前回の記事『海外留学|テンプレートに頼らない志望動機書の書き方【準備編】』では、志望動機書を書く前にやるべき事前準備についてお伝えしました。
自己分析や学校の下調べが済んだら、次は実際に書く工程に移ります。
- いざ書き出したものの、途中で筆が止まってしまう
- 書くことがいっぱいで、A4一ページに収まらない
- 逆に書くことがなさすぎてA4一ページすら埋まらない
- 自力で書き終えたけど、添削はしてもらったほうがいい?
という方向けに、志望動機書の構成の仕方、添削の有無についてお話します。タイトル通り、あくまでテンプレートに頼るのではなく、内容の質を上げるためのポイントを解説したいと思います。
志望動機書に含める内容のおさらい
前回の記事で書いたように、志望動機書に含める内容は以下の4つです。
- 将来実現したいこと
- そう思うように至った背景
- 大学・大学院で何を学びたいか
- なぜその大学なのか
この4点をしっかり盛り込めるように、自己分析と学校の下調べをしっかりすること一つ目のポイントでした。
ポイント2. 構成を考える
「自己分析も学校の下調べも終わったし、これで書けるだろう!」
と早速パソコンに向かうのはまだ早い。実際に書き出す前に重要なのが、構成を考えることです。
大学の担当者があなたの志望動機書を読み終えた時に「この子を是非とも合格させたい!」と思わせなければなりません。
ポイントは、文章全体に一貫性とストーリーがあるかどうか。
これまでの経験と将来の夢がどのようにつながり、夢の実現になぜその大学で学ばなければならないのかを、わかりやすく伝える必要があります。
構成を考えずに書き出してしまうと、途中で言いたいことがずれてきてしまったり、関係ないことを書いてしまう可能性があります。
本人としては一貫性があるつもりでも、読み手には全然つながっていないように読めてしまう。そうならないためにも、いきなり書き出さずに、構成を考える時間をしっかり取りましょう。
この際に意識したいのは、何を省くか。
文章を書く時は、ついつい「何を書こうか」と文字を増やすことに意識が傾きがちですが、「何を書かないか」という決断の方が大事です。
志望動機書の分量はA4一ページが目安。Times New Roman 、12 pt、 段落1行空けでギチギチに書いても、マックス400語くらいしか書けません。
限られたスペースの中で、いかに簡潔に、一貫性をもってあなたを合格させる理由を伝えられるか。この意識が大切です。
①将来実現したいこと
まずは「将来実現したいこと」の確定です。
「将来何をやりたくて、なぜそれをやりたいのか」を冒頭で完結に述べます。その後のパラグラフは、すべてこの主張をサポートするためにあります。
要は、「将来実現したいことがあるけれど、今の自分では課題があって難しい。その課題を解決するための手段が留学なんだ」と説得したいわけですから、将来の夢ありきの留学という逆算思考で書き進めます。
「将来実現したいこと」は、ある意味志望動機書の中心テーマです。結局ココにつながるかどうかで、文章の一貫性が問われます。過去の経験や大学で学びたい内容が、常にココにつながるように意識しましょう。
②そう思うように至った背景
次に「そう思うように至った背景」です。
この段落のポイントは二つ。
- できるだけ具体的なエピソードを書くこと
- ダラダラ書き続けないこと
本パラグラフの役割は、後半の「何を学びたいか」につなげるフックです。留学先で学ぶ科目は、今の自分に足りないところ=課題です。
そもそもなぜその夢を抱いたのか、どのようにして自分の課題に気づいたのか、具体的なエピソードで語り、説得力をプラスします。あなたという人物もイメージしやすくなります。
気を付けたいのは、ダラダラ書かないこと。過去のエピソードは具体的であるがゆえに、書きやすいし文字数も稼げます。でも、担当者も暇じゃない。あなたの半生を読んでいる暇はありません。
同様に、背景知識としての一般論も書きすぎないようにしましょう。
例えば社会福祉を学びたいという志望動機の場合、「現在の日本は少子高齢化が進み…」といった、一般論を補足する場合があります。
しかしあくまで補足は補足。一般論だけで一パラグラフも書かないように気を付けてください。
③大学・大学院で何を学びたいか
①、②で述べた内容から発展して、大学・大学で学びたいことを書きます。
学部や学科名はもちろんのこと、具体的なコース名や科目名を書き出して、その科目から何を学び取りたいのか、どのような姿勢で授業に臨みたいか、その学びがどのように将来実現したいことに活かせるのかを書きます。
例えばMBAやビジネス関連の学部を志望している方の場合、「マーケティングのクラスでマーケティングの理論を学びたい」と漠然と終わるのでは物足りない。
これくらい具体的に書けるのが理想的です。
逆に絶対に避けたいのが「英語を身につけたい」と「異文化交流がしたい」。
書いても悪くはないですが、学びたいことがこれだけだとまずい。他の留学生も98%くらい同じこと書いてると思いますから。英語の勉強や異文化交流だったら日本でもできるし語学留学でも出来ますよね、という話になっちゃいます。
もう一つ気を付けたいのが「学びたい」というインプットだけを強調しないこと。
大学はあくまで教育&研究機関。学んだ結果、自分の取り組むテーマが社会にどう貢献できるのか、アウトプットの視点も書くことが大事です。
④なぜその大学なのか
最後に「なぜその大学なのか」を書き忘れないようにしましょう。受け入れ側としてはココが一番知りたいところ。
先ほどの例でいえば、MBAやマーケティングを学べる大学は沢山あります。その中からなぜその大学を選んだのか。これも下調べをしっかりしていれば、書くのは難しくないはずです。
例えば
など、その大学の特色をうまく盛り込んで、将来実現したいことや学びたい内容にひもづけて書くようにしましょう。
もし留学フェアで担当者から生の情報を仕入れていれば、それもアピールポイントになります。きちんと足を運んで情報収集しており、本気でその大学に入りたいという熱意が伝わるはずです。
正直、「有名な大学だから」「○○大学卒の肩書が欲しいから」「ビーチ沿いで楽しい学生生活が遅れそうだから」というのが本音かもしれません。
もちろん悪いことではありません。ですが、表面的な理由だけだと、実際に留学してから苦労するかもしれません。私のように……(苦笑)。
付箋を活用して構成しなおす
準備編で紹介したブレストの付箋を活用して、図2のように、①~④の構成を整理してみましょう。
この時、各ボックスに足りないものや余計な付箋が出てきます。足りない理由や具体例は足して、余計な内容は思い切って捨てましょう。
ポイント3. 添削してもらう
「添削はしてもらったほうがいいですか?」
という質問を頂きますが、答えは「はい。絶対にしてもらってください」です。
志望動機書に限らず、文章は誰かに客観的に読んでもらって精度が上がります。内容の深みも増しますし、誤字脱字などのミスもなくなります。
私の志望動機書も、学部の先生に何回添削されたかわかりません。最初に手を付けてからほぼ毎日書きなおして、完成までに2~3カ月(もしくはそれ以上)かかりました。
添削では、文法や英語を見てもらうのも大事ですが、やはり中身が重要です。構成であれば、英語が出来ない人でも見てもらうことが出来ます。
構成については日本語で徹底的に議論して、文章はネイティブにチェックしてもらうのがベストだと思います。
また、お金はかかりますが、英文の添削はプロに頼んだ方が良い。業者と語数によって変わりますが、数千円~数万円で済みます。
ちなみに私たちは留学エージェントの無料サービスとプロの有料サービス両方に頼んで、修正されて戻ってきた文章を良い感じにミックスして書きあげました。
数万の出費は痛いですが、無料の添削だけだと心もとなかったので……。ご自身のお財布事情と相談して、うまく活用してみてください。
スケジュール
最後にスケジュールの話を少しだけ。
準備編の冒頭にも書きましたが、志望動機書は超大事。本気で取り組む必要があります。個人的には最低1カ月、余裕をもって2~3カ月前から準備するのが良いと思います。
志望動機書の作成と並行して、出願書類の記入、推薦状の取りつけ(これが厄介)、成績証明書の発行など、思った以上に準備に手間がかかります。
万が一志望校に落ちてしまった時、「志望動機書を適当に書いちゃったからかな…」と後悔しないよう、自分の熱意をしっかり伝える努力をしましょう。
英文を書くのは億劫かもしれませんが、内容を考える内に留学への期待も膨らみ覚悟も決まってくるはず。
何度でも書き直してやる!という気合いで、ぜひ良い志望動機書に仕上げてくださいね。
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こんにちは。まじめです。 2020年7月にようやくIELTSのスコアが overall 6.5に達し、ギリギリでイギリス大学院留学に滑り込こむことができました。これからは、現地で感じることを少しずつ書いていきたいと思います。 今回のテーマは[…]