UtoGo Academyを 紹介する記事の第2弾は創業メンバーの Ringo さん。27年間にわたる英語の勉強法についてのお話です。
たった200時間の勉強で、初めて受けたIELTSで OA 8.0 というスコアをたたき出した Ringo さん。
27年間英語を勉強する中で、英語力が劇的に伸びた時期もあれば、思うように伸びなかった時期もあったそうです。
幼少期からの英語学習、留学を決めたその想いや実現に至るまでの苦労、そして将来実現したい夢についてインタビュー形式でお伝えします。
英語力を伸ばす秘訣は無理なく続けること
― いきなりですが、なんでそんなに英語ができるようになったんですか?留学したから英語が出来るようになったんですか?
大前提として、自分は英語が満足にできると感じたことは人生で一度もなく、常に英語に対しては謙虚でいようと心がけています。
その前提の上強いて英語が得意と言うならば、それは「自分にあったやり方で無理なく続けてきたから」だと思います。
飽き性な私でも、唯一英語だけは続いている。帰国子女でもインターナショナル・スクール出身でもないですが、気づけば27年間英語に触れていました。
「とにかく続けてさえいればそれなりのレベルに達することが出来るんだな」と感じます。
英語人生の幕開けは一本の映画
―27年!その年月はすごいですね。初めて英語に触れたのはいつなんですか。
人生で初めて英語に触れたのは、9歳の時。ある日父が映画鑑賞に誘ってきたのがきっかけです。
映画鑑賞といっても、家のVHSに録画したものを居間のテレビで一緒に見るだけのこと。
何の予備知識もないままに見始めた映画のタイトルは『ウエスト・サイド物語』。これが私の英語人生の幕開けでした。
ウエスト・サイド物語はアメリカを代表する名作ミュージカルなんですが、それまでアメリカの「ア」の字も知らなかった私には、セリフ、踊り、音楽、衣装…すべてが衝撃的でした。
すぐにウエスト・サイド物語の虜になって、そこからは持ち前のオタク気質を発揮して繰り返しビデオを見る日々に。これまで50回以上は見てると思います(笑)。
特に歌が大好きで、これを歌いたい!という一心でした。スピーカーから流れる音楽をカセットテープに録音し、聞こえてきた歌詞をノートに書きなぐり、暇さえあれば歌っていました。
今振り返れば、9歳のわたしが好きで無意識に行っていたことこそ、毎日のシャドーイング(英語を聞きながらそれを真似して発音する訓練法)とディクテーション(書き取り)だったんですね。おそらくこの時にリスニングのベースが勝手に強化されていたんだと思います。
受験勉強から逃げるため映画を見まくる
―そんな小学生いるんですね(笑)。英語が上手な人は幼少期から特別な英語教育を受けているイメージがありますが、英会話教室などは通ってましたか?
いえ、英会話教室に通ったりはせず、英語を勉強し始めたのは中学1年生の時です。それまではウエスト・サイド物語一筋でした(笑)。
ところが中2の冬にうっかりスパルタ進学塾に入塾してしまい、思い切り受験勉強の波に飲み込まれてしまいました。
塾の子は将来東大を約束されているような秀才ばかりで、わたしが唯一授業についていけたのは英語だけ。
「大好きな英語だけは誰にも負けたくない!」という思いで必死に勉強していたのですが、受験直前の大事な時期に突然糸が切れてしまいました。
「勉強しなきゃ」という焦りはあるけど、どうも机に向かえない。
そこで編み出したのが「洋画を見て英語を勉強したことにしておこう」という、今も愛用する裏技です(笑)。
その時ハマっていたのは Disney の『美女と野獣』。一度好きになると何度も繰り返し同じ映画を見るという性質のおかげで、毎日映画を見ているうちに、自然に歌とセリフを覚えるようになりました。
―映画と歌が出てきましたね。
そうですね。私の人生から映画と歌は切り離せません。
映画を見ながら、うまく聞き取れない部分については、日本語字幕を頼りに英語で何と言っているか推測するという、今考えれば非常に高度な技を無意識にやっていました。
でも小学校の時とは違うのは、文法の知識を中学校で習っていたこと。
今でも続いている習性ですが、好きな映画はその言語で味わいたいという強い想いがあったので、文法の知識を駆使しながら「なぜその字幕になるのか?」を考えながら見ていました。「あ、今のセリフは現在完了形だな」とか。
―またもや出会ったことのない中学生ですね(笑)。
そんな感じで毎日映画ばかり見ており、勉強らしい勉強をすることなく受験当日を迎えます。
受けたのは英語教育に定評のある人気の大学附属の私立高校。「どうせ落ちるし記念受験しとくか」というノリで受けたのですが、ここで奇跡が起きたんです。
50分間の英語テストのうち、なんと25分間くらいがリスニング。
オチは見えてると思いますが、私のリスニング力は冬休みの間にとてつもなく向上していました。自分でも明らかに違いがわかるほど聞き取れるようになっていたのです。
要因は『美女と野獣』を毎日見て歌いまくった以外に考えられません。
おかげでまさかの合格。これが私にとって英語に人生を切り拓いてもらった初めての経験となりました。
その後の人生を変えた高校留学
―まさに英語のおかげで志望の高校に合格されたんですね。
そうですね。でも受験の反動で燃え尽き症候群になってしまい、入学早々「このままダラダラ過ごし、エスカレーター式で大学に進んでもいいのだろうか…」という疑問を抱き始めます。
おまけに得意だと自負していた英語が「中級」クラスに振り分けられる始末。「なぜ得意の英語で上級じゃないんだ!」と不満気にクラスをのぞくと、帰国子女ばかりでした。
彼らと純ジャパの私との英語力の違いは仕方がないにもかかわらず、勝手に実力差に落ち込んでいました。
その時たまたま担任の英語の先生が「留学は興味ある?」と聞いてきたのです。
私はその時初めて人生に留学という選択肢があることを知りました。
ウエスト・サイド物語の舞台であるアメリカに一度は行ってみたい。そんな思いも重なって一年間の交換留学を決意。結果的にこれがその後の人生を決める大きな決断となりました。
―多くの方がハードルとなる経済的な面は大丈夫だったんですか?
母からは「附属の高校に入学したから大学受験もないし、予備校の費用もかからないと思ったから私立を認めたのに…全然話が違う!」と言われました。確かにその通り(笑)。
結果的には親も了解してくれ(ほぼ泣き落とし)、留学が実現しました。大人になった今考えると、相当親不孝者だと思います。あのとき留学を許してくれた親には本当に感謝しています。
留学すれば英語は伸びるのか?
留学先の高校に私以外日本人は一人もいなかったこともあり、英語力は伸びていきました。
でも留学当初は本当に辛くて、できない自分が悔しく、休み時間にトイレに篭って泣くこともありました。
授業中に “Does it make sense?(意味わかる?)” と聞かれて、 “Make sense” の意味がわからず、 “No” と答える。先生が再度丁寧に説明してくれたあと”Does it make sense?(これで意味わかった?)”、と聞くので、相変わらず make sense の意味が分からず Noと答えて呆れられる……。
こんな調子だったので授業は辛かったですが、何とか食らいつきました。そのおかげか、留学後3ヶ月を過ぎたあたりから、突然周囲の言っている事が聞き取れるようになりました。
一方スピーキングはなかなか伸びず、友達と楽しく会話ができるまでに8カ月くらいかかりました。
それまでは、相手の言うことは理解できるのに自分が言いたい事が言えず、愛想笑いでやり過ごしてましたね。そんな自分がすごく悔しかった。なので、影の努力はしていたと思います。
―具体的にはどんな努力をしていたんですか?
毎日ホストファーザーから聞かれる “How was your day?” に答えるために前日から英作文をし、鏡の前でそれを音読、自然な表情で話せているかをチェックする。英語と日本語で日記も書いていました。
第二言語習得論でいうところの「イメトレ」をしていたんですね。お風呂でも毎日独りでブツブツ練習していました。
その頃はネットがまだ発達していないから、日本の家族や友達と簡単につながるなんて出来ない。そうすると、一日誰ともコミュニケーションを取らず過ぎていく日なんてざらにあるわけです。
でも自分の中には話したいことやモヤモヤした不安などが溜まっているので、それを吐き出したい。ストレス発散の手段として日記をつけたり、独り言を言ったりしてたんだと思います。
―文法はどうですか?
正直、留学中に文法を勉強することはほぼありませんでした。帰国後に TOEFL(当時はまだPBT)を受けましたが、確か 550~560(iBT換算で80)くらいだったと思います。
ちなみに文法はこの後もう少し経ってから猛勉強するようになりますが、それはまた後で話します。
よく「留学したら英語が出来るようになりますか?」と質問を受けますが、当然、留学先でどんな努力をするかにより伸びは変わります。もともとの英語力も影響します。
とはいえやはり「英語が出来ないと生きていけない状況」として、留学は英語力を伸ばす最強の環境だったと思います。
予期せぬ人生最大の挫折
―高校での留学から帰国された後は、どんな進路に進んだのですか?
一年の交換留学を終え高校を卒業したあと、すぐにアメリカのコミュニティ・カレッジに入学しました。留学予備校の方に相談したら、コミュニティ・カレッジを卒業し、編入して大学に入るというのが王道と伺ったので。
高校を卒業した3月から大学が始まる8月までの4カ月間、フラフラする時間があったのですが、その時期に洋楽にドはまりします。
SUM41や Green Day、Avril Lavigneや P!NK などをシャドーイングで歌いまくる。そのおかげで発音とリスニングは更に伸びたと思います。
―Ringo さんの英語学習は相当な割合で洋楽に影響を受けていますね。大学でも順調に英語力は伸びたんですか?
いえ、正直英語力の伸びは高校留学に比べたらまあまあでした。その原因は間違いなく自分の姿勢にあります。
寮生活が嫌すぎて途中で抜けだしたり、アメリカ人の友達を作ろうとしなかったり…。英語がある程度話せるようになり、アメリカの生活にも慣れてきたため、変にこなす力がついてしまっていたんだと思います。
途中で寮も出たため、英語を使って必死で生きるという場面が極端に減ってしまいました。一年しかない高校留学とちがい「4年も居られるんだし焦らなくてもいっか」という緊張感のなさも良くありませんでした。
私は完全に、留学一年目のような必死さと真摯さを失っていました。
そんな感じで明確な目標もないままパヤパヤと一年半くらい過ごしていた時に、日本から一本の電話がかかってきたんです。
「お父さんが入院した。いますぐ帰国せよ」と。
この記事は『Ringo先生のって何者?ストイックに英語力を磨いた27年間の勉強法と隠された苦労とは<前編>』の続きです。 [sitecard subtitle=関連記事 url=https://utogo.jp/ringo-engilsh-[…]