IELTS や TOEFL のライティング対策をしていて、ある程度「量」が書けるようになってくると、今度は文章の質を上げたい欲が出てくる時期があります。
私も以前、40分以内で250語以上(※IELTS ライティング Task2の課題)は安定して書けるようになってきたけれど、
「なんか無理やり語数を稼いでいる感じがするな…」
「構文とか表現の使いまわしが多くて、毎回同じような文章になっている…」
とモヤモヤする時期がありました。
ちょっと知的な文章を書きたい。でも何をどう変えればいいかわからない。
こうした悩みは、IELTS だと 5.5~6.0でスコアが頭打ちになっている方にも多いと思います。
なので本日は、自分で書いた英文の質をぐっと高めるためのライティング技術についてご紹介いたします。
IELTSのスコアを上げるためにも必要ですが、ちょっとカッコいい文章が書けるとテンションが上がります。
少しでもライティングの勉強を楽しくするために、カッコいい英語への変換テクニックを学んでいきましょう!
長い文=良い文章ではない
その前に、簡単に前提の確認からしていきたいと思います。
添削やフィードバックをしていると、「長い文=良い文章」と勘違いしている人が結構いらっしゃいます。
私自身も昔はそのような勘違いをしていたので、関係代名詞 which や 接続詞 because をつけて、わざと出来るだけ長い一文を書くようにしていました。
でもある時ネイティブの先生からの添削で、「Your essay is too wordy.(あなたのエッセイは冗長すぎます)」とコメントされて、大きな衝撃を受けたことがありました。
もう、これは大ショックでした。あんなに頑張って書いたのにそんな一言で一蹴するなんて…と。
でもそのショックのおかげで様々なライティングに関する本を読み、「そうか、良い文章というのは簡潔で引き締まった文章なのか!」と知ったのです。
関係代名詞や接続詞を使って正確な文を書けることは必須ですが、どうしても一文が長くなります。
長い文が悪いというわけではなく、「無駄に」長いのがダメなのです。同じ内容を伝えたければ、冗長な文よりも、筋肉質なほうが美しい。
そう、身体も英文も無駄な贅肉は落とした方が良い。
ということで、まずは自分が書いた文章に本当は簡潔に言えるのにわざわざ長くなっている一文がないか、確認してみてください。
日本人学習者の典型的な英文とは
文章がいつもワンパターンになってしまう。その中でも私が特に気になっていたのは、
- 文章がいつも I から始まっている(というか、それ以外の主語が思い浮かばない)
- 理由を説明するときはいつも because を使ってしまう(せいぜい頑張って since や as に置き換えるだけ)
ということでした。
そんな過去の私が喉から手が出るほど欲しいようなコンセプトの本が、この令和の時代には存在します。
その名も『
著者は TOEFLなどテスト系英語に強い予備校トフルゼミナール講師の鈴木
本書の冒頭ページ「はじめに」に書かれている日本人学習者の典型的な英文の事例が秀逸ですので、そのままここに掲載させて頂きます。
I can speak English, so I can talk with many people.
He was very busy, so he couldn’t help us.
There are many books in this library, so students can study very well.
引用:『
という感じではないでしょうか。
鈴木先生いわく、これら日本人学習者の典型的な英文には次の4つの特徴があります。
- 主語がほぼ「I」などの人称になっている
- 「だから」を意味する「so」を連発してしまう
- 「~がある」を「There + be動詞」の構文でしか表現できない
- 「できる」を表す「can」の使用頻度が極端に高い
うーむ。全部身に覚えのある指摘です。
これらの文は文法として間違いではないのですが、毎回同じ構造パターン、似たような言い回しだと IELTS のスコアは上がりません。
何より自分自身、もっとカッコ良い英文を書けるようになりたい。
そこで今日は、この本で紹介されている37個のテクニックの中から、私がサバイバル英語を使って生き抜く中で本当に使っているおすすめのテクニック2つをご紹介します。
①出来る系は enable か allow に書きかえる
まず一つ目の方法は「出来る系の表現は主語を人から無生物主語に置き換えて、動詞は enable か allow を使う」です。
このテクニックを使うことで、主語を「I(または人)」から始めず「無生物主語(人間以外のもの)」で始めることができます。
この無生物主語というのが、なんかとてつもなくカッコイイ感じがします。
例を見てみましょう。
車を運転することによって、スケジュールを調整できます。
車を運転することは、私がスケジュールを調整するのを可能にします。
両親が大丈夫と言ってくれたので留学できました。
両親は私が留学することを許してくれました。
②because SV を because of 名詞または due to 名詞に書きかえる
二つ目のテクニックは「because SV を because of 名詞、または due to 名詞に書きかえる」です。
このテクニックを使うことで、文章を冗長にしてしまう接続詞を省き、引き締まった表現にすることができます。
こちらも例を見てみましょう。
彼が私に対して失礼だったので、私は怒っていました。
彼の失礼な態度に私は腹を立てました。
because という接続詞を because of という群前置詞(※)に、“he was rude ”という節を “his rudenss” という名詞句に変えています。
どうでしょうか。たった2語の違いですが、なんかちょっとシュッとして大人っぽい印象になりませんか?
because に限らず、接続詞を使うと必ず前後に S V が2回出現するので、どうしても一文が長くなります。
そこで「because of 名詞(句)」に変えて文を短くする。節を名詞(句)に変えるのは最初難しく感じるかもしれませんが、色んな派生語を覚えるチャンスでもあります。
because of の他にも「due to + 名詞(句)」も使えますので、because ばかり使ってしまう人は、ぜひトライしてみてください。
※「群前置詞」とか「名詞句」という文法用語でつまづいてしまった方は、英作文の基本・文法をもう一度しっかり学んでおくと便利です。
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欲張らないで2つから始めて
今日は「いつも同じパターンの英文から卒業して、もう少しカッコいい表現を書けるようになりたい」という方に向けて、今日からでも実践できる2つのテクニックをご紹介しました。
私なんかは調子に乗って「よし、もっと引き出しを増やそう!」と、本に紹介されている37個のテクニックを全部習得しようとか、無茶なことを考えてしまいがちです。
しかし結局実践できずに消化不良で終わることのほうが多いので、お勧めしません。
この2つのテクニックを使うだけでも英文パターンの引き出しが増え、「私の英語、なんだかカッコいい!」と感じられると思います。
また IELTS のライティング、特に Task2のスコアアップにもつながると思います。