本記事は、IELTS のライティングのスコアが思うように上がらず悩んでいる方に向けて、スコアが上がらない原因や、IELTS のライティングはどのように採点されているのか、その採点基準について解説したいと思います。
この記事を読むと、IELTSの採点基準に照らし合わせて弱点がわかり、自分に必要なライティングの勉強法が見えてくると思います。
ぜひ参考にしてみてください。
IELTS の採点基準 “Band Descriptors” とは?
“Band Descriptors”とは、IELTS が公表している採点基準のことです。
ライティング(Task 1 と Task 2)とスピーキングのアウトプット系技能にのみ設けられています。
ライティングの採点基準には4つの評価項目があります。
- Task Achievement または Task Response (TA/TR)
- Coherence and Cohesion (CC)
- Lexical Resource (LR)
- Grammatical Range and Accuracy (GRA)
それぞれを日本語に置き換えると、「タスク達成度(Task 1)/回答度(Task 2)」「一貫性と結束性」「語彙力」「文法の幅広さと正確さ」です。
この日本語を見たところで、具体的に何を指しているのかいまいちピンと来ないですよね。
それぞれの項目については後ほど詳しく説明しますが、まずは IELTS のライティングとスピーキングは、こうした厳密な採点基準に沿って、専門のトレーニングを受けた採点官によってスコアが決まるということを知っておきましょう。
採点基準を知ったからといってすぐにスコアが伸びるようなものではありませんが、逆にこれらの項目を意識して勉強しなければ、思うようにスコアは伸びていきません。
一度も見たことがないという人は、ぜひ IELTS の HP に飛んで公式のライティング Band Descriptors をダウンロードしておきましょう。
なぜあなたのライティングスコアは上がらないのか?
皆さんはどこかで「IELTS はライティングのスコアを上げるのが最も難しい」という話を聞いたことがありますでしょうか。
IELTS のライティングはネイティブスピーカーでも7.0以上を取るのが難しいと言われています。
実際に私もライティングが一番苦労しています。
生徒さんを見ていても、5.5までは比較的早くスコアが伸びても、それ以降はなかなか点数が上がらないという方が多いです。
ではなぜ IELTS のライティングはスコアが伸びにくいのでしょうか。
それは採点基準を意識して書いていない、または正しく理解していないからだと思います。
苦手項目の底上げがポイント
図1.で示したように、IELTSのライティングスコアは、まず各評価項目に対して点数が割り振られます。
例えば Task 1でいうと、「タスク達成度」が 6.0、「一貫性と結束性」が 6.0、「語彙力」が 6.0、「文法」が 6.0、という具合です。
そしてその平均点が ライティング Task 1 のトータルのスコアになります。上記配点の場合、Task 1 は 6.0 ということです。
ところがここで、文法だけ「5.0」を取ってしまったとします。するとスコアはどうなるでしょうか。
それが違うのです。残念ながらトータルのスコアは「5.5」まで下がってしまう可能性があるのです。
もし 5.0 を一つでも取ってしまった場合、何か他の項目で 7.0 を取らないと 6.0まで引き上げるのが難しくなります。
7.0 を取るのはかなりハードルが高いですから、何かの採点基準を極めるよりも、一つでも 5.0 の評価項目をなくす方が近道だと思います。
Task 1よりも Task 2 の比重が重い
同様に Task 2 についても各項目の配点⇒トータルという順でスコアが決まります。
さらに Task 1 と Task 2 のスコアを足してトータルスコアを割り出すのですが、この時 Task 2 の方が採点比重が重くなります(1:2の割合)。
詳しくはこちらの記事に書いておりますので、よかったら読んでみてください。
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Task Achievement または Task Responseとは
Task 1: タスク達成度(Task Achievement)とは
IELTS のライティングタスク Task 1 では、達成度(Task Achievement)という採点基準で評価されます。
- グラフや図(地図やプロセス図)を正しく読み取れているか?
- グラフや図の特徴を捉え、情報を適切に選択し、要約が出来ているか?
- グラフや図の詳細(数値や変化)を正しく述べているか?
- グラフや図の詳細を比較しながら描写できているか?
以上のような観点からみられています。
Task 1 はあくまで客観的に事実を描写する力がみられていますので、自分の意見を書く必要はありません。
Task 2: タスク回答度(Task Achievement)とは
一方 Task 2 は、タスク回答度(Task Achievement)という採点基準になります。
- 設問を正しく理解しているか?
- 全ての設問項目に答えているか?
- 自分の意見(立場)を明確に述べているか
- 自分の意見(立場)を主張するための根拠は十分か
などがみられています。
要は、この問題は何を問うていて、その問いに対してきちんと答えられているかということです。
Task 2の場合は、意見を問うものや原因を説明させるものなど、設問タイプが3〜5種類ほどあります。
「なぜ〇〇が増加する現象が起きているのでしょうか?原因と解決策を述べなさい」と聞かれているのに、「私は〇〇の増加に賛成します」と答えていたらどうでしょうか。
いくら250文字以上書いたとしても、設問に対しての回答になっていないので、TR項目のスコアは下がってしまいます。
Coherence and Cohesion とは
Coherence は一貫性や論理性
coherence は、日本語では「一貫性」と訳されますが、
- エッセイ全体を通して自分の意見はブレていないか?
- 話が変な方向にずれていないか?
- 自分の意見に説得力を持たせるため、論理的な順番(構成)で書けているか?
- アカデミック・ライティングの型に沿って書けているか?
などがみられます。
Cohesion は文と文のつながり
cohesion は「結束性」と訳されますが、日本人にとってはあまり馴染のない言葉かもしれません。
- 段落の中身は箇条書きのような書き方になっていないか?
- 前後の文同士がつながっているか?
- つなぎ語を適切な形と頻度で使用しているか?
- 代名詞をうまく活用して結束性を高めているか?
などがみられています。
よく Therefore, in addition, moreover などつなぎ語を乱発するエッセイを見かけますが、とにかく書けば良いというものではありません。
段落内の文脈に適したつなぎ語を選び、適切な頻度で使うことを心がけましょう。
アカデミック・ライティングの基本的な型をご存じない方は、ぜひこちらの記事もご一読ください。
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Lexical Resource
Lexical Resource はいわゆる「語彙力」です。
- 幅広い語彙や表現が使えているか?
- 正しいコロケーションで書けているか?
- アカデミックな語彙が使えているか?
などがみられます。
語彙の項目で気を付けたいのは、やたらめったらパラフレーズしないこと。もしどうしてもパラフレーズできる単語が見つからなければ、無理やり書き換える必要はありません。
むしろ無理に言葉を置き換えたために、コロケーション(自然な語と語のつながり)が崩れてしまうこともあります。
単語を覚える際はライティングを見据えながら、「一緒に使われる単語」とセットで覚えるようにしましょう。
Grammatical Range and Accuracyとは
Grammatical Range and Accuracy は、文法の幅広さと正確さの二つの要素に分かれます。
- 様々な文法項目が使われているか?
- 単文だけでなく、複文で文章が書かれているか?
- ミスのない文を書けているか?
- カンマやピリオドなど、記号を正しく使えているか?
2つ目の「複文(complex sentence)」で文章が書けることは、文法項目でスコアを上げるのにとても重要になってきますので、接続詞や関係詞などをよく復習しておきましょう。
正確さについては、「絶対にミスをしていはいけない」というわけではありません。多少のミスがあっても意味が通じる一文であれば、6.0以上は目指せます。
ライティングのスコアを上げるためにやるべきこと
これら4つの採点基準ですが、私たちの授業では TR/ TAとCCは「国語力」、 LRとGRAは「英語力」の問題だ、とお伝えしています。
国語力とは、「設問を正しく理解し、自分の意見を論理的に組み立てる力」です。この力がなければ、いくら英語がうまくても IELTS のライティングスコアは伸びにくいでしょう。
一方、英語力はいわゆる語彙や文法のことを指します。
国語力と英語力を両方磨く
多くの方が「英語力」ばかり気にされますが、実は国語力もとても重要です。これはライティングだけでなくリーディングにも同じことが言えます。
特に意見・理由・具体例の3つの区別がつかない人は、英語の前に小論文の書き方を勉強したり、論理的な思考力をトレーニングするのがおすすめ。
日本語でまずは論理的な文章を書いてみて、書き終わったら誰か(できればアカデミック・ライティングに精通していて、ロジカルな人)に添削してもらいましょう。
それを繰り返せば、TRとCC 項目の力が徐々に上がってくると思います。
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