IELTS の4セクション中で、受験生を最も悩ますのがライティング。特に Task 2 は、試験対策的なテクニックだけでは乗り切れない最難関です。
Task2では環境問題からビジネス、文化にわたり、様々なトピックが出題されます。
ある課題に対して原因を分析させるものもあれば、対立する考えに対して自分の意見を述べるタイプの問題も出題されます。
純粋な英語の知識(語彙や文法)だけでなく、日ごろの観察力や教養全般、私たちの問題意識や考える力が問われる、まさに「本物」のアカデミックな英語試験なわけです。
そんな「本物」の試験に対し、小手先の技術は通じません。やはり日頃から様々なジャンルの文書を読み、興味関心を高め、自分の意見を持つように意識していかなければならないでしょう。
ということで、今日は
- IELTS ライティング Task2で問われる頻出トピック
- アイデアの作り方のポイント5つ
- 良質なインプットを増やすおススメの書籍
についてご紹介したいと思います。
この記事を読めば、頻出トピックを知ってある程度事前対策が講じれるようになります。
まずは頻出トピックを知る
早速 IELTS ライティング Task 2 の頻出トピックを確認していきましょう。
頻出トピックは必ず一回以上解き、狙われやすい論点に触れておきましょう。
頻出トピック一覧
- 教育
- グローバル・イシュー
- 公共政策
- 犯罪
- 哲学
- メディア
- ビジネス
- テクノロジー
- 経済
- 観光
- 労働
- 環境問題
- 文化・レジャー
- コミュニケーション
- 家族
これらのカテゴリーは単独で出題されることもありますが、ほとんどが2つ以上のカテゴリーをミックスしたような問題です。
太字にしたものは、特に出題頻度が高いと思われるカテゴリーです(実際に統計を取ったわけではないので、あくまで個人の感覚ですが…)。
実際どのような問題が出るのか、確認してみましょう。
設問例1)
(引用元:Cambridge Univ Press (2019) IELTS 14 Academic Student’s Book with Answers without Audio: Authentic Practice Tests (IELTS Practice Tests), Cambridge English.)
このような問いの場合、労働問題、ビジネス、経済、テクノロジーなど、様々な観点から論じることが出来ます。問題設定も具体的で、比較的論じやすい設問かと思います。
例えばテクノロジー分野では、IT や SNS の発展による社会・経済への影響、オンラインゲームの子育て(教育)への影響などは、一度は考えておきたいテーマ。
その上で、出来れば専門用語まで抑え、自分の意見をまとめておきます。英語では難しい、もしくは時間がないという方は、日本語で良いのでまとめておきます。
この作業をしておくのとおかないのでは、本番での安心感が違います。
設問例2)
一方、次のような漠としたテーマが出題されることもあります。
(引用元:Cambridge Univ Press (2018) IELTS 13 Academic Student’s Book with Answers without Audio: Authentic Practice Tests (IELTS Practice Tests), Cambridge English.)
こんな質問されたら、日本語でも答えるのに困ってしまいますよね。
頻度としては少ないですが、出題の可能性がゼロというわけではありません。テスト本番では、このような曖昧で哲学的な質問が出されてもうろたえないように、日ごろから本物の思考力を磨いておく必要があります。
アイデアの作り方のポイント5つ
1.設問をよく読み理解する
まず何より大事なのが、設問をよく読むことです。
「何言ってるの?そんなの当然だよ」と感じると思いますが、実際の答案を読むと、全く設問に答えていない解答が多くあります。
- 歴史が最も重要な科目だ
- 科学・テクノロジーの方が歴史よりも重要な科目だ
- 両方の見方を議論しなさい
- あなたの意見を述べなさい
2. 曖昧なキーワードは自分で定義する
上の例では「歴史」や「科学・テクノロジー」といった具体的な科目が設定されています。しかし、もう一つのキーワードである「重要」はどうでしょうか。「重要」と言う言葉はとても曖昧です。
とても重要なのか、ある程度重要なのか、何かに比べて重要なのか。程度の問題もありますし、「経済面」から考えて重要なのか、「社会的側面」から考えて重要なのか、それとも「子供の成長そのもの」という点において重要なのか。様々な切り口から考える必要があります。
漠としたキーワードが問題に書かれているときは、自分なりに定義をすると考えが進むようになります。
「そもそも○○ってどういう意味だろう?」と考える癖を普段から付けるようにしてみてください。
3.物事の両サイドを常に考える
IELTS ライティング の Task 2では、”Discuss both views” や “What are the advantages and disadvantages?” など、物事を両側面から考え議論させる問題が多く出題されます。
直感的に「こう思う」と自分の意見が固まったとしても、まずは両サイドの意見を考えてみましょう。
そのためには「なぜ相手は別の意見に賛成なのだろう?」「自分の意見に対してきっとこう反駁してくるだろう」と想像力を働かせることが大切です。
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4.なぜ癖をつける
そのために必要な「考える力」が論理的思考力です。「なぜそうなのか? なぜならば…」と、筋道を立てて考え相手を説得できるような力です。
論理的思考力を磨く方法としては、トヨタの「なぜ5回」が有名。問題を発見したら「なぜ?」を5回繰り返すと、本質的な原因=真因が見えてくるというお話です。
論理的思考力は、Task 2のエッセイ対策としてはもちろんのこと、留学先の授業(論文やディスカッション)についていくための土台となります。
日頃の練習では、時間に縛られずある程度余裕をもって、是非「なぜ」を5回繰り返してみて下さい。この時大事なのは、思考を止めないこと。「間違っているかも」「理由になってないかも」といったことは気にせず、とにかく頭の中のアイデアを紙面に吐き出すことを優先します。
5.考える切り口を持つ
さて、先ほどの問題ですが、みなさんの意見はすぐに思い浮かんだでしょうか?
「全然思い浮かばない…」という人は、次の4つのキーワードが与えられたらどうでしょう。
- 過去からの学び
- 将来への貢献
- 文化的側面
- 経済的側面
おそらく先ほどよりはぐっと考えやすくなったはず。
多くの人は「ゼロベースで自由に考えてください」と言われても、そう簡単に考えられるものではありません。逆にある程度思考の枠組みを定めてもらった方が、意見が出やすいものです。
であれば、自分で自分に考える切り口を与えてあげましょう。上の例のように
- 将来や過去といった時間軸で考える
- 社会・経済・文化的側面から考える
- その変化が個人に与える影響・社会に与える影響を考える
これらは多くのトピックに通用する切り口です。是非活用してみてください。
良質なインプットを増やすおススメの書籍
良質なエッセイを書くためには、アウトプット以上に良質なインプットが重要です。そこで最後に、良質なインプットを増やすためのおススメ書籍を2冊ご紹介したいと思います。
1. 『小論文の完全ネタ本改訂版 社会科学系編』
こちらは日本の大学受験向けの教材ですが、IELTSライティングのTask 2 にもとても役立つ本です。現時点では3種類あるのですが、IELTS対策としては社会科学系編と人文・教育系編が親和性が高いと思います。
頻出のトピックについて、定義、「問題点」「解決策・対応策」などがくわしく解説されています。
『IELTS ライティング徹底攻略』
こちらの本は、IELTS OA 6.5からもっと高いスコアを目指している方には必須の教材です。
後半にはIELTSの頻出トピックに関する論点が簡潔にまとめられているので、参考になると思います。
私もこの本からたくさん勉強させてもらっていますが、かなり情報量が多く掲載されている模範解答のレベルも高いです。
なので、IELTS初心者の方や実力がまだOA5.0あたりの方が読むと圧倒されてしまうかもしれません。すごく良い本なのですが、自分の実力で使いこなせるかどうかも考慮して活用していってください。
まとめ
IELTS ライティングの Task2に6.5 以上を取るには、小手先の技術だけでは到底通用しないのは、みなさんも重々ご存知かと思います。
今日ご紹介したやり方は「急がば回れ」、つまりは「本物の英語力と思考力を磨こう」という考えです。
テスト対策とはズレましたが、IELTS の先に待つ留学先の授業では必ず役立つポイントだと信じております。
I write because I don’t know what I think until I read what I say.
–Flannery O’connor
最後に、毎回毎回しつこくて恐縮ですが、書く力は実際に書くことでしか伸びません。上の言葉にあるように、紙に書き出してみないと「考えている」ようで実は「考えているつもり」でしかなかった、ということも多々あります。
今日ご紹介したポイントを意識して、ぜひ何度も何度も練習してみてくださいね。