今日は IELTS や TOEFLなど難易度の高い英語試験のリーディングが「読めていない」人の特徴についてお話したいと思います。
スピーキングやライティングは日本人がもっとも苦手な分野と言われていて、その2セクションを中心に対策している人は多いと思います。
一方、リーディングやリスニングは大学受験で勉強した記憶もあり、比較的得意、あるいは独学で十分だと考えている人も少なくないようです。
確かに、インプット中心、かつ文法の基礎がしっかりしている日本人にとってリーディングは得意分野と言えるでしょう。その一方で、いくら読む量を増やしてもリーディングのスコアが伸びず苦しんでいる人もいます。
今日は「リーディングは出来て当たり前」という概念を一旦外して、改めて自分自身がきちんと読めているか、今のままの読み方で本当にいいのかを確認し、スコアアップにつなげて頂ければと思います。
リーディングの定義
リーディングは「英文を読むこと」と思っている人が多いですが、本当のゴールは「書いてある内容を深く理解する」ことです。
内容をよく理解できていない人には、次のような特徴があります。
読めていない人の2大特徴
英文解釈で終わっている人
まず一つ目は、英文を日本語に直すことに力が注がれてしまい、内容の咀嚼まで進めていない人です。
英語力がまだ足りていない状況では、ある程度仕方ないことだと思います。
というのも、最初の内は単語の意味を思い出したり、文の構造を分析するのに脳のメモリが使われてしまい、咀嚼までのエネルギーが残っていないからです。
例えば次のような文章。
(引用:『パーフェクト攻略 IELTS リーディング』トフルゼミナール)
皆さんは一読しただけで前から意味を取ることができましたでしょうか。分かりやすくスラッシュや括弧を入れてみると
となり、An example が主語で、is が動詞とわかります。括弧内はすべて example を修飾する部分です。
この文を前から意味だけ取っていくと、
となります。
これを意味の通った日本語に直すと「3D印刷が十分に発達したことを他の何よりも証明する例は、飛行機の部品を作る際に使用(されているという事実)である。」となります。
その結果、英文を読む=日本語の意味を取る作業だけで終わってしまうのです。
しかしこれでは、肝心の「内容を深く理解する」というゴールに辿り着いていません。パズルのピースをつなぎ合わせるのに必死で、せっかく浮かび上がった絵全体を鑑賞せずに終わっているようなものです。
わかったつもりになっている人
もう一つの特徴は、文字ヅラだけを追って理解したつもりになっている人です。
このようなタイプには音読が上手な人も多く、「英語を上手に読み上げる=内容も理解している」ものと勘違いされがちです。
でもよくよく突っ込んで聞いてみると、自分なりの勝手な解釈をしていたり、文章の全体像が見えていなかったりします。
実はこのタイプの人は、英文だけでなく日本語の文章も正しく読めていないことがあります。小説や随筆など物語を読む(主人公の気持ちを想像する)のは得意なのですが、論文を読む(筆者の主張や根拠を論理的に読む)のは苦手な傾向が見られます。
読解力を上げていくには、まず自分が読めていないことを自覚し、どのような問題を間違えてしまうのか分析することから始めてみましょう。
▼復習して自分の課題を見つけましょう
今回はリーディングの復習方法についてお話ししたいと思います。 TOEFLやIELTSのリーディングは、単語も難しいし、量も多いので、一度解くだけで疲れちゃいますよね。 「復習が大事なのはわかっているけど、そのエネルギーが残ってない…」「点数[…]
内容を深く理解するための方法
ここからは、内容を深く理解するための具体的な方法をいくつかご紹介します。大きなポイントとしては、アウトプットを意識して読む&主体的に読むことです。
段落ごとに要約する
読んだ内容を自分の言葉で要約できるか。これが内容を深く理解しているかどうかの判断基準&重要な訓練となります。
まずは段落ごとに要約できるよう練習してみましょう。特に IELTS では小見出しのマッチング問題や、筆者の名前と段落を結び付ける問題がよく出ますので、段落ごとの要約練習は必須です。
IELTS リーディングのマッチング問題が苦手です。全文を読んでから問題を解こうとすると、結局もう一度読むはめになって時間が足りません。解き方のコツはありますか。 IELTSの様々な問題形式の中でも、マッチング(組み合わせ)問題は難易度高め[…]
ここでもポイントはアウトプット。
ノートに書いてもいいですし、時間を節約したい方は独り言みたいな感じで口頭での要約でもOKです。
誰かに説明する
「講師として研修をするなら、その教室の中で自分が最もその分野に精通していなければならない。」
これは私が経営コンサルタント時代に上司に言われた言葉です。講師デビュー前に専門分野の本を10冊以上読むのは当たり前。本から得た知識は実践する。知識と実践を交えてわかりやすく伝えるのが私たちの仕事でした。
人は誰かに教えるときに、最も学びます。
一度教えてみるとわかると思いますが、高校3年生に分詞構文を教えるのと、中学1年生に be 動詞を教えるのでは、後者のほうが圧倒的に難しい。
誰かに説明できるかどうかは、内容を深く理解しているかどうかの判断基準となります。
読んだ英文を誰かに説明してみる。でもうまく説明できない。しゃべり始めて、初めて自分があまり理解していなかったことに気づく。
話す相手がいないという方は、ブログなどで発信するのもオススメです。日本語でもOKです。アウトプットを意識すると、インプット(読み方)の深さが全く異なることを体感頂けるはずです。
ツッコミながら読む
筆者と会話をするように、ツッコミをいれながら読むのも効果的です。
「そもそも筆者は何を言いたいの?」「本当にそうなの?」といったツッコミを入れながら読み進めてみましょう。
先ほど挙げた例文の “An example that proves more than any other that 3D printing is coming of age is its use in building airplane parts.”に対しては、
- なぜ筆者はここで飛行機の例を持ち出したのだろうか?
- なぜ飛行機の部品を作ることが証明になるのだろうか?
- 「他の何より」と書いてあるが、どの製品と比較されているのだろうか?
という感じでツッコミを入れていきます。
まとめ
試験勉強中は正答率ばかりが気になってしまいますが、本当に大事なのは、そこに書かれている内容を深く理解し、自分の血肉にしようという読書への姿勢です。
中途半端なリーディング力では良い成績を取るのはおろか、留学先の授業についていくのさえ難しいでしょう。
- アウトプットを意識して読む
- 段落ごとに要約する
- 誰かに説明する
- ツッコミながら主体的に読む
今日ご紹介した二つのポイントを意識して、何度も咀嚼するように、味わうように読んでみると少しずつ内容の理解が深まると思います。
▼例文として使用した本はこちら。