談が出来るレベルまで英語力を上げなければならない」と、かなり無謀な悩みにぶち当たっていました。
彼の英語との闘いは、私が知る限りでも10年は経ちます。
真剣に話を聞いてみると、それはそれは相当な努力と労力をかけて英語を伸ばそうとしていたことがわかりました。
やる気もある。お金も時間もかけている。なのに英語が一向に上達しない。そんなの悲しすぎますよね。
頑張っているけど英語が全然話せるようにならない!という人達には、次のような共通点が見られます。
- そもそも英語に対する苦手意識があり、英語はしばらく勉強していない(中学生くらいから挫折した)
- 今年こそ英語が話せるようになりたい(と毎年心に誓うが、優先順位は万年5位)
- 英語関連の書籍は一通り10冊以上買った(その金額は結構バカにならない)
- その中でも”英語の勉強法”に関する本はしっかり読んだ(問題は解いてないけど)
- 通勤電車の中で英語を毎日聞いている(というより聞き流している)
- 英単語アプリを入れている(使ったのは最初の3日だけ)
- オンラインサービスを使ってネイティブと会話している(けどスピーキング力が上がった気は一向にしない)
- TOEICなどの英語試験は仕事が忙しくて受けられない(本当は点数を知るのが怖くて受けたくない)
この中でも特にもったいないのが、
5. 通勤電車の中で英語を毎日聞いている
7. オンラインサービスを使ってネイティブと会話している
8. TOEICなどの英語試験は仕事が忙しくて受けられない
の3つです。
ゴールと現状を認識してから戦略を立てる
教材やスクールにお金をつぎ込む前にまずやるべきは、ゴールと現在地を確認すること。仕事でもそうですよね。
- 「ネイティブとすらすら会話できるようになる」は今の自分にとって正しいゴールなのか。
- 英語が苦手なのは自覚しているが、具体的にどこが苦手なのか。何でつまづいているのか。
めちゃくちゃ細かい現状分析までは要らないですが、客観的に評価された自分の実力を知ることはとても大事です。そのためには、簡単なテストを受けるのが手っ取り早い。TOEICでも英会話スクールの無料診断でも何でもいいので、とにかく現状を把握しましょう。
テストを受けたくない気持ち、痛いほどわかります。
私もつい最近まで資格試験の勉強をしていたのですが、予備校で行われる毎週のミニ模試が嫌で嫌で仕方ありませんでした。「全然勉強追い付いてないんだもん! 今受けたってどうせ点数低いよ!」と毒づく日々。
そんな時は「テストに向けて100%準備万端な状態なんて一生訪れない。周りの受験生もみんな同じ状態なんだ。合格すれば、鬼のような怒涛の模試スケジュールを組んだ予備校にいつか感謝する日がくる。」と言い聞かせていました(実際その資格試験は合格したのですが、この辛い模試期間に頑張って食らいついたおかげだと思います)。
現状、課題、戦略なんて言葉を使いましたが、要は自分のレベルに合ったところから始めましょう、ということです。 まずは戦略を立てるために必要な材料集めくらいの気持ちで、是非テストを受けてみてください。
焦って英会話に手を出さないで
最近インターネットの発達に伴い、オンライン英会話が流行ってますね。ネイティブの英語に触れる機会が増えたのは喜ばしいことですが、英語の苦手意識が高く、また英語力も初級という方には、正直おススメできません。
理由は「傷つく」から。
だって、そもそも英語に苦手意識があるんですよね。それなのに、単語も知らない、文法もわからない、言葉は聞き取れない状態で戦場に向かい、相手の土俵で戦えと言われても負けるのは目に見えています。相当メンタルやられるだけです(逆にメンタル鍛えるにはうってつけの場)。
英会話が成立するには、相手の話を聞いて、自分の頭で理解して、自分の意見を整理・組立てて、相手が理解できるよう発話する力が求められます。
これら一連の作業を数秒の間に行う、言ってしまえば総合アートです。
ネイティブとの英会話はハードル高めな実践の場。英会話力が仕事で必要なのはわかりますが、その前に必要な基礎固めもしていきましょう。
英語の基礎は文法で固めよう
英語嫌いな人に基礎固めとしておススメなのが、英文法。その理由は二つあります。一つは単語も同時に覚えられてお得だから。もう一つは、正解が一つなのでわかりやすいから。
そもそもなぜ文法を学ぶ必要があるのでしょう。
答えは簡単。ルールだからです。
もし野球をしてみたい、ラグビーに挑戦してみたいと思ったら、まずはルールを学びますよね。スポーツにもルールがあるように、言語にもルールがあります。ルールがあるからその競技が成り立つわけで、みんながそれを守るから楽しいわけです。
同様に、英語を話す時は英語のルールに従ってプレイすると捉えてみてください。
例えば英語は「時制や語順にとてもうるさい」という特徴があります。一方日本語は、多少順番が前後しても意味が通じます。日本語のルールで考えると、語順や時制はあまり気にせず、とにかく単語を並べれば意味が通じるだろう、という発想になります。
でも英語は違います。
英語は語順を見て(聞いて)「誰が誰に対して何をした」と判断します。ですから主語・動詞・目的語(SVO)といった語順を守ることは、英語を理解するうえで基本的なルールとなります。
多くの日本人が誤解している「英会話=日本語をそのまま英語に訳す」という感覚。 ちょっと強引ですが、これは野球のルールを無理やりラグビーに当てはめてプレイするくらい間違ったアプローチです。まさにフィールドが全然違う。
日本語の感覚を英語に当てはめようとすると、いつまでたっても英語という競技を楽しむことはできません。文法はその言語を楽しむための最低限のマナーだと考えてください。
理系の人こそ文法はハマると楽しい
文法が大事というお話をしてきましたが、それよりも大事なのはやはり語彙です。 上の話と矛盾するようですが、知っている単語が多ければ多いほど、文法がわからなくても大体の内容を理解することが出来ます。
でも、今更あの分厚い単語帳を1ページ目から覚えたくないですよね。というより、覚えられない!
若い時のように、単純な暗記は、気合で乗り越えられなくなってしまいました…。一方、大人になって理解力は多少伸びているはずです。何かに関連付けてなら覚えることができる。だからこそ文法問題を解きながら、出てくる例文をそのまま丸っと覚えてしまう方が効率的に語彙を増やすことが出来るのです。
英語はかなりロジカルな言語です。個人的な感覚ですが、英文法は数学の公式を覚えるのにかなり似ている気がします。私は数学は好きではないですが、問題を見て「あの解き方が当てはまるかも?」と考え、公式からキレイに答えが導けた瞬間、相当気持ち良くなります。
英文法の問題は、正解肢が一つです。ということは、正解を導くためのロジックが必ず存在するということ。リーディングのような読解問題に比べ、納得しながら前に進みやすい科目です。
迷ったら会話も文法もやってみる
英語を今年こそ頑張ろうと気合の入っている方は、まず自分がどこに立っているか、現在地を確かめるところから始めてみてください。そのために、ちょっとだけ勇気を出して診断テストを受けましょう。
その上で、自分に合ったゴールを設定することが重要です。いきなり英会話? まずは文法? 迷ったらどちらも挑戦してみてください。ちょっとだけネイティブと話してみる。ちょっとだけ文法問題を解いてみる。「これはレベルが高すぎるな」「これは今の自分に必要ないな」と、感覚的につかむことが出来ると思います。
英語を勉強する全世界の皆さんを応援しています。