TOEFLやIELTSのライティングの対策って、何から始めていいかわからないですよね。特に独学の場合、自分のスコアがなぜその評価なのか、どこが問題でどう改善すればいいのか。誰も教えてくれないので、独学に限界を感じてしまいます。
結論から言うと、ただ語数を増やしたり、テンプレートに頼るだけでは点数は伸びません。
TOEFLやIELTSのライティングで求められる基準を理解し、絶対に外せないアカデミック・ライティングの基本を押さえておきましょう。
中級者はアカデミック・ライティングを意識して書く
あなたがすでに
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TOEFL iBTのスコアが61~79
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IELTSのスコアが5.5~6.0
を持っていれば、本格的なアカデミック・ライティングの練習を始めましょう。
アカデミック・ライティングをマスターすると、TOEFLやIELTSで求められる評価項目をほぼカバーすることが出来ます。具体的には、TOEFLのIndependent WritingとIELTSのTask 2です。
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アカデミック・ライティングとは
アカデミック・ライティングとは、英語での学術的な論文の書き方を指します。アメリカでは、大学生1年生の時に教養課程で習います。これから留学を目指す皆さんには、必須の知識です。
アカデミック・ライティングは、基本的に次の二つの要素を含みます。
自らの主張を読み手に納得してもらうため、客観的に論を進めていきます。TOEFLやIELTSの場合は「自分の意見」を求められる問題もありますので、客観性は多少薄れてもOKです。
その他にもフォント(Times New Roman)や行間(ダブルスペース)などのルールがありますが、これも試験には直接関係ないので一旦置いておきましょう。
基本の段落構成
アカデミック・ライティングは一般的に次のような構成を取ります。
- Introduction(イントロダクション)
- Body I(ボディI)
- Body II(ボディII)
- Body III(ボディIII)
- Conclusion(コンクルージョン)
まずイントロダクションで自分の主張を明確にする。そしてその主張をサポートするために、第2~4パラグラフ(段落)で、理由や具体例を展開します。それらの根拠をもとに、最後に結論で締めくくります。
ここで紹介している構成は5パラグラフですが、実際の試験で5パラグラフ書くのは大変です。時間的な制限もありますので、ボディ・パラグラフの数は二つでも大丈夫です。無理やり段落を増やして関係ない話をするよりも、関連性や一貫性を重視しましょう。
ここでいう「パラグラフ」とは、ひとつのアイデアの塊を指します。一つのパラグラフで言いたいことは一つまで。よくパワーポイントの資料作成などで「ワンスライド、ワンメッセージ」と言われますが、それと同じです。
パラグラフの中では、まず自分が主張したい意見=メインアイデア(トピック・センテンス)が書かれていて、次にその意見を補強するための具体例が書かれます。
日本語の論文を書く際も、「序論・本論・結論」や「起承転結」など文章の型を習いますよね。英語の学術論文では、この構成が基本的な型になります。まずはとにかく型に慣れるところから始めましょう。
TOEFLのライティングで求められる基準とは
アカデミック・ライティングを意識して文章を書くと、なぜスコアが上がるのでしょうか。
それはズバリ、TOEFLやIELTSのライティングで求められる基準を、アカデミック・ライティングがカバーしているからです。
例えばTOEFL iBTのIndependent Writingの採点基準を見てみましょう。下の図はETSに掲載されているライティングの採点基準です。5点が満点です。

5点満点は、以下の項目をすべて達成している文章です。
- 課題に効果的に取り組んでいる
- 十分に整理・展開されており、適切な説明、具体例、および(または)詳細が明示されている
- 統一性、連続性、一貫性が表示されている
- 時折小さな文法上の誤りがあるが、一貫して、構文の多様性、慣用句、適切な単語が使われている。
つまり要約すると、「構成」と「英語の上手さ」の二点が求められているということです。
また5点と4点の答案の違いは、「一部の論点が完全に詳しく説明されていない場合」があり、「冗長性、余談、または不明瞭な接続」がある、と書かれています。
つまり、主張を論じるには根拠が足りなかったり、逆に関係ない話をしてしまっている、ということです。書き手としてはうまく展開できたと思っていても、読み手に伝わらなければ評価してもらえません。
IELTSのライティングで求められる基準とは
次にIELTSのTask 2の採点基準を見てみましょう。
画像の文字が小さくてすみません……。詳細を知りたいという方は、以下のURLから公式サイト(英語)を訪問してオリジナルを確認してください。

https://ieltsjp.com/wp-content/uploads/sites/3/2019/07/JP-Writing-2-rotated.pdf
さて、横軸を見てみると、評価項目は大きく4つありますね。満点の9点を例にとってみると、
- 課題への回答
- 課題の全ての部分に完全に取り組んでいる。
- 回答に対し、関連性のある、詳細で十分な裏づけのある理由を提示し、確固とした見解を示すことができる。
- 一貫性とまとまり
- 目立つことなく自然に接続詞を使用している
- 段落分けをうまく行っている
- 語彙力
- 幅広い語彙を単語の特徴を生かして自然かつ洗練された方法で使用でき、軽微な誤りがまれに「うっかり起こる」
- 文法知識と正確さ
- 様々な構文を非常に柔軟にかつ正確に使いこなすことができ、まれに軽微な誤りが「うっかり起こる」
もうお分かりですね。マーカーを引いた部分は、TOEFL で求められている内容とほぼ同じです。
【英語の上手さ】より【構成】を磨く
アカデミック・ライティングの作法に従えば、自然にTOEFLやIELTSのハイスコアが求める評価項目をカバーすることが出来ます。
文法をマスターしたり、語彙を増やすには相当な時間がかかります。一方、構成力を磨くのは日本語でも練習が可能です。
ちなみにこのブログも、文章を書き出す前に必ずアウトラインを作ります。
「自分は誰に何を伝えたいのか。」「どのような具体例を出せばわかりやすくイメージしてもらえるのか。」
そんなことをまずブレストして、ポストイットに書き出します。それをペタペタ貼りなおして、話の順番=展開を決めていきます。
これなら英語が出来なくても、日本語で文章構成の練習が出来ます。
「書いて添削してもらう」が文章力向上のコツ
ライティングを上達させるには、次の順番で階段を上っていきます。

今日お伝えしたアカデミック・ライティングは、ステップ3と4にあたります。英語の基礎がすでにある中級者が目指すべきゴールです。
中級レベルの方が更なるハイスコアを狙うには、量を質に転換させる必要があります。量を質に転換する最短の道は、書いた文章を誰かに添削してもらうこと。
誰もが書いている最中は必死なので、どうしても客観性が薄れてしまいます。独りよがりの文章になっていないか、第三者に読んでもらうことで改善することが出来ます。また書き出す前に、そのテーマについて誰かとディスカッションするのも効果的です。
もしあなたが初級者なら、日本語で構成の練習はしながらも、やはり英語の基礎力を上げる必要があります。最初の内は、ある程度英文を書く「量」を追求しましょう。量が書けるようになってきたら、今度は単文を「正しく」書く練習をしていきます。文法の問題集についている英文作成問題などが活用できますね。
また、書く(アウトプット)と読む(インプット)は連動しています。大前提として、インプットの量が少なければ良質なアウトプットは生まれません。リーディングやリスニングにも力をいれて、絶対量を必ず確保するようにしましょう。
いくら文章の型を知っていても、実際に書けなければスコアは上がりません。書けるようになるには、地道な努力しかないんですね。大変だと思いますが、一緒に頑張っていきましょう!
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