IELTS のスピーキングは単なる英会話とは違うので、試験用の対策が必要です。
とはいえ英語の基礎力が乏しい人が、いきなりIELTSの試験対策のみを行うのは逆に非効率。なにごともステップがあるように、まずは自分の実力に合った練習法が大事です。
現在の実力が初心者(IELTS のスコアで 5.0 ~ 5.5の方)ならば、いきなり7.0以上などハイスコアは目指さず、今日紹介する最低限の勉強法を参考に、まずはPart 1 から攻略していきましょう。
まずは Part 1 に集中して自信をつける
IELTSのスピーキングは Part 1、Part 2、Part 3 と3つのパートに分かれています。最低 6.0 を目指すなら Part 1 は絶対に落とせません。
Part 1 では冒頭で①簡単なインタビューと、②身近な話題について聞かれます。インタビューではあなたの
- 仕事内容(学生なら学業について)
- 住んでいる場所や地元
- 趣味や休日の過ごし方 など
について質問されます。具体的には “Do you work or study?” や “Do you live in a house or an apartment?” という感じ。これら2つの質問はほぼ毎回聞かれますので、完璧な状態に仕上げて臨みたいところです。
Part 2 はあるテーマについて2分間のスピーチ、Part 3 は Part 2 で出題されたテーマに関連するディスカッションになります。一般的には Part 2、3 の方が難しいと言われています。
Part 1 は質問されるトピックもある程度予想ができるため、初心者はまず Part 1 を完璧に準備して自信を付けることが大事です。
6.0を取るための最低限の勉強法
ではここから IELTS スコア 6.0 を取るための、Part 1 の最低限の勉強法4つを解説していきたいと思います。
なぜ「最低限の勉強法」と強調したかというと、たった4つだけでもお腹いっぱいになっちゃうからです。
このような資格勉強系ブログを読んでいる方は、色んな本やブログを読みすぎて「一体何やればいいんだー!!」と逆ギレしそうになっとことはありませんか。
私がこれまで読んできた IELTS の対策本には、沢山の攻略ポイントが書かれていました。
確かにそのどれもが正しく役立つものばかりなのですが、一つ不満を挙げるとすれば……ポイントが多すぎるぜ!!
Part 1 だけで攻略ポイントが10個以上載っていて、もう、どこから手を付けていいのかわからない。中には初級者ではとても実践できない達人クラスのポイントが書かれていたりします。
攻略法は実践できなければ意味がありません。
最低限の勉強法4つのポイント
Part 1 を準備する際に初級者が最低限心がけておきたいポイントは次の4つ。
- 頻出トピックから優先的に取り組む
- 言いたいことを日本語で考える
- 英作文のレベルは中学2年生を目指す
- 複雑さよりも正確さとスムーズさを重視する
頻出トピックを知る
Part 1 では、身近なものについて様々な質問が飛んできます。
例えば「買い物は好きですか?」「どんな食べ物が好きですか?」といった定番で幅広いものから、「どんなウォータースポーツが好きですか?」「ケーキは好きですか?」といった、超限定的でマニアックな質問が飛んでくることもあります。
事前に準備が出来れば理想的ですが、すべての質問をカバーすることは出来ません。やはり出題頻度の高い頻出トピックから優先的に準備しておくのが無難でしょう。
ここでは植田一三先生監修の『IELTS スピーキング・ライティング完全攻略』(アスク出版)で紹介されている出題分野トップ5の一部をご紹介します。
- 第1位 仕事・学業
- 第2位 いろいろな場所(ホームタウン、住居、レストラン、観光名所)
- 第3位 趣味・レジャー(休日の過ごし方、読書、リラックス法)
- 第4位 物・媒体(交通、テクノロジー、食べ物)
- 第5位 人物(家族、友人、先生、有名人)
植田一三先生監修のアスク出版シリーズは英検やTOEFLもあるんですが、頻出トピックや重要度合いがランキング形式で書かれていて、どれも非常にわかりやすいのでオススメです。
この本に載っている全部のトピックに対応するのは大変ですが、自分なりに大カテゴリーと小カテゴリーという形でわけておくと、応用がきいて良いと思います。
言いたいことを日本語で考える
さて、皆さんは自分の職業や学業、住んでいる場所や地元について聞かれたとき、パット簡潔に答えることができますか?
簡単なように見えて、実は結構難しいですよね。京都など特徴が思いっきりある地元だったらラッキーですが、住み慣れた地域を語るのって日本語でも難しかったりします。
当たり前ですが、日本語でも話せないことについて英語で話すのは無理です。
まずは日本語で内容について考えてみてください。最初は幅広くブレストしてもOKですが、最後は必ず2~3文の簡潔な紹介文になるよう絞りましょう。
日本語で内容を考える練習は、Part 3 やライティングでも活きてきます。
英作文は中学2年生レベルを目指す
日本語で話す内容がまとまったら、今度は自分で英語に直してみましょう。
この時大事なのがいきなりサンプルアンサーを見ないことと、複雑な文章を作ろうとしないことです。
よく生徒さんでサンプルアンサーをそのままパクって必死に暗記しようとする方がいますが、これではスピーキング力は伸びていきません。必ずその質問がくるとわかっている場合に丸暗記は有効ですが、IELTS のようにどんな質問が来るかわからないテストには不向きです。
万が一暗記内容を完璧に復元できたとしても、他の質問への回答ですぐにパクリ暗記だったことがバレてしまいます。
さらに言えば、暗記していた内容を一言一句思い出そうとして、つまったり何度も言い直しが発生したりします。これは fluency の評価を下げてしまう危険行為です。
内容はシンプルなもので十分。ネイティブらしさやオシャレさは上級者が目指す領域です。初級者は中学2年生で習う範囲(不定詞、動名詞、助動詞、接続詞 when, if, that, because)くらいの文法と語彙を使いましょう。
最初は「え?こんな簡単な文章で本当に6.0取れるの?」と思うくらいでも大丈夫。英語の総合力がつけば、後からいくらでも高度な文章に書き換えれば良いのです。
できた英作文は誰かにチェックしてもらうのが理想ですが、あなたのレベルに見合わない内容で返される(上級者の言い回しに丸々書き換えられる)可能性もあるので気を付けましょう。添削をお願いする際は、「私がスラスラ話せるレベルに合わせて」と一言付けると良いかもしれません。
複雑さよりも正確さとスムーズさを重視する
上の話に関連しますが、初級者が目指すのは、まずは正確さ(Accuracy)と適切なスピード(Fluency)です。Fluency はネイティブみたいに速く話せれば良いというものではなく、つまることなくスムーズに話せているかの方が大事です。
皆さんは CAF というスピーキングの評価基準を聞いたことがありますでしょうか。私は TOEIC のスピーキング講師で有名な冨田三穂先生の話を聞いて知ったのですが、C は Complexity(複雑さ)、A は Accuracy(正確さ)、F は Fluency(流暢さ)を指します。
この3つのバランスが取れているのが理想ですが、英語が伸びる順番としては AとFが同時進行、C のみ一番最後に伸びるのだそうです。
日本人は Accuracy にこだわるばかり Fluency がおろそかになりがちです。繰り返しですが Fluency は速く話すことよりも、適度なスピードで、ハッキリ、スムーズに話せているかを意識しましょう。
基本的な文法ミスがなくなり、シンプルな英文がスラスラ言えるようになったら初めて複雑性(難しい文法や複文、ハイレベルな語彙など)を足していきましょう。
Fluency を伸ばす方法についてはこちらの実録を参考にしてみてください。
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まとめ
スピーキングは独学が難しく、どうやって勉強すればよいか悩んでいる人も多いと思います。
スピーキングは総合アート。ただ単に英会話の練習をしただけで伸びるものではありません。日頃のリーディング、リスニング、ライティング、単語、文法などすべての努力が混ざり合って生み出されるものです。
今日の記事では、IELTS のスピーキングでまず 6.0 を取るための最低限の勉強法についてご紹介しました。
- 頻出トピックから優先的に取り組む
- 言いたいことを日本語で考える
- 英作文のレベルは中学2年生を目指す
- 複雑さよりも正確さとスムーズさを重視する
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