イギリスの大学院に留学するにはいつから何を準備すればいいの?スケジュール解説

イギリスの大学院に留学するには、いつ頃から準備を始めればよいですか? 

この記事では、イギリスの大学院に留学するための具体的な準備スケジュールについて解説しています。

「今から準備しても間に合うのかな?私にも留学できる?」

「慎重派の私は、いつから準備を始めたら安心できる?」

「英語の勉強はいつから取り組めばいい?」

「出願に必要な書類は?」

など、大学院留学を考えているけど、いつ・何から始めれば良いかわからず不安な方にぜひ読んでもらいたい記事です。

動画でも解説しています。

大学院留学準備に必要な4つのこと

結論からお伝えすると、準備に必要なことは大きく4つです。

  1. 大学院選び
  2. 出願書類の作成
  3. (IELTSなど)英語の勉強
  4. 渡航準備

時期としては、留学開始希望時期より1年~1年半くらい前に始めれば間に合います

例えば「2026年の9月にはイギリスに渡航して留学を始めたい」という場合、2025年の4月~9月頃に留学準備を始めれば十分間に合います(ただし、資金面の準備や周囲への説得にかかる時間などは考慮していません)。

また、美大など芸術系の大学院を志望している方は、ここにポートフォリオ作成という大きなタスクが入ってきますので、更にもう少し前から準備することをおすすめします。

それでは一つずつ解説してきます。

図1.イギリス大学院留学実現までのスケージュール例

1.大学院選び

まず最初にやることは大学院選びです。

大学院を選ぶ際は

  1. 専攻(コース)
  2. 評価
  3. 環境
  4. 勉強期間
  5. 予算

などの観点から選びます。

専攻については「学びたい内容が本当に学べるコースかどうか」で判断します。

例えば「観光学」について学びたい場合、遺産や歴史といった文化的な観光が得意なコースもあれば、自然といった資源を生かした観光を学ぶコース、ホテルの運営やホスピタリティ、イベントマネジメントなどを学ぶコースなど、色々あります。

このように、一口に観光学といっても様々な内容がありますし、学校やそのコースを担当する教授によって得意・不得意なジャンルがあります。

ですので、例えば国際観光を学びたいと思って “Intenational Tourism” という名称がついているからそのコースにしよう!と安易に選ぶのではなく、具体的なカリキュラムの中身どんな教授が教えているかまで是非確認するようにしてみてください

専攻以外にも、評価(ランキングや知名度)、環境(都市か田舎か)、在籍期間(1年 or 2年)、予算(学費、生活費、奨学金の有無)なども検討するポイントです。

最初の時点では、直感や名前を聞いたことがあるという理由で選んでも大丈夫です。そこから更に絞る段階になった時は、これらの項目をぜひ比較しながら選んでみてください。

ポイント:比較することで初めて「自分が本当は何をやりたいのか」、「優先順位の高いものは何か」などが見えてきます。

2.出願書類の作成

大学院リサーチと同時進行で、出願書類の準備を進めて行きます。

出願書類には

  1. 志望理由書 (Personal Statement)
  2. 推薦状 (Reference)
  3. 成績証明書 (Transcript)
  4. 履歴書 (CV)

などがあります。

加えて、アート系の大学院を目指している方は、ポートフォリオがあります。

また、大学院によっては面接ビデオタスク(自己紹介動画)を課している学校もあります。その場合はそれらの準備も必要です。

書類の中で一番準備に時間がかかるのが、志望理由書(パーソナルステートメント)推薦状

志望理由書は、自分はこれまでどんなことをしてきて、将来は何をしたいか、それを踏まえてなぜその大学院で学びたいのかなどを具体的に語る文書です。大学院へのラブレターみたいなものですね。

この文書をまとめあげるには、大学院の深いリサーチとともに、自己分析がしっかり出来ている必要があります。この作業は集中して大体1~2か月、長い人だと3か月くらいかかります。

▼志望理由書の詳しい書き方についてはこちらのブログも参考にしてみてくださいね。

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志望動機書の書き方【準備編】

推薦状は通常1~2通求められることが多く、一通がアカデミックなもの(大学時代のゼミの先生)、もう一通が職場の上司にお願いするケースが多いです(※社会人のみ)。

これは他人も巻き込む作業になりますので、自分だけの都合で動けません。そのような意味で時間がかかりますので、早めに準備することをおすすめします。

大学院選びと出願書類準備が整ったら、初めて出願が出来ます。イギリスの大学院の出願は大体秋ごろに募集が始まり、11月末~12月頭が出願のピークとなります。

早いところでは出願後1週間以内に合否が出ますので、早い人は年内にすでに合格が確定していることもあります。

逆に1月を過ぎると、席がもう残り僅かとなり倍率がどんどん高くなってしまいますので、ぜひ12月頭には出願を目指して準備を進めていきましょう

図2.出願書類作成の目安

3.(IELTSなど)英語の勉強

3つ目が IELTSなど英語試験の勉強です。おそらくここを一番心配している方が多いんじゃないかと思います。

イギリスの大学院の場合、IELTS 以外にも、TOEFL や最近では Duolingo のような新しいテストのスコアを受け入れている学校も増えています。

とはいえ、多くの方は IELTS を選択されると思うので、IELTSで話を進めていきます。

イギリスの修士レベルが求める IELTS のスコア目安は OA 6.5 です

OA 6.5 はどれくらいの難易度かというと、英検だと準1~1級TOEIC L&Rだと 800点後半~900点くらいの感じです。

日本人の IELTS の平均は OA 5.5 ~6.0なので、大体 0.5 ~1.0 スコアを伸ばさないといけないのですが、0.5点を上げるのに 200~300時間かかると言われています(0.5点ってめっちゃ小さい数字に感じるんですが、IELTSの 0.5点は相当大きな数字です!ここに惑わされないようにしてください!)

なので、OA 5.5 の人が 6.5、つまりプラス1.0 を目指す場合、最低でも 400 ~ 600 時間は必要ということ。月に 100時間勉強したとしても、4カ月~半年はかかるということです

ただ、これもあくまで平均値の目安です。実際に私が過去に相談に乗って来た方だと 1,000時間勉強しても 5.5 からスコアが伸びない、10回以上試験を受けているけどずっとOA 5.5、 という人が沢山います(お客様体験談から生々しい記録をご覧いただけます)。

なので、IELTSの勉強もできるだけ早めに取り掛かりましょう!

【重要】条件付き合格(Conditional Offer)とは?

図1の「イギリス大学院留学実現までのスケージュール例」を見ると、IELTSの勉強の矢印だけ長く伸びていて、出願後も続いていますよね。

え?出願までに IELTSのスコアが必要なんじゃないの?

と、日本人の感覚なら思うと思います。大体日本の大学や大学院受験だとそうですよね。アメリカも同じで、通常は出願時に英語のスコアを提出します。

でもイギリスは違います。イギリスの大学院は「条件付き合格(conditional offer)」という制度があります。これは、大学が求める英語力に達する前提でもらえる合格通知書のことです。

つまり、出願の時点で IELTS のスコアがなかったとしても、合格自体は先にもらえるということ。もちろん、出願時にすでに大学院側が求めるスコアがあれば、出願時に提出してもらってOKです。

ではこの条件付き合格をもらうとどうなるかというと、

  1. 実際に留学を開始する前までに大学側が求めているIELTSのスコアを取る
  2. そのレベルと同じぐらいまで英語力を上げる語学学校に通う

という二つの選択肢が与えられます。後者の語学学校は、プリセッショナル・コースと呼ばれています。 

どちらを選択するかが悩みどころですが、これは皆さんが現在どれぐらいの英語力があるのかと、どれぐらいお金と時間をかけられるかで決まります。

お金や時間は関係なく「いきなり大学院に入るのは心配だからプリセッショナル・コースに通いたい!」という人もいます。これはこれでとても良い選択だと思います。

ただ実際は「仕事をやめられない」とか、「プリセッショナル・コースに通うだけの滞在費とコース費用を払えない」という方が大半。期限ギリギリまで粘って IELTS を勉強するほうを選ぶ方が多いです。

ちなみに、プリセッショナル・コースに入るにも一定の IELTSスコアが求めらるので、いずれにせよ IELTSは受験しなければなりません。また、プリセッショナル・コースに入ったからといって自動的に大学院に入学できるわけではなく、卒業試験に合格しないといけないので、そこは要注意です。

 
Ringo
プリセッショナル・コースの募集締め切りは、大体5~6月ぐらいに集中しているので、3月~ 4月までは IELTS の勉強を頑張り目標スコアを狙うのが個人的にはお勧めです。

4.渡航手続き

最後は入学手続きなどを含む渡航手続きです。

無事に IELTSのスコアが取れ正式な入学が決まったら、ビザを発行するのに必要な CAS(キャス)と呼ばれる書類が発行されます。それと同時に、航空券を取ったり保険に入ったり、具体的な渡航準備を始めます。

実際に留学した人の中で一番よく聞くトラブルは家探し (accommodation)ビザの問題。

家探しについては、まずを検討する人が多いと思います。

寮はたいてい早い者勝ちなので、合格が決まった人からどんどん部屋が埋まってしまいます。IELTS のスコア提出がギリギリとか、プリセッショナルの申し込みもギリギリになってしまうと「すでに満室で入れなかった」、「自分が希望していたところとは違う寮になってしまった」という話をよく聞きます。

個人的な留学経験から、住むところは本当に重要だと思っています。あなたの留学生活のQOL(生活の質)が決まるといっても過言ではないと思うので、ぜひ早めに動きだしましょう。

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まとめ:早めのIELTS取得がカギ

また、ビザについても「IELTS のスコア取得がギリギリだったのでビザの発行もギリギリになり、授業開始日に間に合わない!」という話を聞きます。

結局ここでも IELTS が足を引っ張ってくるんですね(笑)。やはり出来るだけ IELTS の目標スコアを早めに達成することが、余裕をもった準備のカギになります。

ただでさえ海外留学って予測不能な事態に陥るとか、日本だとありえない!みたいなことが起きます。

海外生活が長ければそのような不測の事態にも慣れてきて冷静に対応出来たりするんですけど、初めて留学する方は動揺してしまうかもしれません。

この記事を参考に、ぜひ余裕をもって準備に取り組んでくださいね。

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