パラグラフ・ライティングを極める|課題がわかる自己診断シート付

アカデミック・ライティングの構成はわかったけれど、各パラグラフがうまく書けません。具体的には何をどう書けばいいのですか?

生徒さんのライティングを添削していると、見た目はアカデミック・ライティングの形だけれど、内容が薄い、わかりにくい、論理的でない…など、残念なエッセイが少なくありません。

アカデミック・ライティングは、エッセイ全体の構成についてのお話でした。今日は、そのエッセイを構成するボディ・パラグラフの書き方について解説したいと思います。

この記事を読めば、ボディ・パラグラフに必須の要素、気を付けるべきポイントを学ぶことが出来ます。ボディ・パラグラフの基本を抑えれば、イントロダクション、コンクルージョン、エッセイ全体の書き方にも応用できるでしょう。

まずは1パラグラフで大丈夫なので、わかりやすく説得力のある文章を書けるように練習していきましょう。

ライティング力自己診断シート

さて、ここで本題に入る前に、みなさんの現在のライティング力を軽~く自己診断して頂けたらと思います。質問を10個用意しましたので、自分が出来ていると思う項目に〇を付けてください。

〇がつく箇所によって、今後の対策が変わってきます。テストではありませんので、ご自身に正直に回答してくださいね。

表1.ライティング力自己診断シート

No. 質問内容 〇/×
Q.1

アカデミック・ライティングの基本構成を説明できる。

 
Q.2

イントロダクションで何を書くべきか説明できる。

 
Q.3 コンクルージョンで何を書くべきか説明できる。  
Q.4 ボディパラグラフで何を書くべきか説明できる。  
Q.5 Thesis statement, Topic sentence, Supporting sentence の違いを説明できる。  
Q.6

Supporting sentence として、具体的に何を書けばいいか説明できる。

 
Q.7 ブレインストーミングのやり方を説明できる。  
Q.8 “Paraphrase” という言葉の意味を知っている。  
Q.9 Hook や bridge の役割を担う英語表現を知っており、書くことができる。  
Q.10  IELTS / TOEFL ライティングの出題パターンを熟知している。  

いかがでしたでしょうか? 何個〇がつきましたか???

8個以上〇がつけば、ライティングの土台は十分整っています。あとは「書く実践」を重ねるだけです。

〇が8個以下の方は、そもそもライティングの「型」を知らない状況です。なので、本やこの記事などを参考に、まずは基本の「型」を知るところから始めましょう。

各質問の番号は、以下の課題に対応しています。

  • Q. 1~4:アカデミック・ライティングの基本
  • Q. 5~6:パラグラフ・ライティングの基本 ※この記事でお伝えする内容
  • Q. 7:書くこと以前の「考える」力(考えを広げる、まとめる、整理する、選ぶ、など)
  • Q. 8~9:英語での表現方法
  • Q. 10:試験対策

Q.1~4に〇がつかなかった人は、下の記事からアカデミックライティングの構成をさらってみてください。またQ.10 に自信のない人も、こちらの記事を参考にしてみてください。なぜアカデミック・ライティングがIELTSやTOEFLに必須なのかを解説しています。

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パラグラフ・ライティングとは

それでは本題に入ります。

本記事のテーマはパラグラフ・ライティング。では、パラグラフとは一体何を指すのでしょうか。

英文で言うパラグラフとは、一つの考えのまとまりを表します。日本語の「段落」とは少し意味が異なり、見た目の読みやすさや、ある程度の長さで区切る、ということではありません。

一つのパラグラフには、一つの意見しか書かない。

この大前提が非常に重要なのですが、あれこれ盛り込んで、結局何が言いたいのかわからない文章が、結構見られます。

“One Paragraph, One Idea.” まずはこの鉄則を心に刻むようにしましょう。

 

本日のゴールとして、自己診断シートのQ.5~6にあたる、

Thesis statement, Topic sentence, Supporting sentence の違いを説明できる。
Supporting sentence として、具体的に何を書けばいいか説明できる。

が出来るようになれば、質の高いパラグラフが書けるようになります。もちろん説明するだけでは上達しないので、実際にこの記事を読みながら「書く」練習もしてみてください。

イントロとボディ・パラグラフの関係

復習となりますが、アカデミック・ライティングの基本構成はこんな感じでした。

  • Introduction(イントロダクション)
  • Body I(ボディI)
  • Body II(ボディII)
  • Body III(ボディIII)
  • Conclusion(コンクルージョン)

イントロダクションでは General statements から入り、Thesis Statement を完結に述べます。

General statements は、事前に提示された問いに関する一般的な話や背景を書きます。一方 Thesis Statement 自分の主張論文の主題です。Main idea や central idea と呼ばれることもあります。

アカデミック・ライティングは小説や日記とは違い、自分の主張を論理的に述べて読み手を納得させる必要があります。

そのために主張の根拠としてボディ・パラグラフを展開する。ボディ・パラグラフの役割は、イントロダクションで述べた Thesis Statement をサポートすることなのです。ですから主張とは関係ない話や、サポートにならない根拠を持ってきても意味がない。むしろ読み手が混乱するだけです。

ボディ・パラグラフには理由が来ることが多いですが、必ずしもそうである必要はありません。課題分析や解決策を書くことも出来ます。ここでもやはり “One Paragraph, One Idea” が鉄則です。

ボディ・パラグラフを無理に3つ書く必要もありません。無理やり3つ書いて各パラグラフの内容が薄くなるよりは、一つでも良いので質の高いパラグラフを書く方が賢明でしょう。

また、書くことに夢中になり「主張-根拠」の関係を忘れ、どんどん違う方向に話を展開してしまう方がいます。試験の際は最後の2~3分をレビュー時間として残し、ボディパラグラフが主張の根拠になっているか、確認できると理想的ですね。

パラグラフの基本形

パラグラフは基本的に二種類の文から構成されます。

  1. Topic sentence
  2. Supporting sentences

Topic sentence は、そのパラグラフの主文、メイン・アイデア。大体パラグラフの最初の一文で述べることが多いです。

Supporting sentences は字の通り、Topic sentence を支えるための根拠たちです。具体例でも、統計データでも、個人的な体験談でも、Topic sentence に関連する話であれば大丈夫。

パラグラフ・ライティングの例

それでは例題を使ってボディ・パラグラフの書き方を抑えていきましょう。

 “Although the position of women in society today has improved, there is still a great deal of sexual discrimination.” 

 

Do you agree or disagree? 

IELTS, TOEFL ともに、agree / disagree 問題は頻出です。

本来はここで、①設問の理解→②ブレインストーミング、の手順が入るのですが、今日はパラグラフ・ライティングがテーマなので、割愛します。①~②の手順については、また別の記事で解説しますね。

さて、仮に Thesis statement を「女性の社会進出は進んでいるが、まだまだ困難がつきまとう」という内容にしたとします。この主張に説得力をもたせるため、理由として「結婚や出産と同時に退職する女性がいるから」、具体例として「職場の女性の同僚が結婚を機に退職した」という流れを書きたいとします。

  • Thesis statement:In my opinion, though women’s participation in society has increased, there are still obstacles that many women face.
  • Reason #1: Some women choose to withdraw from employment upon marriage or birth.
  • Example #1:One of my female colleagues quit working after she got married. 

ここで注意したいのは、Thesis statement はあくまでイントロダクションに書き、Reason #1 がボディパラグラフの Topic sentence、Example が根拠を示す Supporting sentence になるということです。

上の文をパラグラフに落とすと、

          To begin with, some women choose to withdraw from employment upon marriage or birth because they find it difficult to have a full-time job and take care of their child at the same time.(←トピックセンテンス) In Japan, the number of nursery schools is not sufficient. This is one of the obstructions which hinders women to return to work.(←サポートセンテンス①)  For example, one of my female colleagues quit working after she got married. She was worried if she would be able to balance her family and job. (←サポートセンテンス②)It is institutionally no problem if men take paternity leave, but the idea that women should raise  a child is still deeply rooted.(←サポートセンテンス③) 

 

計 107 words

こんな感じです。

ブレインストーミングの時点ではサポートセンテンスとして Example を一つしか挙げませんでしたが、それ以外にも2つサポートセンテンスを足して、メインアイデアからズレない程度に話を展開させています。

エピソードを語る際は、”For example” から始め「いまから具体例を話すよー!」と読み手に合図を送っています。こうすることでぐっと読みやすくなります。

たまに”For example”と書き始めているものの、全然具体例ではなかったり、より抽象的な話を書いてしまっているエッセイを見かけます。”For example”と書いたならば、やはり具体的な事例や個人のエピソードが続く方が良いかと思います。

書き終えたら確認すべき5つのポイント

最後に、パラグラフを書き終えたら必ず確認すべきポイントを5つご紹介します。

  1. “One Paragraph, One Idea” になっているか?
  2. ボディ・パラグラフは Topic sentence から始めているか?
  3. Support sentence は topic sentence の根拠になっているか?
  4. Support sentence は具体的か?抽象論になっていないか?
  5. 各ボディ・パラグラフは、最終的に Thesis statement の論拠になっているか?

これ以外に文法やスペルミスがないかも確認してほしいのですが、ひとまずパラグラフ・ライティングに関しては上の5つで十分でしょう。

留学後も役立つアカデミック・ライティング

ここまでで、本日のゴール「Thesis statement, Topic sentence, Supporting sentence の違いを説明できる」と「Supporting sentence として、具体的に何を書けばいいか説明できる」はクリア出来たのではないでしょうか。

ただ、書くための型は理解していても、実際に上手く書けるかは別問題。ライティング力向上のコツはひたすら書く!です。

アカデミック・ライティングのスキルは、TOEFL/IELTS の試験対策だけではなく、留学後も絶対に役立つスキルです。最初は大変ですが、書けば書くほど上達しますので、自分を信じて粘り強く頑張りましょう。この記事を参考に、実際の問題を解きながら、ぜひ書く練習を重ねてくださいね。

パラグラフ・ライティングの書き方
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