勉強しているのに、なんで英語が話せない?
「何年勉強しても一向に英語が話せるようにならない」
「IELTSの4技能で、スピーキングだけスコアが低い」
「ネイティブを目の前にすると、言葉が詰まったり、何度も言い間違いをしてしまう」
せっかく英語を勉強しているのに全然話せるようにならないと、心が折れてしまいますよね。
日本人が英語が話せない原因の一つに、読み・書きを中心とした英語教育が考えられます。たくさん勉強してきたつもりでも、聞く・話す練習に割いてきた時間は圧倒的に不足しているのです。
特に「話す」においては、基礎的な練習を飛ばしていきなり英会話などの実践の場に身を置くなど、間違った勉強法に走ってしまいがち。英会話教室に通ったけれど話せるようにならなかったという人も多いと思います。
実践の前に基礎トレーニングの徹底
野球選手が何回も素振りをするように、英語も一定の英文を何度も繰り返し体(口)に叩き込むことが重要です。
そこで今回は、英会話教室に通わなくても一人で簡単にできるスピーキング練習のおすすめ教材をご紹介したいと思います。
これらの教材を日々の勉強にプラスして反射的に簡単な英語が話せる力を手に入れましょう!
英語のハノンと瞬間英作文
教材を選んだ基準は以下の3つです。
- 話せるようになることに重きを置いているか?
- 手軽に毎日続けられるか?
- 自分一人でもトレーニングできるか?
発売から日にちも経ち、レビューも一定数上げられている評価の高い2冊を選びました。
英語のハノン 初級 スピーキングのためのやりなおし英文法ス ーパードリル
一冊目は『スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル 英語のハノン 初級』横山 雅彦 (著)、 中村 佐知子 (著)(筑摩書房)です。
Amazon のレビューでは5点満点中 4.4 点と非常に高い評価を獲得しています。2021年に発売されて以来、驚異のスピードで人気となった一冊です。
コンセプト | 学校で習う英文法をやり直しながら、実際に口頭で使えるようになる |
価格 | 1,980円(税込み) |
文法範囲 | 文型、時制、疑問詞、態、準動詞(不定詞・動名詞・分詞) |
例文数 | 643文 |
音声 | 英語の音声(スローとナチュラルの2段階スピード)ファイルダウンロード 和訳の読み上げはなし |
英語のハノン初級の特徴
本のタイトルにある通り、ピアノのハノン(教本)のように繰り返し根気強く訓練することで英語を実際に口頭で使えるようになることを目指しています。
本書は例文をやみくもに暗記させるようなドリルではなく、きちんとした文法の解説があります。
英語の基本である文型から始まり、時制、疑問詞、受動態、不定詞、動名詞、分詞などの文法項目をカバーし、合計20個のユニットで構成されています。
最初は比較的簡単な例文が多いですが、最後のユニットでは分詞構文を扱うなど、個人的には初級(?)とは呼べないレベルの例文も含まれています。
メリット
特にオススメしたいポイントは以下の3つです。
- 発音レッスンがあり、音声変化を学べる
- 文法の理解(わかる)とスピーキングの練習(できる)が一冊で網羅されている
- 音声に SlowとNaturalの2段階スピードが収録されている
学校ではなかなか教わらない「音声変化」についての解説が最初にあります。
実際スラスラ英語が口から出るようになるには、この音声変化の理解は欠かせません。練習用のドリルもついているので、口を動かしながら音声変化を体感することができます。
また本書は「スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル」と冠している通り、一つ一つの英文法項目がしっかり解説されています。
特に冒頭の「この本の特長」に書かれている英文法の「縦軸」と「横軸」の概念はとても勉強になります。
詳しい解説は本書に譲りますが、英語の構造分析(英文解釈)が苦手な方はぜひこの縦軸と横軸の概念の説明だけでも読んでいただければと思います。
音声はダウンロード形式なので、PCでもスマホでも再生することができます。例文に SlowとNatural の2段階スピードが収録されているので、自分の実力に合わせて練習できるのも嬉しいです。
デメリット
あえてデメリットを上げるならば、以下の点が挙げられます。
- イラストや図解が少なく、文法を感覚的にとらえにくい
- 和訳の読み上げが収録されていない
- 英文のすぐ下に日本語訳が書かれているので、日本語 ⇒英語に直す練習ができない
本書は基本的にすべて文字の解説になります。図やイラストがないため、英語に対して苦手意識がある、文字だけの本に抵抗があるという人には向いていないかもしれません。
またドリルもやり方に特徴があるため、慣れるまでは使いにくいと感じるかもしれません。
2点目ですが、ドリルは基本的に「英語音声を聞いてからリピートする」というたてつけで、日本語の読み上げは収録されていません。
聞いた英語をリピートするだけでも十分難しいのですが、本来は意味まで意識が向かなければドリルの効果は半減してしまいます。
慣れてくると機械的に音をリピートすることが目的になってしまう人がいますが、これではただのオウムの音真似のようなもの。注意が必要です。
3点目は日本語から英語に直す英作文トレーニングがついていない点です。
私たちのゴールは「日本語で言いたい内容を即座に英語で組み立てられる」こと。
そのためには、英語だけでなく「日本語⇒英語」に変換できるドリルがついていたら更に良いのに、と個人的には思います(※第二言語習得の観点から、あえて日⇒英トレーニングを掲載していないのかもしれません)。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
二冊目は『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』森沢 洋介(著)(ベレ出版)です。
ご存じの方も多いこちらの教材。Amazon では英作文のカテゴリーでベストセラーに輝いています。瞬間英作系ドリルの草分け的存在ではないでしょうか。
コンセプト | 簡単な英文をスピーディーにたくさん作れるようになる |
価格 | 1,980円(税込み) |
文法範囲 | 中1~3までの英文法 |
例文数 | 790文(一文型あたり10文) |
音声 | 付属CD 日本文(問題)→ ポーズ → 英文(解答) |
瞬間英作文トレーニングの特徴
瞬間的英作文トレーニングのコンセプトは、相手の言っていることはわかるけれど、自分から話そうとすると口から英語が出てこない。そんな悩みを打破するために、簡単な英文を大量に音読し「英作文回路」を脳内に作ろう!というものです。
IELTS のスピーキング評価項目にも fluency and coherence があります。これはいかに言いよどみや言い直しがなく、スラスラ瞬発的に話せるかが見られています。
このスラスラ話す瞬発力を鍛えるのに、本書はうってつけです。その効果は複数の生徒さんの体験談で証明されています。
みなさんこんにちは。2020年秋からイギリスの大学院留学を目指しているまじめです。
この記事を書いているのは2020年6月なので、残りあと3か月。
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メリット
私が考える瞬間英作文トレーニングのメリットは次の3つです。
- 例文はすべて「簡単な」英文
- 一つの文法項目につき見開き1ページで使いやすい
- 日本語⇒英語の順番で音声が収録されている
瞬間英作文トレーニングに掲載されている例文は790文。そのすべてが中学で習うような易しい単語で作られています。
パット見て「こんな簡単な英文でいいの?」と思うかもしれません。しかし、私たちの多くはそんな簡単な英文ですら瞬間的に口から出すことが出来ません。
難しい語彙や文法はやらない。その代わりスピードと量を重視する。ここに筆者の「わかる」と「できる」は違うんだ!という並々ならぬメッセージが伝わってきます。
量を追うには、トレーニングはシンプルな方が良い。2つ目のメリットですが、本書は文法一項目につき見開き1ページで完結しています。左側に日本語、右側に英語の答えが載っていて、視覚的にも使いやすいです。
また日本語文を聞いて、ポーズの間に英作文し、その直後に答えの英文が流れてくる音声がついています。視覚だけでなく聴覚から英作文思考回路を鍛えられる優れものです。
デメリット
瞬間英作文トレーニングのデメリットを強いてあげるとすれば、以下の点でしょうか。
- 文法解説は最小限
- 音声はCD
- 例文の有用性が誤解されやすい
本書には、文法の解説はほとんどありません。メリットでも書いた通り、本書の目的はあくまで「知っている知識(わかる)を、実際に使える(できる)ようにする」ことだからです。
筆者も自ら解説しているとおり、この本の対象はすでに中学レベルの基本文型の知識を持っているが、瞬間的には使いこなせない人です。
裏を返せば、中学3年生までの文法を理解していない場合、効果は低いということ。中学文法が怪しいという方は、まず最初に中学までの文法をおさらいしましょう。
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2つ目は、音声がCDという点です。最近はCDプレイヤーを持っていない、パソコンにもついていないという方が多いです。
ベレ出版から音声ファイルを別途 220円(※執筆時)で購入することもできますが、なんか少し悔しいですよね(笑)。ぜひ無料ダウンロードに変更してもらえるとありがたいです。
そして最後に、本書に対しては次のような指摘が多くなされています。
「例文が簡単すぎて、実用的でない」
「ネイティブはこんな言い回しはしない」
「暗記は意味がない」など。
ただ、これらはすべて誤解です。本書は “ネイティブが使う表現を暗記する英会話本” ではありませんし、暗記しろなんてどこにも書かれていません。
あくまで英語とは文法も発想も違う日本語という言語を話す、難解な文法は学んだけれど一切英語が話せない日本人に向けて、反射的に英作文する回路を鍛えるためのトレーニング本です。
こうした指摘は、すでにある程度英語が出来る方からが多いようです。これらの指摘には本書に解説もありますし、Amazon のページにも Q&A 形式で解説されていますので、ぜひ始める前に目を通してみてくださいね。
こんな人にオススメ
文法をやり直しながら口も動かしたい
英文法を一からやり直したいという方には、『スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル英語のハノン初級』がおすすめです。
実際に私の授業でこちらの教材を1年以上続けている生徒さんからは、
「英語が大分聞き取れるようになった」
「S,V,O,Cの重要性がわかった」
「英文をどのような発想で組み立てればいいかわかるようになった」
と効果を実感する声が聞かれます。
こちらは『英語のハノン中級』『英語のハノン上級』『英語のハノン フレーズ編』などシリーズ化されています。
文法は知っているから、トレーニングに集中したい
すでに中学までの文法の学習は終わっていて、実践練習に集中したいという方には『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』がおすすめです。
こちらも発展版の『スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング』や『 』『 』などのシリーズがあります。
ご自身のレベルに合わせて使ってみてくださいね。
まとめ
今回は、英語が口をついて出るようになるためのトレーニング本として2冊の教材をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
迷った時には実際に手に取って「これなら続けられそう」と直感的に思ったほうがオススメです。
どんな教材であっても、まずは「耳からよく聞き、口をよく動かす」が基本です。今日ご紹介した教材を使って、今日から英語のトレーニングを始めてみてはいかがでしょうか?