海外の大学・大学院に出願する際には、志望動機書(理由書)が必要です。合格をつかみ取るには最も重要な書類です。
- 何を書いたらいいの?
- どれくらいの文字数が必要?
- 評価されるポイントは?
- いつから準備すればいい?
こんな疑問をお持ちの方に、志望動機書と他の書類との違いや、書き方のポイント、スケジュールについてお伝えします。すべて筆者たちが実践した経験に基づいています。
なかには「英語の勉強に手一杯で、志望動機書は後回しになってしまっている…」という方もいるかもしれませんが、志望動機書は超大事。留学への熱い想いを伝えられる唯一の書類です。
志望動機書とは
志望動機書、または志望理由書とは「あなたがなぜその大学を志望しており、大学側はなぜあなたを合格させる必要があるのか」を納得させる文書です。アメリカ留学ではエッセイ、イギリス留学ではパーソナル・ステートメントなどと呼ばれます。
大事なのはハイライトした部分。大学側があなたを入学させる理由を書く必要があります。しかし、多くの方がこの視点を見落として、自分が留学したい理由ばかりを書き連ねてしまいます。
もちろんその熱意は大事なのですが、忘れてはいけないのは、他の出願者も留学したい想いは一緒ということ。競争相手と比べられたとき、あなたの出願理由が他者を抜きんでてキラリと光る必要があるのです。
そもそも出願には、志望動機書のほかに CV(履歴書)、推薦状、学校の成績証明書などを提出します。各書類には役割があります。
- 履歴書:これまでのキャリア、職業上の自己PR【過去】
- 成績表:これまでの学業上の自己PR【過去】
- 推薦状:他者から見たあなたの強み【過去】
- 志望動機書:これから実現したいこと、留学中に挑戦したいこと【未来】
ご覧の通り、志望動機書だけが未来を語ることが出来ます。
志望動機書に含む内容
志望動機書に含む内容は、大別すると4つあります。
- 将来実現したいこと
- そう思うように至った背景
- 大学・大学院で何を学びたいか
- なぜその大学なのか
一つ目の将来実現したいこととは、一言でいうとあなたの「夢」です。個人的な野望でもいいですが、できれば社会に貢献できるような、他者にとっても有益な野望が望ましいです。
「英語がペラペラになって世界を飛び回りたい」といった個人の欲望を満たすだけの夢ではなく、少なくともその結果、周りのために何ができるかという視点も入れて書くようにしましょう。
次に、なぜそう思うように至ったのか、その背景を書きます。なるべく具体的なエピソード、きっかけとなった出来事などを盛り込みましょう。
そして最も大学側が知りたいのは、大学・大学院で何を学びたいのか、なぜその大学でなければならないのか、の二つです。
最も重要なのに、実際はこの項目が薄くなってしまいがち。なぜなら自己分析と大学の下調べが足りていないから。①、②までは流暢に書けているのに、ここでトーンダウンしてしまう人がいます。
そうならないためにも、次の3つのポイントを意識して志望動機書を書いていきましょう。
志望動機書を書く際のポイント3つ
それではここから、志望動機書を書く際のポイントをお伝えします。
- 下準備をしっかりやる
- 構成を考える
- 添削してもらう
ポイント1. 下準備をしっかりやる
「段取り八分」という言葉があるように、志望動機書を書く際も、事前準備が重要です。パソコンに向かっていきなり書き出さないようにしましょう。
ここでいう準備とは、自己分析と学校の下調べの二点です。この二点をしっかり行っていれば、志望動機書の半分は書き上げられたと言っても過言ではありません。
自己分析
まず自己分析ですが、基本的には「自分は何をやりたいのか?(what)」「なぜやりたいのか?(why)」の二軸で考えます。
これら二つが、①将来実現したいこと、②そう思うように至った背景のパラグラフの材料となります。
この時大事なのは、とにかく何でも吐き出すこと。
「やりたいことって、将来の話? それとも留学中?」「やりたい理由は〇〇でもいいの?」と、質問に制限をかける必要はありません。ブレインストーミングのような形で、出てきた言葉(=自分の想い)をヒントに、次の言葉へつなげます。
もし手元に付箋があれば、一枚につき一つ想いを書いて、ペタペタ貼っていきます。ポイント2の構成を考える際に役立ちます。
下の例では、わかりやすくするために「自分は何をやりたいのか?(what)」を黄色の付箋で、「なぜやりたいのか?(why)」を青の付箋に分けています。実際に行う時は、必ずしも色を分ける必要はありません。
ブレインストーミングの時点では、とにかく数を多く出すことの方が重要です。
自己分析では、過去を振り返る手法をよく使いますが、このやり方は社会人にとっては注意が必要です。なぜなら、ほとんどの方が社会人になってからのキャリア、直近4~5年やってきた仕事に縛られてしまうから。
例えば、
「新卒で入社した会社がたまたま IT 業界だったから今も IT 系の会社にいるけど、本当は旅行会社に就職したかったんだよなぁ。学生時代はよく一人で海外旅行に行ったな」
とか、今やっている仕事から一旦離れて考えることが重要です。
私たちは自己分析のワークショップなども時々開催するのですが「本来のあなたがやりたいことは?」「本来のあなたの強みは?」と質問しても、多くの社会人が現状の立場 ―例えば会社のポジションや父親、母親といった家庭の役割― を離れて、ゼロの自分に向き合うことが出来ません。
留学を考えているくらいの皆さんなら、人生を大きく変える転換期にいるはずです。
どうせ過去を振り返るなら、すべての制限を外し、小学生くらいまで遡って考えましょう。子供の頃に夢中になったこと、大好きだった遊びにヒントがある場合も。
冷蔵庫の整理をするようなイメージで「忘れてたけど、実はこんな所にこんな物があったんだわ~。そういえばこれ、大好きなんだよな~。」と、潜在的な想いを引っ張りだすようにしましょう。
学校の下調べ
学校の下調べも超重要です。
これは志望動機書を書くために大切というより、本当に留学が始まった後のことを考えて十分行うべきです。
実は私は、留学先の大学選びに苦い思い出があります。入った大学が肌に合わず、たった1学期で転校してしまったのです。
大学を選ぶ際は、専攻やキャリア設計も大事ですが、生活環境もぜひ重視してください。だって長く生活するんだもん。
話がずれましたね。学校の下調べについて話を戻します。
学校の下調べは、自分が何をやりたいかが明確でないと進みません。自己分析を怠ると、結局この段階で躓いてしまいます。
確認項目 | 見るポイント |
大学の概要 | 大学のHPを活用する。その大学の特色(強み)、何をアピールポイントとして謳っているか調べる。留学生用のページがあるなら全部見る。写真から雰囲気をつかむ。 |
専攻 | 専攻については、カリキュラムを確認する。どのようなプログラムがあるか。理論を重視しているか、実践派か。出来たら一つ一つの授業内容まで確認する。大学によってはHPに載っています。 |
英語力 | 大学が求めるTOEFL/IELTSのスコアを確認する。特にライティングに最低スコアが設定されている場合、論文を書く機会が多いと思われる。 |
大学の雰囲気 | 留学フェアに参加する。直接足を運んで担当者と話をする。担当者の英語に強い訛りがあれば、それがあなたが今後聞き取る英語です。 |
町の雰囲気 | 大学が在る地域の特色を探す(例:サンフランシスコ=シリコンバレー、ロンドン=アートなど)グー〇ルのストリートビューで疑似旅行してみる。その地域に住んでいる人のブログを読む。出来る限りの情報収集をする。 |
志望動機書には何を書けばいい? 添削は必要? 前回の記事『海外留学|テンプレートに頼らない志望動機書の書き方【準備編】』では、志望動機書を書く前にやるべき事前準備についてお伝えしました。 自己分析や学校の下調べが済んだら、次は実際に書く工程[…]
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