今回はリーディングの復習方法についてお話ししたいと思います。
TOEFLやIELTSのリーディングは、単語も難しいし、量も多いので、一度解くだけで疲れちゃいますよね。
「復習が大事なのはわかっているけど、そのエネルギーが残ってない…」「点数が悪かったから、問題すら見たくない…」という気持ち、とてもわかります。
今回の記事は、
- リーディングの復習は単語を確認するだけ
- 本文は大体読めているけど、正答率が低い
- 同じ問題を解いても効果ってあるの? 新しい問題を解いた方が良いのでは?
- 復習が大事なのはわかるけど、やり方がわからない
という方向けに、
- リーディングの復習によくある「単語」の誤解
- リーディングの課題を把握するための5つのポイント
- 具体的な復習方法
について書いています。
なぜリーディングの復習が大事なのか
リーディングの復習が大事な理由。それはズバリ、自分の課題を分析するためです。
そもそもリーディングは総合力が求められるセクション。正答率を上げるには、これまで習った文法や語彙、国語の授業で培った読解力や人生の経験値などを総動員する必要があります。
ところが、リーディングの点数が伸びないと悩む方に原因を聞いてみると、
と答える人がとても多い。
確かに知らない単語ばかりの文章を読むのは難しいです。ただ、「単語が難しいから解けない」と考えるのは危険。これは英語に特有の大きな誤解です。
もし原因が単語であれば、単語の意味さえ調べれば全問正解できる、ということになりますよね。
果たしてそうでしょうか。あとで詳しく述べますが、TOEFLやIELTSの問題は、単語さえわかれば解けるといった単純なものではありません。
TOEFLやIELTSを勉強している皆さんはすでにご存知の通り、「知らない単語が一つもない」問題文など、ほぼ皆無です。語彙を増やす努力は大切ですが、それだけでは十分でないことは納得いただけるのではないでしょうか。
自分の弱みや課題を正しく把握する方法
新しい問題を何題も解いていても、復習をおろそかにすると、いつまで経っても自分の弱みや課題を正しく把握することができません。したがって、いつも同じ間違いを繰り返してしまいます。仕方ないから単語だけ調べ、なんとなく復習を終わらせる。結局スコアが伸びない。
このような状況に陥っている方、いませんか。
課題を正しく把握できなければ、いくら施策を打っても根本的な解決には至りません。
やみくもに新しい問題を解く前に、まずは自分の弱点や課題を正しく把握しましょう。
リーディングに必要な5つの力
リーディングに必要な力を、大きく次の5つに分けてみました。以下の5項目について、一度〇×をつけて、自己採点してみてください。
どうでしたか。
単語以外にも、英文読解が出来ない理由はこんなにあります。まずは自分の弱点を把握し、その項目を克服するよう、正しい努力をしていきましょう。
具体的に何をどう復習すればいいのか
単語問題の正解率を上げるには
「リーディングの課題は単語じゃない!」と言っておきながら、一発目に単語と書きました。
もちろん「語彙を増やすのが大事」ということは大前提ですが、ここではそのような意味ではありません。
英文(本文)を読み進めるための語彙力ではなく、単語問題で正しい解答を選べているかという話です。
例えば TOEFL ITPリーディングでは、大問1題(10問)につき、多くて2~3問、単語問題が出題されます。
「The word “xxx” in line 5 is closest in meaning to…」のように、直接単語の意味が聞かれます。
このような単語問題は、
- 文脈から推測させるもの
- 多義語から正しい意味を選ばせるもの
- 正確な定義がわかるか図るもの
といった種類があります。
2~3問出題されるということは、割合でいえば20~30%。決して捨てて良い問題じゃありません。
もし単語問題をいつも落としてしまう人は、ただ漠然と「単語がわからなかった」で終わらせるのではなく、
- 文脈がただしく理解できておらず、意味が推測できなかったのか
- 多義語の意味を覚えきれていなかったのか
- 単語の意味を曖昧に覚えてしまっていたのか
と、更に深く分析してみてください。
文法の基礎に問題がある場合
リーディングで問われる文法力は、
- 主語・動詞などの英文構造が把握できるか
- 時制が正しくつかめているか
- 省略や倒置を見抜けるか
- 指示語がわかるか
です。中でも①の主語・動詞などの英文構造が把握できるかが非常に重要です。これは③の省略や倒置、④の指示語が把握できているか、にもつながります。
リーディングは文法セクションではありませんので、直接的な文法問題は出てきません。しかし、本文には解答につながるキーセンテンスが散りばめられており、そのキーセンテンスは決まって複雑な文法を使って書かれています。
文法については他の記事で取り扱っていますので、そちらを参考にしてみてください。
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全体的な読解力を底上げするには
リーディングのスコアを伸ばすためには、全体の読解力を上げていく以外に道はありません。TOEFLやIELTSは、小手先のテクニックが通用しないからです。
読解力を上げるためには、
- 主題が大まかに把握できているか
- 理由と具体例、因果関係、対比関係など文の構造が把握できてるか
を意識して読む訓練をする必要があります。
実はこれ、英語に限った話ではありません。近年「日本人の読解力が下がった」とワイドショーなどで話題になることがありますが、言語に関係なく「文章を読み取る力」そのものに課題があるのです。
主題に関して言えば、
- 文章全体のメインアイデアは何か
- 筆者の態度はどのようなものか
が見抜けるか。
例えば「主題は何か」という問題。英語の学術論文では、主題は大体最初の導入パラグラフで提起され、その主題を論じるために具体的な話が次のパラグラフで展開されていきます。
導入部分で主題をつかめれば、一部のパラグラフでしか論じられていない選択肢はすぐに削除できるはずです。でも、これが出来ない人が多い。木(各パラグラフや各文)ばかり見て、森(全体構造)を見ずに読み進めてしまっているからです。
筆者は主題をどのように展開して論じていくか。それこそが文章全体の構造を把握することにつながります。
- この一文はイコールの関係なのか、因果関係なのか、それとも対比関係なのか
- 抽象的な主張を補足するための具体例はどれか
- 筆者の意見には何が含まれていて、何が含まれていないのか
上の3つを見てもわかる通り、これは英語というより国語の授業で習う項目ですよね。つまり、英語の読解力を養うためには、日ごろから日本語の読解力も磨く必要があるのです。
読むスピードをあげるには
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まとめ
リーディングのスコアを伸ばすためには、文章を速く正しく読み、論理構造を把握する力が求められます。
そのためには、土台である単語や文法を固め、速読のスピードをあげ、筆者の主張が述べられているキーセンテンスを見抜く訓練を繰り返しましょう。
リーディングにおいて、復習はとても大事です。自分の課題を見つけ、この記事を参考に今の復習方法を見直してみてはいかがでしょうか。