穴埋め問題に続き、バンドスコア 6.5 にもう少しで届きそうな方がぶつかる壁ですね。
TRUE/FALSE、もしくは YES/NO 問題が解けなくて、何度も悔しい想いをした方も多いのではないでしょうか。私も自信を持って書いた答えが真逆だったりすると、「全然読めてないじゃん…」と落ち込んでしまったりします。
IELTSのリーディング問題形式の中でも、いわゆる正誤問題は難しい部類に入ります。FALSE と NOT GIVEN を見分けるのも難しいし、TRUE も自信を持って回答するには勇気がいりますよね。
そこで今日は IELTSリーディングの TRUE/FALSE/NOT GIVEN、YES/NO 問題(※以降「正誤問題」とします)の解き方について、コツや手順を解説したいと思います。
最初に言ってしまいますが、最大のコツは設問文を正しく理解することです。
正誤問題とは
IELTSリーディングの正誤問題には2つのパターンがあります。知っている人はこの段落はすっ飛ばして、下の例題を解いてみてください。これから勉強するぞ!という方は、以下の概要をさらっと確認ください。
【2つのパターン】
- TRUE / FALSE / NOT GIVEN
- YES / NO / NOT GIVEN
語句は違いますが、問われている内容は同じ。
- TRUE (YES):設問の内容が本文の内容と一致する
- FALSE (NO):設問の内容が本文の内容と矛盾する
- NOT GIVEN:本文に書かれていないので判断できない
上の3つから選ぶ問題です。英語では以下のように指示文があります。
In the boxes 1-3 on you answer sheet, write
TRUE if the statement agrees with the information
FALSE if the statement contradicts the information
NOT GIVEN if there is no information on this
解答は記述式です。
正誤問題の解き方のポイント&手順
それでは早速例題を解いていきましょう。問題は前回の記事『【IELTSリーディング穴埋め問題】解き方のコツはスキャニング、パラフレーズ、品詞の見極め』と同じく、”Bringing cinnamon to Europe” から。
今回は本文を読む前に、先に設問から確認してみましょう。
【設問】
ポイント①:設問文を正しく理解する
冒頭でも書きましたが、正誤問題を解く最大のポイントは設問文にあります。みなさんは設問文の解読にどれくらい時間をかけていますか?
IELTS のリーディングは、全体的に本文は具体的、設問は抽象的に書かれています。
当然、抽象的な文章の方が理解するのは難しい。だから問題の意味を正確に理解できないまま、なんとなく「TRUEかな?」と感覚で回答してしまうことがあります。
しかしこの正誤問題は、設問を正確に理解できないと正解を導くことができません。
したがって、時間を少し多めにかけてでも、精読した方が良いと思います。精読とは一語一語の意味や品詞を確認し、構造を把握しながら文を丁寧に読むこと。
精読していると本気で時間がやばくなってしまうという方は、5W+動詞だけでも意識して意味を捉えるようにしましょう。
ポイント②:5W+動詞を意識して精読する
それでは先ほどの設問 Q.10 を、5W(who, when, where, what, why)+動詞を意識して精読してみます。
誰が(who):The Portuguese
何を(what):control over the cinnamon trade
どこで(where):in Ceylon
いつ(when):throughout the 16th century
どうした(動詞):had
これを前から順に英語の語順で意味を取ると、
「ポルトガル人が、持っていた、シナモン貿易に関して支配する力を、セイロンで、16世紀を通じて」
となります。5W+動詞「だけ」と書きましたが、今回は全文を5W+動詞で分解することが出来ました。
ポイント③:キーワードを特定して本文から探す【スキャニング】
5W+動詞の分解が終わったら、次にキーワードを特定します。
まず特定したいキーワードは、固有名詞や年代です。今回の場合は “The Portuguese” や “throughout the 16th century” ですね。
これらのキーワードが特定できたら、スキャニング・スキル(ウォーリーを探せスキル)を使って、本文の該当箇所を5秒以内で見つけます。スキャニング・スキルは正誤問題でもおおいに活躍します。
ポイント④:共通点と差異に着目する
それではここで本文を読んでみましょう。
<中略>
When the Portuguese arrived, they needed to increase production significantly, and so enslaved many other members of the Ceylonese native population, forcing them to work in cinnamon harvesting. In 1518, the Portuguese built a fort on Ceylon, which enabled them to protect the island, so helping them to develop a monopoly in the cinnamon trade and generate very high profits. In the late 16th century, for example, they enjoyed a tenfold profit when shipping cinnamon over a journey of eight days from Ceylon to India.
赤い太字がキーワードです。キーワード周辺をざっくり読んでみると、
「ポルトガルは15世紀の終わりにセイロンに到着した」、
「1518年(つまり16世紀の初め)に砦を作ってシナモン貿易を独占し」、
「16世紀の終わりには10倍の利益を享受した」
とあります。ですから Q.10 の正解は TRUE になります。
ちなみになぜ “The Portuguese” と “throughout the 16th century” がキーワードかと言うと、実はこの後「Dutch(オランダ人)が17世紀にシナモン貿易の支配を奪った」という記述が続くから。
出題者の意図としては、読み手が「ポルトガルとオランダの関係を年代順で把握できているか」を測りたいのです。
シナモン貿易(what)をセイロン(where)で支配した(動詞)のは共通している。いっぽう誰がいつ支配したのかは、正しく読めていないと混乱してしまう。
受験生は差異を読み切れているか。これが設問の意図です。
ポイント⑤:原因と結果、対比を読み解く
ここまで意識して設問を精読できれば、基本レベルはクリア。でも残念ながら、正誤問題はそんなにあまくないんですよね…。もっと難しい問題もじゃんじゃん出てきます。
その難しい問題とは、「原因と結果」や「対比関係」をきちんと読めているか問うもの。
今回の例題は5Wさえ正確につかめていれば正解できる問題ですが、Passage 2~3と難易度が上がってくると、設問文も複雑になってきます。
原因と結果、対比などが読み取れるかどうかは、英語の問題もありますが、国語力も関係してきます。要は現代文とか論文を読み解く読解力に近い。
読解力についてはこちらの記事に書いていますので、ぜひ併せてご一読ください。
問題の正解率が低く、リーディングスコアが上がりません。精読を続ければ正解率は上がりますか? 本文は読めているはずなのに「設問の意味が分からない」、「正しい選択肢が選べない」という時ってありますよね。 TOEFLの問題は本当に難しい。もともと[…]
NOT GIVENにどう立ち向かうか
正誤問題の中でも特に判断が難しい NOT GIVEN。
とはいえ、基本は上の5つのポイントと同じです。
まずは設問を正確に読み取る。その上で「本文に記述があるかどうか」を判断軸とします。
全く記述がなければ判断しやすいのですが、似ている単語が使われていると、途端に怪しく見えてくる。
それでも5W+動詞の各内容がつかめていれば必ず判断はできるはずです。正解の根拠となるパラグラフを精読して、出題者の引っ掛けに引っかからないよう気を付けましょう。
まとめ
最後にもう一度、正誤問題の解き方のポイント5つをおさらいしましょう。
- 設問文を正しく理解する
- 5W+動詞を意識して精読する
- キーワードを特定して本文から探す【スキャニング】
- 共通点と差異に着目する
- 原因と結果、対比を読み解く
しつこいですが、もう一度言います。正誤問題の最大のコツは設問文を正しく理解すること。わからない単語があっても、文法力でカバーできることもあります。
正誤問題を解く際は、ぜひ上の5つのポイントを意識して解いてみてくださいね。
▼例題はこちらの公式問題集に載っています。※日本語の解説はついていません。
※リンクは 2024年現在最新の IELTS 18 版です。