IELTSに関する日本語の参考書や問題集って、そもそも少ないですよね。あっても解説がわかりにくかったり、解答例が難しすぎたり。ターゲットも IELTS 7.0 以上を目指している人向けに書かれていて、まず 6.5 まで伸ばしたい方には向いていないと感じる書籍もあります。
おまけに値段も結構高い。せっかく大金を払って買ったのに、うまく活用できていない人もいらっしゃるはずです。
そこで今日は、IELTSの参考書や問題集ではないけれど、IELTSのライティング対策に実際役立った参考書と問題集をご紹介したいと思います。
ずばり、大学受験用の問題集と英検準一級の参考書です。
特に「最初にIELTSの型を学んで何とか書けるようになったけど、途中でスコアが伸び悩み、やっぱり基礎が足りていないな」と感じている人におすすめです。
私たちもこの参考書と問題集を解き始めてから、ライティングに限らずIELTS全体のスコアが伸びました。
IELTS以外の参考書のメリット
IELTS 以外の参考書のメリットは
- 英語の勉強法が載っている
- 種類が豊富
- 近くの本屋さんで手に入る
- 安い
です。試験の攻略法は IELTS には直接役立ちませんが、「英語を勉強する」という意味での勉強法と計画の立て方はかなり参考になります。
勉強法の本質はどんな資格試験にも通じます。残念ながらIELTSの参考書は、英語の勉強法について詳しく解説しているものが少ない…。
今回特定の本は紹介しませんが、勉強法や計画の立て方については TOEIC がかなり研究されています。近くの本屋さんに立ち寄った際は、是非 TOEIC の本も立ち読みしてみてください。買わずに勉強法の1章を「ふ~ん」と読むだけで十分かと思います。
【文法対策】大学受験用の英作文問題集
ライティング・スコアが 5.5~6.0 の人は、Task 1&2ともに Grammatical range and accuracy (文法の多様さと正確性)のスコアを上げる必要があります。
具体的には、①文法のミスを減らし、②難しい語彙や複雑な文章で加点を狙います。
そのために中学文法の徹底と、高校文法の練習が必須が必須。
日本の大学受験用の問題集はかなり作りこまれていて、文法や英作文(特に正しい文法で書く)の練習には、IELTSの対策本より断然効果的です。
数ある参考書の中から私たちが選んだのはこちら▼
大矢復著『大学入試英作文ハイパートレーニング和文英訳編』(ピアソン桐原)
英作文問題の数と質 | 4.5 |
解説の分かりやすさ | 4.0 |
使える語彙や表現の豊富さ | 4.5 |
IELTSへの役立ち度 | 5.0 |
総合評価 | 4.5 |
この本の一番の良さは、必要に迫られて文法の知識が入る構成になっているところです。冒頭に英作文問題があり、その答えとして文法が解説されています。つまりアウトプット → インプットの順番になっているということです。
使い方
本書は全部で 66レッスンから成り、1レッスンごとに2問の例題があります。加えて復習問題が72問あるので、全部で204問。
これを1日3レッスン(1.5時間くらい)進め、全部終わるまでに大体1カ月くらいかかりました。
翌日は必ず前日にやった単元の復習から始め、新しい単元を学ぶようにしました。本書だけでも解説は十分わかりやすいのですが、+αで手元の『Forest』(桐原書店)で知識を足していました。
量としては多すぎず少なすぎず、ちょうど良かったです。英作文のレベルも適度に難しく、IELTSにも十分応用できます。
効果
明らかに文法の理解度が深まり、知識が定着しました。
それだけでなく、文法の細かいミスが目に見えて減ったのです。以前は150 語中20カ所くらい基本的なミスをやらかしていたのですが、今では半分以下の5~6カ所まで減りました。その意味で IELTS への役立ち度 5.0 と高評価にしました。
更に驚くことに、1カ月という短期間で効果が表れたということです(なんか怪しいテレビショッピングのうたい文句みたいですね)。もちろんこの本の力だけではありません。これまでの積み重ねが相乗効果となって表れたのかなと思います。
注意!あくまでも和文英訳の参考書
タイトルにもある通り、本書はあくまで大学受験用の「和文英訳」の参考書です。問題も、日本語を英語に直す形になります。
そうすると、結構日本語に引っ張られちゃうんですよね。日本の大学入試はまさにその「日本語に引っ張られて間違えさせる」狙いがあるので、そーゆー意味で本書は完璧な入試対策本です。
でも IELTS など留学レベルの英語力を付けたい方は、和文英訳よりも最初から英語で考える癖をつけるべきです。
明らかに重箱の隅をつつく系の問題や、日本語の引っ掛け問題などは飛ばして良いと思います。
Task 2 英検準一級(英作文)の攻略本
意外と思われると思いますが、実は英検のテキストは、IELTSやTOEFLにもかなり使えます。IELTS や TOEFL予備校の先生仲間の間では有名な話です。
ちなみにIELTS 6.0 は英検の準一級とほぼ同レベル。特に IELTS ライティング Task 2の内容は英検準一級の英作文と似ています。例えば
「公共サービス改善のために政府は増税すべきか?」
「より多くの人が電気自動車を使用するべきか?」
など、公共政策、経済、ビジネス、環境、教育、文化、社会問題などが扱われます。これは IELTS の頻出トピックとほぼ同じですね。
IELTS の Task 2は、Task Response(タスク回答度)という評価軸で、論点に対する回答そのものが判断されます。つまり問題にちゃんと答えているかということ。
上に書いたようなトピックは、よっぽど意識が高い人でないと普段あまり考えないテーマだと思います。
なので、私たちはこれらのトピックに慣れるために、日本語の解説や添削例が充実している参考書を選びました。それがこちら▼
植田一三 編著「英検準1級ライティング大特訓 (英検 ライティング大特訓)」(アスク出版)
エッセイ問題の数と質 | 3.5 |
エッセイに必要な項目の網羅度 | 5.0 |
使える語彙や表現の豊富さ | 4.5 |
IELTS Task 2 との親和度 | 3.5 |
総合評価 | 4.0 |
エッセイ対策系の参考書としては秀逸
この本の一番の良さは、なんといってもエッセイに必要な項目の網羅度です。第1章以外ほぼすべて IELTS に役立ちます。巻末の必須用語400も分野別に分かれていて、とても使いやすい。
特に第3章「要注意!文法・語法の頻出ミスランキング」、第4章「必須!類語の使い分け重要度ランキング」、第6章「アーギュメント力UPトレーニング」は、
- 文法ミスが多くてスコアを下げてしまっている人
- 「私は思います= I think 」しか書けなくて、他の動詞が思い浮かばない人
- 論点が難しすぎて、英語の前に日本語でも自分の意見が言えない人
にはメチャクチャ参考になります。第4章は、パラフレーズ必須の IELTS にはもってこいの内容。スピーキングにも役立ちますよ。
参考書の使い方
まず第5章「キーアイデア作成特訓」、第6章「アーギュメント力UPトレーニング」を中心に、IELTS の頻出トピックで自分が苦手な分野からキーアイデアの作成を日本語で練習します。
次に実際に英語で1~2文だけトピック・センテンスを書きます(※)。時間があれば全文書いてもいいのですが、それだど復習も含めてかなり時間がかかります。とりあえず「構成だけ考える」、「1パラグラフだけ書いてみる」として練習するのも効果的です。
ただ内容という意味では、問題設定と解答例が日本の状況に偏っています。英検なので当然といえば当然なのですが…。IELTS の問題文の方が、グローバルで抽象的なので、自分なりにうまくカスタマイズして使う必要があります。
その意味で「問題数と質」「IELTS Task 2 との親和度」の項目は 3.5 評価としました。
※Task 2 (パラグラフ・ライティング)の書き方がよくわからないという方はこちら▼
アカデミック・ライティングの構成はわかったけれど、各パラグラフがうまく書けません。具体的には何をどう書けばいいのですか? 生徒さんのライティングを添削していると、見た目はアカデミック・ライティングの形だけれど、内容が薄い、わかりにくい、論理[…]
注意!「必勝フォーマット」の使いすぎは避けよう
IELTS にもかなり役立つ参考書なのですが、唯一デメリットを上げるなら、サンプルアンサーの型が英検ということ…。
例えばほとんどの解答が ” Firstly, … Secondly, … In conclusion, …」という形で示されています。
IELTS のライティングで 6.5 以上を狙うなら、この型が必ずしも良いとは言えません。読み手に機械的な印象を与えてしまうからです。
これは参考書が悪いというわけではなく、そもそも英検がそーゆー「型推しの仕様」になっていることが問題なんじゃないかな~と思っています。
IELTS 対策最強の参考書に出会うまで
本日は IELTS 以外のおススメ参考書を2冊ご紹介しました。
もちろん IELTS 専門の参考書で最強のものがあれば、そちらを使う方が絶対に効率的です。そんな最強の1冊に出会うまで、今後も体を張って色々な参考書や問題集を試していきます。
英文法を勉強するには、どの参考書がおすすめですか? 生徒さんからよく聞かれる質問です。 確かに英語の参考書って沢山あるので、選ぶのに迷っちゃいますよね。 正直、人によってどの参考書が良いかは変わります。 大学受験を目指す高校生、留学を目指す[…]