今日は IELTS スピーキングの Part 2についてお話したいと思います。
スピーキングの Part 2で2分間話し続けるには、実は英語力だけでなく描写力と物語を語る力の両方が必要です。いわゆる一方通行のスピーチですが、日本語のスピーチすら難しいですよね。
そこで今日は IELTS スピーキングPart 2で求められる二つの力とは何かを解説し、初心者に必要な描写力を上げるポイント3つとやっていはいけない注意点をご紹介したいと思います。
IELTS スピーキング Part 2で求められる二つの力
まず最初にPart2の例題を見てみましょう。
・Where it is
・How often you go there
・What type of food you usually eat
and explain why you like the restaurant.
①自分の好きなカフェまたはレストランについて、②どこにあるか、③どれくらいの頻度で行くか、④どんなものを食べるか、⑤なぜそのお店が好きなのかを話すよう求められています。
②~⑤はあくまで補助的な役割であり、必ずしもこの順番で各項目について話さなければいけないという意味ではありません。自分の好きなカフェについて語れば、自ずとこれらの項目が入ってくるだろう、という意味です。
この通り、Part2で求められるのは「英語で描写する力」と「物語を語る力」の二つあります。
Part 2がなぜ難しいのか
なぜ Part2が難しいのか。それはこれら二つの力が同時に求められるからです。
描写する力
例えば一つ目の描写力。皆さんはそもそも何かを意識して描写したことはありますでしょうか。
描写とは、モノ、情景、感情などを言葉を使って浮かび上がらせることを指します。
多くのテキストには「5W1Hをカバーすれば描写出来る」と書いてありますが、高得点を狙うのであれば、それだけでは十分とは言えません。
「私の好きなカフェは近所のカフェで(where & what)、週1くらいで通い(when)、恋人と一緒に(who)、コーヒーを飲みます。」
試しに5Wのうち why をのぞく4つのWについて答えてみましたが、たった1文で完結してしまいました。おそらく30秒ももたないでしょう。
このようにWの質問に答えるだけでは、スコアは上がらないのです。
物語を語る力
もう一つのキーワードが物語を語る力です。好きなカフェや印象に残った出来事を豊かに描写しながら、聞き手があたかもその情景をイメージできるよう流れをもって話す力を指します。
なぜそのカフェが好きなのか(why)、どのようにして見つけたのか(How)、具体的にどんな経験をしたのか(example)、そのカフェに行くとどのような感情が沸き起こるのか(How did you feel)。
こんなことを英語でスラスラ語るのはかなり難しいと思います。
生徒さんに多いのは「何を話すか」という点ばかりに意識が行ってしまい、英語の表現まで気が回らないというケースです。
少しでも物語づくりを助けるためにヒント(5W1H)が書かれているのですが、先ほど説明した通り、すべての項目をカバーしたところで流れがなければ物語とは言えません。5W1Hをカバーすれば自然とストーリーが出来上がるほど単純なことではないのです。
英語初級者は描写力から磨いていく
では一体どのように Part2を攻略すればよいのでしょうか。
お勧めは、英語初級者の方はまず描写力を磨くことに集中すること。ストーリーを考える前に、まずは描写力だけを強化するのです。
例えば英検や TOEIC のスピーキングには「ナレーション」という問題があって、単純に英語での描写力だけを判断するテストがあります。TOEIC の場合は写真、英検準1級の場合は4コマ漫画を見せられて、その情景やストーリーについてわかりやすく説明しなさいというものです。
例えば次のような写真を見て、その情景や特徴を出来るだけたくさん説明してください、という感じです。
みなさんだったらどのように描写しますか?
・・・
簡単に言えば「4人の人が会議をしている」ところですが、もちろんそれでは解答として不十分。
「4人のビジネスパーソンが会議をしています。真ん中の黒いスーツにストライプのネクタイをした男性がおり、一番年齢が高く見えます。おそらく上司だと思います。左手前のカップを持った女性が何か説明しているところで、残りの全員がモニターを真剣な表情で見つめています。」
これくらい語れて、初めて描写と呼べるでしょう。
こんな風に情景の説明に加え、その人物がどのように感じているか心理描写なども足していきます。
描写力を上げる3つのポイント
描写力を上げるにはいくつかポイントがあります。
全体 ⇒ 細部の順番で
まずは全体像をざっくり説明したうえで、細部を描写していきます。
先ほどの写真でも、最初に「4人のビジネスパーソンが会議をしています」と場面を説明していから、一人ひとりの特徴など細かな描写に移っています。
細部を描写する際に重要なのが観察力。描写は五感全てを使いますが、なかでも視覚から得た情報が一番描写しやすいと思います。シンプルに目に見えるものを説明するということです。
単に「男性が真ん中にいる」ではなく、もっとよく見る。
- そもそもどんな場面?
- どんな服装をしている?
- 何をしている?
- どんな表情をしている?
- 周りには誰かいる?
- 何か持ちものはある?それは何?
こんな風に突っ込みながら説明していくと、自然と名詞や形容詞、副詞や動詞などのボキャブラリーが増えていくはずです。
疑問詞に「どんな」を付ける
続いての描写力アップ練習法は、疑問詞を「どんな」に言い換えて説明する方法です。
通常 When は「いつ」と訳されますが、「いつ」を「どんな時」に置き換えて考えてみてください。
先ほどのカフェの例でいえば、「週に1回」ではなく
とか、
Where も「どこ」ではなく「どんな場所」。Whoも「だれ」ではなく「どんな人」。
そうすることでその場所や人の特徴を細かく描写することが出来ます。
心理描写を入れる
少し上級テクニックになりますが、もう一つのポイントが心理描写を入れることです。
「誰がいつどこで何をした」というのは情景説明。一方心理描写は、その情景を見て(経験して)どう思ったのかを説明すること。感情を表現すると言い換えても良いかもしれません。
これは最後の質問に多い Why を説明する際に使えるテクニックです。
冒頭例の最後の質問 ” why you like the restaurant” に対して
というように、その場所を訪れたときに湧いてくる感情を思い出しながら感想を述べてみましょう。
自分の写真を使って練習する
Part2の頻出トピックは人物、場所、イベント、趣味やレジャーです。少なくともこの4つに関しては事前準備をしておいた方がよいでしょう。
そこでおススメなのが、各テーマに関する写真を用意して描写する練習法です。
例えば「人物」であれば、自分が尊敬する人物が写っている写真を用意します。マザーテレサのような有名人でも、母親といった身近な存在でもOK。その写真に実際に写っている情景や、その人物の特徴をできるだけ細かく説明してみましょう。
もしその人を象徴するような具体的活動中の写真があれば理想的ですが、完璧な写真じゃなくても大丈夫。写真があるだけで脳の記憶が刺激され、意外にスラスラ話せたりします。
同じように、自分のお気に入りの場所や趣味、思い出深いイベントについても写真を用意して2分間止まらずに描写する練習をしてみましょう。
描写する際にやってはいけないこと
最後に描写する際の注意点をお伝えします。
それは端的に要約すること。傾向として、頭の切れる人、口数の少ない人、普段からロジカルな話し方が身についてしまっている人に多く見られます。
もちろんダラダラ意味のない話をするのは良くないですが、IELTS はあくまで英語力を測るテスト。ある程度の量を話さなければスコアが伸びません。
簡潔な一文に収めるのではなく、ちょっと話を盛ってみたり、詳しすぎるほどの具体例などを入れて表現の幅をアピールしていきましょう。
IELTS 初心者です。スピーキングの勉強法がわからなくて困っています。日常英会話もままなりません。まずは何から始めたらいいですか? IELTS のスピーキングは単なる英会話とは違うので、試験用の対策が必要です。 とはいえ英語の基礎力が乏し[…]